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空調設備の補助金と助成金。2024年度の制度と申請のポイントを解説

世界的なエネルギー価格の高騰や、地球温暖化の対策に向けたCO2削減への対応が求められるなか、省エネルギー化が社会全体の重要な課題となっています。

なかでも施設の快適な環境を維持するための“空調”による消費電力は、学校・医療機関・オフィスビルなどの建物でもっとも高い割合を占めています。省エネルギー化を図るには、高効率な空調設備やエネルギー使用量を管理できるシステムなどの導入が有効と考えられます。

国や地方公共団体では、省エネルギー化を促進するために補助金や助成金を運用しており、空調設備を導入・更新する際にも活用できる制度があります。

空調設備の導入またはリニューアルを考えている施設管理者のなかには、「空調設備に関する補助金・助成金にはどのような種類があるのか」「スムーズに受給するために押さえておくポイントはあるか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、空調設備に関連する補助金・助成金と申請する際のポイントについて解説します。

なお、この記事は2024年2月29日時点の情報を基に作成しています。


出典:経済産業省『夏季の省エネ・節電メニュー


→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「空調設備リニューアルにおける補助金活用の流れと実績紹介」




目次[非表示]

  1. 1.1.空調設備の導入・更新に活用できる3つの補助金
    1. 1.1.●省エネ支援策パッケージ
    2. 1.2.●工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業
    3. 1.3.●業務用建築物の脱炭素改修加速化事業
  2. 2.2.補助金をスムーズに活用するための申請のポイント
  3. 3.3.まとめ


1.空調設備の導入・更新に活用できる3つの補助金

学校・介護施設・工場・オフィスなどをはじめとする業務用の建物において、省エネルギー化や脱炭素化を推進するための補助金があります。空調設備に関する補助金には、主に以下の3つが挙げられます。


●省エネ支援策パッケージ

省エネ支援策パッケージは、2023年度補正予算による省エネ支援策のことです。事業者向けの事業では、学校や介護施設、工場、オフィスなどの空調設備を省エネ設備へと更新するための支援が行われています。

省エネ支援策パッケージには3つの類型があり、そのうち“設備単位型”の対象設備に“高効率空調”が含まれています。


▼省エネ支援策パッケージ(設備単位型)の概要

項目
補助内容
主な要件
事前に設定したエネルギー消費効率の基準を満たすこと
補助対象設備をリストから選択して導入すること(高効率空調・業務用給湯器・産業用モータ など)
補助率
1/3
補助額
上限1億円、下限30万円

経済産業省『令和5年度補正予算における省エネ支援策パッケージ』を基に作成


なお、空調設備の省エネルギー化についてはこちらの記事で解説しています。

  空調を省エネルギー化するには? 運転方法の見直しと設備改善のポイント 近年、世界的な燃料価格の高騰や円安を背景に、国内の電気料金が上昇しています。学校や介護施設を運営する法人、一般企業においては、電気料金の上昇が事業の運営に大きな影響を及ぼしているケースも見られます。電気料金の削減を図るための施策の一つに、施設内に備えている空調設備の省エネルギー化が考えられます。この記事では、空調の使用電力を削減する運用方法や省エネルギー化を推進する空調設備について解説します。 TAKEUCHI株式会社


●工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業

工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(以下、SHIFT事業)は、エネルギー起源CO2の削減によって脱炭素化の促進を目指す補助事業です。

工場・事業場での脱炭素化に向けて、CO2排出量の少ない高効率な設備や再エネ設備などの導入・更新を行う場合に補助を受けられます。補助対象となる設備には、空調設備や空調システムなども含まれています。


▼補助対象となる設備の例

  • 高効率な空調設備・給湯設備
  • 電化・燃料低炭素化した業務用設備機器や生産設備
  • 再生可能エネルギー発電設備
  • 太陽熱供給設備 など

SHIFT事業による省CO2型設備更新支援には3つの種類があります。


▼省CO2型設備更新支援事業の種類

事業の種類
概要
A.標準事業
一定割合以上のCO2を削減する計画に基づいた設備の更新を補助する
B.大規模電化・燃料転換事業
大規模な電化・燃料転換を伴う設備への更新を補助する
C.中小企業事業
CO2削減量比例型の設備更新を補助する


▼省CO2型設備更新支援の概要

事業内容
主な要件
補助率
補助上限額
標準事業
事業所・工場の年間CO2排出量を15%削減する
1/3
1億円
主要なシステム系統の年間CO2排出量を30%削減する
大規模電化・燃料転換事業
主要なシステム系統で以下のすべてを満たす
電化・燃料転換
CO2排出量を4,000t-CO2/年以上削減
CO2排出量を30%以上削減
5億円
中小企業事業
以下のいずれが低い額を補助する
年間CO2削減量×法定耐用年数×7,700(円)
補助対象経費の1/2
5000万円

環境省『令和5年度SHIFT事業』を基に作成 
※エネルギー起源CO2とは、排出されるCO2のうち燃料の燃焼や電気・熱の使用に伴うCO2のことを表す。


●業務用建築物の脱炭素改修加速化事業

業務用建築物の脱炭素改修加速化事業は、学校・介護施設・工場・オフィスなどの業務用施設の脱炭素化を目指す事業です。既存の業務用施設に対して外皮の高断熱化や高効率な空調設備の導入を行う際に補助を受けられます。


▼業務用建築物の脱炭素改修加速化事業の概要

項目
補助内容
主な要件
改修後の外皮性能BPIが1.0以下になること
1次エネルギー消費量を省エネルギー基準から30%または40%程度以上削減すること
BEMSによるエネルギー管理を行うこと
補助額
改修内容に応じて定額または補助率1/2~1/3相当

環境省『令和6年度予算(案)及び令和5年度補正予算 脱炭素化事業一覧』を基に作成
出典:環境省『業務用建築物の脱炭素改修加速化事業』『令和6年度予算(案)及び令和5年度補正予算 脱炭素化事業一覧


地方公共団体が運用する助成金もある

空調設備の導入やリニューアルを行う際には、国の補助金だけでなく地方公共団体が運用する助成金を活用する方法もあります。

▼東京都が運用する主な助成金

運用元
助成金
概要
東京都中央区
事業所用自然エネルギー・省エネルギー機器等導入費助成
中央エコアクト(中央区版二酸化炭素排出抑制システム)の特典を受けた事業者への助成金額が増額となる優遇措置
東京都葛飾区
かつしかエコ助成金
再生可能エネルギーの利用促進および省エネ・節電対策として、太陽光発電システムや省エネ機器などを導入する費用の一部を助成する
東京都北区
再生可能エネルギー及び省エネルギー機器等導入助成
温室効果ガスの排出削減を目的として、再生可能エネルギーおよび省エネルギー機器を導入する費用の一部を助成する
公益財団法人東京都私学財団
東京都私立学校省エネ設備等導入事業費助成金
クール・ネット東京による省エネ診断を受けて、既存の校舎に省エネ設備を導入する費用の一部を助成する

施設や事業所のある地方公共団体で助成金を行っていれば、活用できる可能性があります。詳しくは、地方公共団体のホームページをご確認ください。

出典:東京都北区『再生可能エネルギー及び省エネルギー機器等導入助成(令和5年度)』/東京都葛飾区『令和5年度《事業所用》かつしかエコ助成金のご案内』/東京都中央区『事業所用自然エネルギー・省エネルギー機器等導入費助成



2.補助金をスムーズに活用するための申請のポイント

補助金の申請手続きから受給までをスムーズに進めるには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。


▼申請のポイント

  • 公募要項を確認する
  • 申請する補助金の目的を理解する
  • 実現性のある事業計画を具体的に策定する

補助金の種類によって要件や取り組みが異なるほか、期間内での申請が必要になるため、公募要項を事前に確認しておくことが重要です。

また、補助金は申請すれば必ず利用できるものではありません。補助金の趣旨に沿った事業計画を策定して採択を受けたあと、事業計画に基づいて目標を達成するための取り組みを実行する必要があります。事業計画を策定する際は、その事業の分野における専門家に相談することも一つの方法です。

なお、省エネルギー化を図る空調設備の運用方法と改善のポイントについては、こちらの記事で解説しています。

  空調を省エネルギー化するには? 運転方法の見直しと設備改善のポイント 近年、世界的な燃料価格の高騰や円安を背景に、国内の電気料金が上昇しています。学校や介護施設を運営する法人、一般企業においては、電気料金の上昇が事業の運営に大きな影響を及ぼしているケースも見られます。電気料金の削減を図るための施策の一つに、施設内に備えている空調設備の省エネルギー化が考えられます。この記事では、空調の使用電力を削減する運用方法や省エネルギー化を推進する空調設備について解説します。 TAKEUCHI株式会社


3.まとめ

この記事では、空調設備に関連する補助金について以下の内容を解説しました。


  • 空調設備の導入・更新に活用できる3つの補助金
  • 地方公共団体が運用する助成金
  • 補助金をスムーズに活用するための申請のポイント


学校や介護施設、工場、オフィスなどにおいて省エネルギー化を進めるには、消費電力の多くを占める空調設備の見直しが有効と考えられます。

高効率な空調設備やエネルギー使用量を管理できるシステムの導入には費用がかかるため、国または地方公共団体が運用する補助金・助成金をうまく活用することがポイントです。

空調設備に関するご相談は、ぜひTAKEUCHIまでお寄せください。TAKEUCHIでは、空調・給排水・電気など建物の設備についてのトータル改善をサポートしております。施設の規模や課題などを踏まえて、省エネで快適な室内環境づくりを実現します。

詳しくは、こちらから資料をご覧ください。

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