【ニーズ別徹底比較!】業務用エアコンのメーカーガイド
学校や介護施設、工場、オフィスなどに設置する業務用エアコンは、各メーカーからさまざまな機能を備えた機種が販売されています。
新たに施設の業務用エアコンをリニューアルする際には、現在のお悩みに合わせて必要な機能が搭載された機種を選ぶことが大切です。
この記事では、空調のお悩み別に業務用エアコンのおすすめ機種を紹介します。
なお、業務用エアコンの導入・リニューアルに活用できる補助金は、こちらの資料にまとめています。ぜひご活用ください。
→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「空調設備導入に活用できる補助金と申請ステップを紹介」
目次[非表示]
1.【お悩み別】業務用エアコンのメーカーでおすすめの機種
業務用エアコンの運用にあたっては、施設の用途や広さ、設備の管理体制などによってさまざまな悩みが生じることがあります。ここでは、空調のお悩みを解決できる各メーカーのおすすめ機種をピックアップしました。
1-1.空調の稼働時間が長く、ランニングコストが上昇している
24時間にわたって空調を利用する病院や介護施設、工場などの施設では、電力消費量が増えてランニングコストの増加につながりやすくなります。
ランニングコストを抑えるには、高効率な運転によって電気消費量を削減できる“省エネ機能”を備えた機種を選ぶことがおすすめです。
業務用エアコンの省エネ性能を判断する指標に“APF”または“APFp”があります。
▼APFとAPFpについて
指標 |
概要 |
APF |
特定の条件でエアコンを1年間運転させた場合の消費電力1kw当たりの冷房・暖房能力 |
APFp |
電気の発電ロスを考慮した通年エネルギー効率 |
APF値・APFp値が高いほど高効率な運転ができるエアコンと判断できます。
なお、APFpは2015年10月に改訂された新たなJIS規格です。APFは二次エネルギー換算によって電力消費量を算出していましたが、APFpは発電ロスを考慮した一次エネルギー換算で算出されるため、より運転実態に即した性能指標となります。
高い省エネ機能が備わったおすすめの機種には、次の3つが挙げられます。それぞれ使用する燃料や運転方式が異なります。
1-1-1.ダイキン|VRV7 Xシリーズ
『VRV7 Xシリーズ』は、エネルギー効率と環境負荷低減に優れた低温暖化冷媒“R32(HFC-32)”を採用したビル用マルチエアコンです。
R410Aの冷媒を用いた従来シリーズと比較してAPF値が約5%向上しており、業界トップクラスの省エネ性を実現しています。
▼【能力別】VRV7 XシリーズのAPF値
従来シリーズ(R410A) |
VRV7 Xシリーズ(R32) |
|
8馬力 |
6.7 |
6.8 |
10馬力 |
6.4 |
6.6 |
12馬力 |
6.6 |
6.7 |
14馬力 |
6.5 |
6.8 |
16馬力 |
6.7 |
6.8 |
ダスキン VRV7シリーズ参考:『ビル用マルチエアコン『VRV 7』シリーズを新発売』
▼VRV7 Xシリーズの省エネ性能
- 複数台の室外ユニットを自動制御して高い運転効率を維持
- マイクロチャネル熱交換器の流路改善により熱交換効率を向上
- 高効率な高効率集中巻モーターや新型圧縮機を搭載
- デマンド制御機能の向上により消費電力の抑制を実現
参考:ダスキン『ビル用マルチエアコン『VRV 7』シリーズを新発売』
1-1-2.ヤンマー|GHP XAIR(エグゼア)Ⅲ
『GHP XAIR(エグゼア)Ⅲ』は、省エネと節電を実現する性能・機能を備えた超高効率ガス空調システムです。
次世代機として販売されたLシリーズでは、全機種でAPFp値が2.09以上を達成しており、従来のKシリーズと比較して省エネ性が最大15%向上しています。
▼【能力別】GHP XAIR(エグゼア)ⅢのAPFp値
Kシリーズ |
Lシリーズ |
|
16馬力 |
1.81 |
2.09 |
20馬力 |
1.98 |
2.09 |
25馬力 |
1.95 |
2.12 |
30馬力 |
1.85 |
2.09 |
ヤンマー Lシリーズ参考:『Lシリーズの特長』
▼GHP XAIR(エグゼア)Ⅲの省エネ性能
- マイクロチャネル熱交換器の採用と流路改善により高効率化を実現
- 圧縮機内部の材質変更で冷媒漏れを低減して圧縮効率を向上
- 電気モーターで駆動するEHP(電気式ヒートポンプ)と比較して、10分の1以下の消費電力を実現
参考:ヤンマー『Lシリーズの特長』
1-1-3.パナソニック|スマートマルチ
『スマートマルチ』は、GHP(ガス式ヒートポンプ)とEHP(電気式ヒートポンプ)を同一の冷媒系統に接続したハイブリッド空調です。
エネルギーの使用状況に応じて電気とガスの運転比率を遠隔制御することにより、高効率な運転を実現しています。
▼スマートマルチのAPFp(20馬力マルチ機種での比較)
従来標準マルチ機種 |
現行標準マルチ機種 |
一体型ハイブリッド空調 |
|
20馬力 |
1.97 |
2.11 |
2.46 |
パナソニック スマートマルチ参考:『ハイブリッド空調「スマートマルチ」一体型』
▼スマートマルチの省エネ性能
- 節電効果の高いGHPと併用することで電力のピークカットを実現
- ガスと電気の2種類の燃料で高効率の運転が可能になり、エネルギー料金の変動リスクを低減
- 遠隔監視アダプタの使用によりGHPとEHPの運転比率の最適制御が可能
参考:パナソニック『ハイブリッド空調「スマートマルチ」一体型』
→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「空調設備導入に活用できる補助金と申請ステップを紹介」
1-2.広いスペースで冷暖房の効きにムラができてしまう
施設の面積が広く冷暖房の効きにムラが生じてしまう悩みを解決するには、エアコンの設置方法や吹出方向を改善する方法が考えられます。
室内の隅々まで冷暖房の気流が届きやすい天井埋込形や吹出口の数が多い機種を選ぶことで、温度のムラができにくくなります。
1-2-1.ダイキン|天井埋込形エアコン『S-ラウンドフロータイプ』
『S-ラウンドフロータイプ』は、ダイキンの業務用エアコン『スカイエア』シリーズにおいて選択できる室内機の一種です。
天井埋込形エアコンで一般的だった4方向の吹出口が8方向に増加しており、360度の方向で気流を届けられます。
▼冷暖房のムラを抑える機能
- 床温度センサーで床温度を検知して、暖房時に足元まで暖められる
- 天井付近と足元の温度差を検知して、冷房時の冷やしすぎを防止
- 人検知センサーにより、不快な風当たり(ドラフト)を軽減
- 立ち上がり時の気流を制御するアクティブ・サーキュレーションで温度ムラを抑制
参考:ダスキン『天井埋込形エアコン「S-ラウンドフロータイプ」』
1-3.人が密集しやすく感染症の拡大が心配
人が密集しやすい病院や高齢者施設、学校などにおいては、感染症が拡大するリスクがあります。
大勢の人が利用する施設では、室内の空気をきれいに保つための空調設備が求められます。空気洗浄や換気を行える機能が備わった機種がおすすめです。
1-3-1.パナソニック|ナノイーX
『ナノイーX』は、空気中の菌・ウイルスや花粉、PM2.5Mなどの有害物質を抑制する微粒子イオン“OHラジカル”を生成するパナソニック独自の技術です。
ナノイーXが搭載された業務用エアコンでは、微粒子イオンが部屋の隅々まで拡散されて空気中の汚れやにおいを低減することが可能です。有害物質の作用を抑制する微粒子イオンの量は、一般的なマイナスイオンの約1,000倍となっています。
▼ナノイーXが持つ空気洗浄の機能
- 空気中に浮遊・付着する菌やウイルスを抑制
- 主要なカビ菌やアレルギー物質の抑制、M2.5の分解効果を実証
- 空間に染み付いたにおいの脱臭
参考:パナソニック『業務用空調 ナノイーX TOP』
1-3-2.ダイキン|スカイエア+ベンティエール
ダイキンが販売する業務用エアコンの『スカイエア』シリーズでは、高効率換気設備の全熱交換器ユニットを組み合わせることが可能です。
全熱交換器ユニットを介して給気・排気をコントロールすることにより、冷暖房の快適な室温を維持しながら安定した換気を行えるようになります。
窓や扉の開放による換気と比較して冷房時に約43%、暖房時に約47%の省エネ性能を向上できます。
▼ベンティエールの換気機能
- 空気の入れ替え時に熱交換を行うことで、冷暖房で整えた室温を維持
- CO2センサー(別売品)の追加で、CO2濃度に応じて換気量を自動制御
- 高性能フィルターユニット(別売品)で換気時の微細な粉塵の侵入を防止
参考:ダイキン『ダイキンの換気』
1-4.管理者が不足しておりトラブル時の対応が不安
空調設備の管理者が不足しており、異常が発生した際の対応に不安がある施設では、遠隔監視や自動制御によってエアコンを管理する方法があります。
1-4-1.ヤンマー|GHP遠隔監視システム『RESS』
GHP遠隔監視システム『RESS』は、施設に設置したガス空調の運転状況を遠隔監視するサービスです。トラブルが発生した際には、サービス担当者への連絡が自動で行われ、現地まで駆けつけてもらえます。
▼GHP遠隔監視システムのサービス内容
- 専用Webサービスを利用した運転データの閲覧
- サービス担当者による定期的なメンテナンスの実施
- サービス担当者による緊急時の早期対応
参考:ヤンマー『GHP(ガス空調) 遠隔監視システム』
1-4-2.パナソニック|スマートマルチの遠隔制御サービス
GHPとEHPを組み合わせたハイブリッド空調のスマートマルチでは、運転を自動制御するガス会社のサービスを利用できます。
室外機に遠隔監視アダプタを設置することにより、管理者が手動で操作しなくても運転比率を自動で制御することが可能です。
▼遠隔制御サービスの内容
- デマンドを監視して遠隔サーバからGHPとEHPの運転比率を最適化
- 空調にかかるエネルギーやメンテナンスの見える化
参考:パナソニック『ハイブリッド空調(スマートマルチ)』
2.まとめ
この記事では、業務用エアコンについて以下の内容を解説しました。
- 業務用エアコンの運用における悩み
- 悩みを解消するメーカーのおすすめ機種
業務用エアコンには、使用する燃料や運転方式、追加できる設備・サービスなどにさまざまな種類があります。施設のお悩みに合わせて必要な性能や機能を洗い出しておくと、比較検討がしやすくなります。
また、今回紹介した機種のほかにも、災害時に備えた停電時のバックアップ機能が搭載された機種、厨房や工場といった特殊な環境に適した機種などもあります。
TAKEUCHIでは、貴社のニーズを詳細にヒアリングしたうえで、施設の用途や求められる機能に適した機種を選定します。導入からメンテナンスのスケジュール策定に至るまで、一貫したサポートで業務用エアコンのリニューアルをお手伝いいたします。
省エネ効果を最大限に引き出す設置方法や、運用効率を高める管理方法もご提案し、長期的に安心してご使用いただけるようにサポートいたします。
業務用エアコンの導入・リニューアルに活用できる補助金は、こちらの資料にまとめています。ぜひご活用ください。