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新冷媒R32と旧冷媒R410Aの違い。業務用エアコンのリニューアルにかかるコストの注意点

業務用エアコンに使用されている主な冷媒には“R32”と“R410A”があります。近年、世界全体で地球温暖化への対策に取り組むなか、旧冷媒のR410Aから新冷媒のR32へと転換が進められています。

学校や介護施設、工場、オフィスなどで業務用エアコンのリニューアルを検討している管理者のなかには、「R32とR410Aは何が違うのか」「新冷媒の機種にリニューアルするコストはどうなのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、旧冷媒R410Aから新冷媒R32に移行が進む背景や主な違い、新冷媒の業務用エアコンにリニューアルする際のコスト面の注意点について解説します。

なお、空調設備の導入に活用できる補助金については、こちらの資料にまとめております。ぜひご覧ください。

→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「空調設備導入に活用できる補助金と申請ステップを紹介」

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目次[非表示]

  1. 1.旧冷媒R410Aから新冷媒R32に移行が進む背景
  2. 2.新冷媒R32と旧冷媒R410Aの違い
    1. 2-1.環境負荷
    2. 2-2.エネルギー効率
    3. 2-3.安全性
    4. 2-4.メンテナンス性
  3. 3.新冷媒R32の業務用エアコンにリニューアルする際のコスト
  4. 4.まとめ


1.旧冷媒R410Aから新冷媒R32に移行が進む背景

業務用エアコンの冷媒がR410AからR32に移行が進められている背景には、地球温暖化の問題があります。

これまで空調機器の冷媒には、オゾン層を破壊する特定フロンから、オゾン層を破壊しない“代替フロン”への転換が行われてきました。旧冷媒R410Aと新冷媒R32は、どちらも代替フロンの一種に当たります。


▼フロン転換の歴史

フロン転換の歴史

画像引用元:環境省『令和3年度改正フロン排出抑制法に関する説明会


しかし、代替フロンは二酸化炭素(CO2)の数十倍から一万倍以上の大きな温室効果を有しています。2050年カーボンニュートラル※1や2030年度の温室効果ガス46%削減を実現するには、地球温暖化に影響をもたらす温室効果が小さい冷媒への転換が必要です。

新冷媒のR32は、旧冷媒のR410Aと比較してGWP(地球温暖化係数)※2が低いため、代替フロンによる温室効果を低減する冷媒として移行が進められています。


なお、R32からR410Aに移行する詳細な理由については、こちらの記事で解説しています。

  新冷媒R32とは。その特徴や従来のR410Aから移行する理由について 地球温暖化対策の重要性が高まるなか、温室効果の低い代替フロンへの転換や、グリーン冷媒への転換が進められています。また、新たに普及が進んでいる冷媒が“R32”です。今回は、従来のR410AからR32に移行する理由や新冷媒R32の特徴、R32を使った業務用エアコンを導入する注意点などについて解説します。 TAKEUCHI株式会社


※1…温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させて、実質的な排出量を全体としてゼロにすること。

※2…二酸化炭素を基準として、ほかの温室効果ガスが有する温室効果の程度を表した数値のこと


出典:環境省『令和3年度改正フロン排出抑制法に関する説明会



2.新冷媒R32と旧冷媒R410Aの違い

新冷媒R32と旧冷媒R410Aは、環境負荷・エネルギー効率・メンテナンス性などに違いがあります。


2-1.環境負荷

R32は、R410Aと比べて環境負荷が小さくなります。二酸化炭素を基準とした温室効果の程度を示すGWPは、R32がR410Aの約3分の1となっています。


▼R410AとR32のGWP

R410A
R32
2,090
675

環境省『令和3年度改正フロン排出抑制法に関する説明会』を基に作成


GWPが低いR32の冷媒を使用した業務用エアコンにリニューアルすることで、地球温暖化対策への貢献につながります。


出典:環境省『令和3年度改正フロン排出抑制法に関する説明会


2-2.エネルギー効率

R32はR410Aよりも熱伝導率が高く、少ないエネルギーで効率的に冷暖房を行うことが可能です。

1kW当たりの冷暖房効果を示すエネルギー効率(COP)は、R32のほうが高くなります。COPが高くなるほど省エネルギー化を実現できるため、電気使用料の削減につながります。


→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「空調設備導入に活用できる補助金と申請ステップを紹介」

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2-3.安全性

冷媒の安全性について定められた国際規格のISO 817:2014では、燃焼性に関する4つの区分が設けられています。

R32はクラス2Lの“微燃性”に該当しており、クラス1の“不燃”に該当するR410Aと比べて安全性が低くなります。

クラス2Lの微燃性は、可燃性がある冷媒のなかでもっとも弱い区分ですが、完全な不燃ではないことから安全確保のための対策が必要です。


▼ISO 817:2014に基づく燃焼性の区分

分類
燃焼性
冷媒
クラス1
不燃
R410A、R404a、R134a など
クラス2L
微燃
R32、R1234yf、R1234ze など
クラス2
弱燃
R152a
クラス3
強燃
プロパン、ブタン、イソブタン など


2-4.メンテナンス性

単一冷媒のR32は、混合冷媒のR410Aよりもメンテナンス性に優れています。

R410Aは、R32とR125を使用した混合冷媒です。冷媒の充填を行う際に成分のバランスが崩れる可能性があるため、一度すべての冷媒を抜く必要があります。

一方、R32は単一の成分で構成されており追加充填を行えることから、経済的な負担を抑えられます。また、冷媒の再生やリサイクルもしやすいため、環境への配慮にもつながります。


なお、業務用エアコンのおすすめ機種についてはこちらの記事をご確認ください。

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3.新冷媒R32の業務用エアコンにリニューアルする際のコスト

新冷媒のR32は、R410Aと比べて環境性やエネルギー効率、メンテナンス性などに優れており、今後はスタンダードな冷媒となっていくと考えられます。

ただし、旧機種からリニューアルする際にはコストに関して注意が必要です。


▼R32の業務用エアコンにリニューアルする際の注意点

  • 漏洩検知器や遮断弁の設置に追加費用が発生する可能性がある
  • 従来機よりも本体価格や施工費が高くなりやすい


R410Aと異なり可燃性があるR32は、安全性を確保する観点から漏洩検知器や遮断弁の設置が必要になるケースがあります。また、新冷媒に合わせた仕様変更で本体価格も高くなっており、全体の費用が増加する傾向が見られています。

安全装置の必要性は部屋の広さや配管長によって異なるため、リニューアルする際は専門業者へ確認することが重要です。

業務用エアコンのリニューアルを実施する際は、施設の規模・用途に適した機種と安全な設置方法を検討することがポイントです。また、補助金を活用して費用の負担を抑えることも一つの方法です。


業務用エアコンの導入やリニューアルに活用できる補助金は、こちらの記事をご確認ください。

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4.まとめ

この記事では、新冷媒と旧冷媒について以下の内容を解説しました。


  • 旧冷媒R410Aから新冷媒R32に移行が進む背景
  • 新冷媒R32と旧冷媒R410Aの違い
  • 新冷媒R32の業務用エアコンにリニューアルする際のコスト


地球温暖化の対策として代替フロンの低GWP化が推進されており、R410Aよりも環境負荷が低いR32への移行が進められています。

新冷媒のR32は、環境性だけでなくエネルギー効率や省エネ性、メンテナンス性にも優れており、業務用エアコンの主流な冷媒として普及が期待されています。

ただし、R32の業務用エアコンは、本体価格や施工費がR410Aを使用した機種よりも高くなりやすいため、リニューアルの際には注意が必要です。

TAKEUCHIでは、貴社のニーズを詳細にヒアリングして、施設の用途や求められる環境に適した機種を選定します。また、省エネ効果を最大限に引き出す設置方法や、運用効率を高める管理方法などの提案により、長期的に安心してご使用いただけるようにサポートいたします。


空調設備の導入やリニューアルに活用できる補助金については、こちらの資料にまとめています。ぜひご覧ください。

→【おすすめ!】記事の最後に読みたい「空調設備導入に活用できる補助金と申請ステップを紹介」

【補助金活用ガイド】空調設備導入に活用できる補助金と申請ステップを紹介


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