
業務用エアコンの性能や機能を比較! 最新機種と10年前機種は何が違うのか
業務用エアコンの法定耐用年数は13年もしくは15年となっており、耐用年数を超えて利用し続けると、突発的な故障や性能の劣化による電気効率の低下などのリスクが生じます。
古くなった業務用エアコンは、リニューアルが必要です。業務用エアコンの性能や機能は技術の進歩に伴って向上しているため、リニューアルを行うことでリスクを避けられるだけでなく、より効率よく快適な空調管理が実現できます。
この記事では、業務用エアコンの最新機種について、10年前機種との比較やリニューアルによるメリットを解説します。
なお、業務用エアコンの導入に活用できる補助金についてはこちらの資料をご確認ください。
→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「空調設備導入に活用できる補助金と申請ステップを紹介」
出典:e-Gov法令検索『減価償却資産の耐用年数等に関する省令』
目次[非表示]
1.業務用エアコンの最新機種と10年前機種を比較
業務用エアコンの最新機種と10年前機種では、「エネルギー消費」や「環境負荷」、快適性・運転効率に関する「機能」などに違いがあります。
1-1.エネルギー消費
最新の業務用エアコンは、高効率化されたコンプレッサーにより、従来よりも少ないエネルギーで空気圧縮を行い、効率よく運転できるよう設計されています。これにより、日常的な運転における電力やガスなどのエネルギー消費を10年前機種よりも抑えられるようになりました。
近年では世界的なエネルギー価格の高騰が生じているため、エネルギー消費量を抑えることは企業にとって重要な課題です。業務用エアコンのリニューアルは、エネルギー価格の高騰への有効な対策の一つといえます。
1-2.環境負荷
10年以上前のエアコンは、HCFC(R22)というオゾン層を破壊する冷媒が使われていることが多く、現在は規制対象となっています。最新の業務用エアコンでは、より環境に優しいR410AやR32冷媒が使われているため、エネルギー消費も抑えられる傾向にあります。
また、『フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律』(フロン排出抑制法)に基づく指定品制度により、2025年4月からビル用マルチエアコン(新設・冷暖切替タイプ)の冷媒として、GWP(※)が750以下の冷媒の使用が義務化されています。
今後は低GWP・自然冷媒へのシフトが加速し、省エネ性能と環境性能を両立する製品が主流となっていくと思われます。
なお、新冷媒と旧冷媒の違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
※GWPとは、Global Warming Potentialの略で、温室効果ガスが温室効果をもたらす程度を二酸化炭素の程度に対する比で示した係数です。
出典:e-Gov法令検索『フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律』/経済産業省『指定製品製造業者等に対する規制』
1-3.機能
業務用エアコンの最新機種は、センサーや気流制御などの機能等、 10年前機種にはなかった機能を搭載しており、快適性や運転効率が向上しています。
例えば、室内の温度を感知し、自動で温度を調整したり、温度ムラを解消したりする機能により、設定温度に達すると、パワーを下げて消費電力を抑える省エネ運転が可能になっています
また、クラウドシステムによる運転制御が登場したことで、自動的に業務用エアコンの快適で効率的な運転が行いやすくなりました。
GHPとEHPを併用するハイブリッド空調も、10年前にはなかったシステムです。電気とガスを使い分けることで、ランニングコストの削減を実現します。
なお、ハイブリッド空調『スマートマルチ』についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
2.古い機種から最新機種へリニューアルを行うメリット
古い機種から最新機種へリニューアルを行うことで、電気・ガス料金の削減や環境保護の貢献、メンテナンスコストの削減などが期待できます。また、業務用エアコンの突発的な故障を防ぐためにも、リニューアルは重要です。
2-1.電気・ガス料金を削減できる
業務用エアコンをエネルギー消費の少ない最新機種にリニューアルすることで、電気・ガス料金の大幅な削減が期待できます。
特に、長時間の使用が前提となる学校や医療機関、公共施設などでは、空調にかかる電力の割合が非常に高く、その分、省エネ性能の差が直接コストに跳ね返ってきます。
資源エネルギー庁が発表している『夏季の省エネ節電メニュー』によれば、これらの施設では空調設備が全体の消費電力の中でもっとも大きな割合を占めており、空調の効率化が節電対策の鍵となっています。
つまり、空調機器の見直しは単なる設備更新ではなく、電気・ガス代の削減・環境配慮・快適な室内環境の三拍子がそろった「賢い経営判断」といえるのです。
▼消費電力に占める空調設備の割合
施設 |
空調設備の割合 |
学校 |
37.0% |
医療機関 |
34.7% |
オフィスビル |
48.6% |
飲食店 |
50.5% |
経済産業省 資源エネルギー庁『夏季の省エネ節電メニュー』を基に作成
各施設において電気料金を削減するには、割合の大きい業務用エアコンの消費エネルギーをリニューアルによって抑えることが有効です。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁『夏季の省エネ節電メニュー』
2-2.環境保護の貢献につながる
環境負荷の少ない最新型の業務用エアコンへリニューアルを行うことは、地球温暖化の原因となるCO₂排出量の削減につながり、地球環境の保護に貢献する取り組みとなります。特に、電力使用量が多い空調設備においては、省エネ性能の高い機種を導入することで、環境への影響を大きく軽減することができます。
近年では、持続可能な社会の実現を目指す国際目標「SDGs」や、企業の環境・社会・ガバナンスへの取り組みを重視する「ESG経営」が広く注目されています。こうした観点から、環境に配慮した設備投資は単なるコストではなく、企業や団体の社会的責任(CSR)を果たす姿勢として評価されるようになっています。
取引先や顧客からの信頼を高めるだけでなく、地域社会に対する好印象の醸成にもつながり、結果として自社のイメージ向上にも寄与します。つまり、エアコンのリニューアルは、省エネ・コスト削減だけでなく、「環境配慮」という視点でも大きな意義を持つのです。
2-3.メンテナンスコストを抑えられる
業務用エアコンを最新機種にリニューアルすることで、長期的に見た場合のメンテナンスコストの削減が期待できます。
古くなったエアコンは部品の経年劣化や故障が増えやすく、稼働を維持するために頻繁な点検・修理が必要になるケースも少なくありません。結果として、修理費や交換部品代、人件費などのランニングコストが積み重なり、思わぬ出費につながることもあります。
一方、最新の高性能エアコンは、耐久性や制御機能が向上しており、安定した運転が可能です。これにより、突発的な故障やトラブルのリスクが軽減され、日常のメンテナンスにかかる手間や費用を抑えることができます。特に多拠点でエアコンを使用している企業や団体にとっては、大きなメリットとなるでしょう。
さらに、省エネ性能に優れた機種に更新する場合には、国や自治体の補助金制度を活用できる可能性もあります。これにより、初期投資の負担を軽減しながらリニューアルを進めることが可能です。ただし、補助金の内容や申請条件は地域や時期によって異なるため、事前に自治体や専門業者へ確認することが重要です。
なお、空調メンテナンスの重要性についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
業務用エアコンの導入に活用できる補助金については、こちらの資料をご確認ください。
→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「空調設備導入に活用できる補助金と申請ステップを紹介」
2-4.突発的な故障を防げる
業務用エアコンのリニューアルは、突発的な故障を未然に防ぐための重要なリスクマネジメントといえます。
古くなった業務用エアコンは、経年劣化によって予期せぬタイミングでの故障が発生するリスクが高まります。空調設備が急に停止してしまえば、オフィスや店舗、学校、医療機関などでは業務やサービス提供に支障をきたし、利用者や来訪者に不便や不快を与えることにもつながります。
さらに、古い機種の場合、メーカーによる補修用部品の保有期間(多くは製造終了から10年程度)がすでに終了していることも多く、修理の際に必要な部品が入手できず、結果的に復旧までに時間がかかる、あるいは修理そのものができないといったケースも少なくありません。
「まだ動いているから大丈夫」と考えてしまいがちですが、予防的な設備更新こそが、将来的な損失やトラブルを防ぐ最善の選択となります。
空調機の寿命についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
3.まとめ
この記事では、業務用エアコンの最新機種について以下の内容を解説しました。
- 業務用エアコンの最新機種と10年前機種の比較
- 古い機種から最新機種へリニューアルを行うメリット
業務用エアコンの最新機種は、エネルギー消費や環境負荷、機能面などで10年前機種からの改善が見られます。
古い機種から最新機種へのリニューアルを行うことで、光熱費の削減や地球環境保護の貢献につながります。また、メンテナンスコストの削減や突発的な故障の防止のためにも、業務用エアコンのリニューアルは重要です。
TAKEUCHIでは、施設の課題に応じた業務用エアコンの機種選定から空気環境の設計、施工、アフターサポートまで対応しています。
なお、空調設備の導入やリニューアルに活用できる補助金については、こちらの資料をご確認ください。