
【2025年(令和7年)版】業務用エアコン・空調設備導入を支援する補助金情報
世界でエネルギーの安定供給に関する不確実性が高まる今、電力価格の上昇による事業活動への影響が深刻化しています。また、2050年カーボンニュートラル(※)の達成に向けたCOs排出量の削減も求められており、企業にとって省エネ化は急務となっています。
特に学校・介護施設・工場・オフィスなどに設置される空調設備は、夏場・冬場の消費電力量が増加しやすくなります。省エネ化を実現するには、高効率な運転が可能な空調設備を導入することが有効です。
そこで活用できるのが省エネ補助金です。省エネ化や脱炭素化に向けて空調設備の導入・リニューアルを行う際には、補助金をうまく活用することがポイントです。
この記事では、空調設備に関連する省エネ補助金の制度やそのほかの助成金、優遇税制などについて解説します。
なお、この記事は2025年1月21日時点の情報を基に作成しています。
※温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させて実質的にゼロにすること
また、空調設備の補助金と助成金についてはこちらの記事でも解説しています。併せてご確認ください。
→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「空調設備導入に活用できる補助金と申請ステップを紹介」
目次[非表示]
1.空調設備の導入に活用できる4つの補助金
学校法人や事業者が省エネ化・脱炭素化・サステナビリティ(※)の強化などを図るための空調設備を導入する際に、活用できる補助金があります。
※持続可能な発展を目指す考え方や取り組み
1-1.省エネルギー投資促進支援事業補助金(設備単体型)【省エネ補助金】/公募開始予定:2025年3月頃
省エネルギー投資促進支援事業補助金(設備単体型)は、中小企業を中心とした工場・事業者の更なる省エネ設備への更新を促進するための補助事業です。
設備単体型では、省エネ性能の高い生産設備やユーティリティ設備の更新にかかった費用の一部について補助を受けられます。
▼省エネルギー投資促進支援事業補助金(設備単体型)の補助内容
項目 |
補助内容 |
補助率 |
1/3以内 |
上限額 |
1億円 |
経済産業省『保安規制高度化等事業』を基に作成
また、この補助金にはほかにも『工場・事務所型』『電化・脱炭素燃転型』『EMS型』があります。
▼省エネルギー投資促進支援事業補助金の種類一覧
画像引用元:経済産業省『令和6年度補正予算案における省エネ支援パッケージ』
なお、2025年度の公募は開始前となっているため、申請開始日や公募要項に関する発表を待つ必要があります。
出典:経済産業省『保安規制高度化等事業』/『令和6年度補正予算案における省エネ支援パッケージ』
1-2.脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業【SHIFT事業】/公募開始予定:2025年6月頃
脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業(以下、SHIFT事業)は、脱炭素化を促進するために、エネルギー起源CO2(※1)排出量の少ない設備・システムへの改修を行う事業者を支援する補助事業です。
2025年度の予算案では、中小企業による脱炭素技術・省エネ技術を導入した設備への積極的な投資を後押しする『省CO2型システムへの改修支援事業』が事業内容の一つに設けられています。
▼SHIFT事業(省CO2型システムへの改修支援事業)の補助内容
項目 |
補助内容 |
補助率 |
1/3 |
上限額 |
1~5億円 |
対象設備 |
CO2 排出量を大幅に削減(※2)する電化・燃料転換・熱回収等の設備 |
環境省『脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業(SHIFT事業)』を基に作成
※1…化石燃料の燃焼によって作られたエネルギーを使用する際に排出されるCO2
※2…CO2排出量を工場・事業場単位で15%以上または主要システム系統で30%以上削減する設備。空調・蒸気・給湯システムの電化、燃料転換を伴わない単純な高効率化改修は対象外。
出典:環境省『脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業(SHIFT事業)』
1-3.業務用建築物の脱炭素改修加速化事業 /公募開始予定:2025年3月頃
業務用建築物の脱炭素改修加速化事業は、業務用の既存建築物において脱炭素化のための外皮の断熱化および高効率機器の導入を支援する補助事業です。
▼業務用建築物の脱炭素改修加速化事業の補助内容
補助事業 |
主な要件 |
補助額 |
1.業務用建築物の脱炭素改修加速化支援事業(※)
|
|
定額(補助率1/2~1/3相当) |
2.業務用建築物の脱炭素改修先進モデル導入事業 |
CO2削減効果の高い技術・建材を導入するモデル実証を実施する |
補助率1/2~1/3(モデル実証は2/3) |
環境省『業務用建築物の脱炭素改修加速化事業』を基に作成
補助対象となる設備には、いずれも高効率空調設備に加えて高効率照明器具、断熱窓、断熱材などが含まれています。
※継続案件のみ
出典:環境省『業務用建築物の脱炭素改修加速化事業』
1-4.私立幼稚園施設整備費補助金 /公募開始予定:不定期
私立幼稚園施設整備費補助金は、全国の私立幼稚園において幼児教育環境を整備するための改修工事や設備更新などを支援する補助事業です。
事業内容の一つに省エネルギー化を推進するための“エコ改修”があり、省エネ型設備の設置・改修にかかった経費について補助を受けられます。
▼私立幼稚園施設整備費補助金の補助内容
項目 |
補助内容 |
補助率 |
2/3 |
上限額 |
1億円(※) |
対象設備 |
空調設備、省エネ型設備、太陽光発電 など |
文部科学省『全国こども政策関係部局長会議』を基に作成
設備の設置・改修にかかる工事費だけでなく、実施設計費や耐震診断費なども補助対象に含まれています。
※2024年度の上限額となり、2025年度は未定となっています。
出典:文部科学省『全国こども政策関係部局長会議』
2.空調設備に関する税制優遇
円安や資源高によるインフレーション下において、中小企業による設備投資を支援するために税制の優遇措置が設けられています。
経済産業省の『令和7年度税制改正に関する経済産業省要望』では、“中小企業経営強化税制”について2026年度末までの適用期限延長と上乗せ措置の検討が示されました。
空調をはじめとする一定の対象設備を導入する際には、2026年度末まで即時償却および10%(※1)税額控除のいずれかの適用を受けられます。
▼中小企業経営強化税制の概要
類型 |
要件 |
対象設備 |
生産性向上設備
(A類型)
|
非モデル比平均で生産性が1%以上向上する設備 |
機械装置
工具
器具備品
建物付随設備
ソフトウェア
|
収益力強化設備
(B類型)
|
投資収益率が年平均5%以上の投資計画にかかる設備 |
|
デジタル化設備
(C類型)
|
可視化や遠隔操作、自動制御のいずれかに該当する設備 |
|
経営資源集約化設備
(D類型)
|
修正ROA(※2)または有形固定資産回転率が一定割合以上の投資計画にかかる設備 |
経済産業省『令和7年度税制改正に関する経済産業省要望』を基に作成
なお、空調設備に該当する建物付随設備では、60万円以上の設備投資が対象とされています。
※1…資本金3,000万円超の場合は7%
※2…総資産利益率
出典:経済産業省『令和7年度税制改正に関する経済産業省要望』
3.地方公共団体が運用する助成金や優遇税制
地元の事業者・団体による省エネ設備の導入を支援するために、地方公共団体が運用している助成金や優遇税制もあります。ここからは、東京都が運用する主な助成金や優遇税制について紹介します。
▼東京都が運用する主な助成金や優遇税制
制度 |
概要 |
ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業 |
2050年カーボンニュートラルの実現に貢献するために、中小企業による省エネ設備の導入・運用を支援する助成金 |
私立学校省エネ設備等導入事業費助成事業 |
私立学校による省エネおよび再エネ設備の導入を支援する助成金 |
中小企業者向け省エネ促進税制 |
中小企業者が地球温暖化対策の一環として特定の省エネ設備を取得した際に個人事業税額を減免する制度 |
なお、ゼロエミッション化に関する助成金については、こちらの記事で詳しく解説しています。
出典:東京都産業労働局『ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業』/東京都主税局『中小企業者向け省エネ促進税制』
4.補助金や助成金を利用するときの注意点
空調設備の導入・リニューアルを行う際に補助金や助成金を利用する際は、公募期限、支給のタイミングについて注意が必要です。
▼注意点
- 申請には期間に余裕を持つ
- 締め切り前に申請受付が終了する制度もある
- 支給は工事の終了後になる
補助金や助成金には公募期限が設けられているほか、予算が上限額に達すると期限内でも公募が終了する制度があります。前年度に公表された予算の概算要求や補正予算の内容を基に利用する補助事業をチェックして、公募開始日に申請できるように準備を進めておくことが重要です。
また、補助金や助成金の審査に通過したあと、実際に支給されるタイミングは施策の終了後となります。空調設備の購入や設置費用について発生する予算を確保しておくことが欠かせません。
また、補助金の申請ステップについてはこちらの資料も併せてご確認ください。
→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「空調設備導入に活用できる補助金と申請ステップを紹介」
5.まとめ
この記事では、2025年度の省エネ補助金について以下の内容を解説しました。
- 空調設備の導入に活用できる4つの補助金
- 空調設備に関する税制優遇
- 地方公共団体が運用する助成金や優遇税制
- 補助金や助成金を利用するときの注意点
快適な施設環境の維持に欠かせない空調設備を高効率な機種にリニューアルすることで、夏場・冬場の消費電力量を抑えられます。これにより、コストの削減や環境負荷の低減につながります。
空調設備のリニューアルには本体費・施工費などが発生するため、補助金や助成金、優遇税制などをうまく活用することがポイントです。
TAKEUCHIでは、施設の空調設備に関するトータル改善を支援しております。施設の規模や課題に合った機種の選定だけでなく、省エネ効果を最大限に引き出す設置方法、運用効率を高める管理方法などもご提案し、長期的に安心してご使用いただけるようにサポートいたします。
空調設備の導入・リニューアルに活用できる補助金の申請ステップは、こちらの資料にまとめています。