ゼロエミッション東京でエアコンの買替えに利用できる助成金とは
地球温暖化による気候変動問題が世界で重要視されるなか、2015年に採択されたパリ協定では世界共通の長期目標として“2050年カーボンニュートラル”が掲げられました。
2050年カーボンニュートラルとは、2050年までに地球温暖化の主な原因となる温室効果ガスの排出を実質的(※)にゼロにする取り組みです。
▼2050年カーボンニュートラル
画像引用元:環境省 脱炭素ポータル『カーボンニュートラルとは』
東京都では、この2050年カーボンニュートラルの実現に貢献するために“ゼロエミッション東京”という新たな目標を掲げており、中小企業における省エネ設備の導入・運用改善を支援する助成事業を実施しています。
この記事では、ゼロエミッションの概要や東京都の助成金制度について解説します。
なお、業務用エアコンの導入・リニューアルに活用できる補助金は、こちらの資料にまとめています。ぜひご活用ください。
→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「空調設備導入に活用できる補助金と申請ステップを紹介」
※温室効果ガスの排出量と植木・森林などによる吸収量を均衡させること。
出典:環境省 脱炭素ポータル『カーボンニュートラルとは』
目次[非表示]
1.ゼロエミッションとは
ゼロエミッションとは、1994年に国際連合大学が提唱した地球環境の保護に関する考え方を指します。
かつて地球は、“無限の資源があり劣化しないもの”として考えられていました。しかし、産業活動によって資源を採取・生産・消費・廃棄するといったサイクルを繰り返すことは、資源の枯渇と環境汚染を招く原因となります。
▼現在の社会システム
画像引用元:国土交通省 東北地方整備局『“ゼロ・エミッション”ってなあに?』
持続可能な経済社会を実現するには、産業における生産工程を再編成して、資源の採取や廃棄物の発生を抑えた新たな“循環型社会システム”を構築することが求められています。
▼循環型社会システム
画像引用元:国土交通省 東北地方整備局『“ゼロ・エミッション”ってなあに?』
ゼロエミッションでは、“地球は有限で劣化する”という新たな考えを踏まえて、産業活動の省資源化や廃棄物の抑制・リサイクル・無害化を図り、環境負荷をできる限りゼロにすることが目標とされています。
出典:国土交通省 東北地方整備局『“ゼロ・エミッション”ってなあに?』
2.エアコンの買替えに利用できるゼロエミッション東京に関する助成金
東京都は、カーボンニュートラルの実現に貢献する“セロエミッション東京”という目標を掲げており、その一環として中小企業の省エネルギー化を推進する助成事業を実施しています。
なかでもエアコンは、事業活動において快適な施設環境を維持するために欠かせない設備といえます。夏場・冬場には、冷暖房による電力消費量が増加しやすくなるため、補助金を活用して省エネ化に向けたリニューアルを行うことも一つの方法です。
ここからは、東京都が実施する『ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業』(以下、助成金)について解説します。
2-1.対象事業者
東京都内に中小規模事業所を所有または使用する中小事業者が対象となります。
▼対象事業者
- 中小企業者
- 個人事業主
- 学校法人
- 一般社団(財団)法人
- 公益社団(財団)法人
- 医療法人
- 特定非営利活動法人
- 社会福祉法人
中小企業者とは、中小企業基本法において以下のように定義されています。
▼中小企業者の定義
業種 |
資本金 |
常時使用する従業員数 |
1.製造業・建設業・運輸業・そのほか(以下2~4を除く) |
3億円以下または300人以下 |
|
2.卸売業 |
1億円以下または100人以下 |
|
3.サービス業 |
5千万円以下または100人以下 |
|
4.小売業 |
5千万円以下または50人以下 |
中小企業庁『中小企業・小規模企業者の定義』を基に作成
また、中小企業者との契約によって共同で助成事業を実施するリース事業者やESCO事業者(※)も、一定の条件に該当する場合には助成対象となります。
※東京都地球温暖化対策ビジネス事業者に登録している事業者
出典:中小企業庁『中小企業・小規模企業者の定義』
2-2.助成要件
省エネ設備の導入や省エネ化に向けた運用改善を行った場合に、かかった経費の一部について補助を受けられます。
以下の4つの要件を満たす事業が助成対象となります。
▼助成対象となる事業の要件
|
東京都産業労働局『ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業』を基に作成
上記に含まれる省エネ設備や運用改善の取り組みには、以下が挙げられます。
▼省エネ設備や運用改善の例
対象となる取り組み |
具体例 |
省エネ設備の導入 |
高効率空調設備、LED照明設備、全熱交換器、高効率ボイラー、高効率変圧器、断熱窓 など |
運用改善の実践 |
人感センサーの導入、照明スイッチの細分化 など |
東京都産業労働局『ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業』を基に作成
助成対象となる経費は、設計費・設備費・工事費が該当します。将来のための兼用設備や予備設備の導入にかかった経費は、助成対象とはなりません。
出典:東京都産業労働局『ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業』
2-3.助成金額・助成率
助成金の交付額は、最大で5,000万円となっています。助成金額・助成率は、実施した事業の要件によって異なります。
▼助成金額・助成率
条件 |
助成率 |
助成金額の上限 |
|
要件1 |
a.事前に省エネ診断を受診した場合 |
3分の2 |
2千500万円 |
b.事前に省エネ診断を受診して、特定要件(※)を満たす省エネ設備を導入した場合 |
4分の3 |
5千万円 |
|
要件2 |
事業者が自ら計画を策定した場合 |
3分の2 |
1千万円 |
東京都産業労働局『ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業』を基に作成
※CO2排出量の削減見込みが50%以上かつ、エネルギー消費量の削減見込みが50%以上の要件を満たす省エネ設備
出典:東京都産業労働局『ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業』
2-4.交付申請期間
助成金の交付を受けるには、定められた受付期間内に申請を行う必要があります。事業実施年度は2023~2025年度まで(※)とされており、次回の申請は5回目となります。
▼第5回の交付申請受付期間
2025年1月20日(月)~2025年1月31日(金)まで
なお、第5回の予定予算は13億円とされており、予算を超過した場合には抽選が行われることとなります。
※助成金の交付は2026年度まで
3.助成金の申請から交付までの流れ
助成金の申請後は、公益財団法人 東京都環境公社による交付決定が行われてから、工事の契約・着工を進める必要があります。申請から交付決定までに、2ヶ月ほどの期間がかかります。
▼申請から交付までの工程例
流れ |
実施者 |
概要 |
1.申請 |
事業者 |
指定の電子フォームに必要事項の入力と必要書類の添付を行い申請する |
2.審査 |
公社 |
申請内容の審査が行われ、交付・不交付が決定される |
3.交付決定 |
公社 |
交付決定された事業者に対して、公社から助成金交付決定通知書の送付が行われる |
4.工事契約・着工 |
事業者 |
最安値の見積書を提示した事業者と工事の契約を交わして着工する |
5.工事完了 |
事業者 |
助成事業が完了した日から起算して30日以内に工事完了届兼交付請求書を公社に提出する |
6.現地調査 |
公社 |
工事完了の届出内容を確認して、必要に応じて事業所での現地調査が行われる |
7.助成金額の決定 |
公社 |
助成金の条件に適合する場合に助成金額が決定され、助成金額確定通知書が送付される |
8.助成金の交付 |
公社 |
事業者への助成金交付が行われる |
申請方法は電子フォームが原則とされており、電子メールや郵送での申請を行いたい場合には個別の相談が必要です。また、申請時には複数の提出書類が必要になるほか事業者によって内容が異なるため、詳細は募集要項をご確認ください。
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4.まとめ
この記事では、ゼロエミッションについて以下の内容を解説しました。
- ゼロエミッションの概要
- ゼロエミッション東京に関する助成金制度
持続可能な循環型社会を実現するには、ゼロエミッションの目標を踏まえて資源・エネルギーの消費削減や再利用を推進することが求められます。
東京都が実施するゼロエミッション化に向けた助成金を活用することで、エアコンをはじめとする省エネ設備の導入にかかった経費の一部を補助してもらえます。
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業務用エアコンの導入・リニューアルに活用できる補助金は、こちらの資料にまとめています。ぜひご活用ください。
→【おすすめ!】記事の最後に読みたい「空調設備導入に活用できる補助金と申請ステップを紹介」
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