業務用エアコンの選び方。3つの基準と施設に応じた選定のポイント
業務用エアコンには、形状や設置方法、空調方式などが異なるさまざまなタイプが存在します。快適で過ごしやすい空気環境をつくるには、用途や設置場所に合わせた業務用エアコンを選ぶことが必要です。
学校や介護施設、工場、オフィスなどの施設管理者のなかには「業務用エアコンをどのような基準で選べばよいのか」「施設によってどのような点を考慮しておくとよいか」と気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、業務用エアコンの選び方と施設に応じた選定のポイントについて解説します。
なお、業務用エアコンの取り付け工事についてはこちらの記事で解説しています。併せてご覧ください。
目次[非表示]
- 1.業務用エアコンの選び方
- 1.1.①形状
- 1.1.1.タイプ1|天井埋込カセット型
- 1.1.2.タイプ2|天井吊型
- 1.1.3.タイプ3|壁掛型
- 1.1.4.タイプ4|床置型
- 1.1.5.タイプ5|天井埋込ダクト型
- 1.2.②馬力
- 1.3.③空調方式
- 2.【施設別】業務用エアコンを選ぶ際のポイント
- 3.まとめ
業務用エアコンの選び方
業務用エアコンを選ぶ際には、形状・馬力・空調方式の3つを基準に検討する必要があります。ただし、現状の空調設備から数を増やさずに機器の交換のみを行う場合は、現状の設備と同じ形状・空調方式のなかから選択することになります。
①形状
業務用エアコンの形状には、主に5つの種類があります。設置方法やサイズ、吹出口の数・方向が異なるため、建物の構造、設置場所のスペース、施設の用途などに応じて選択することがポイントです。
タイプ1|天井埋込カセット型
天井埋込カセット型は、天井部分に穴を空けて室内機を埋め込んで設置するタイプのエアコンです。吹出口の数には1方向・2方向・4方向の種類があり、下吹きと前吹きを調整できることが特徴です。
▼天井埋込カセット型のメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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タイプ2|天井吊型
天井吊型は、室内機を天井に吊り下げて設置するタイプのエアコンです。吹出口は1方向となり、部屋のどちらか片方の端に設置します。
▼天井吊型のメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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タイプ3|壁掛型
壁掛型は、壁の上部に室内機を設置するタイプのエアコンです。家庭用のエアコンでも用いられる形状で、吹出口は1方向のみとなります。
▼壁掛型のメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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タイプ4|床置型
床置型は、室内機を床に置いて設置するタイプのエアコンです。縦型の形状となっており、人がいる高さのあたりに吹出口があるものが一般的です。
▼床置型のメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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タイプ5|天井埋込ダクト型
天井埋込ダクト型は、天井部分に吹出口と吸込口を分けて設置するタイプのエアコンです。ダクトを介して送風を行うことから、風向きを自由に調整できます。
▼天井埋込ダクト型のメリット・デメリット
メリット |
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デメリット |
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②馬力
設置場所の広さや用途に応じて業務用エアコンの馬力を選ぶ必要があります。
馬力とは、業務用エアコンが冷暖房を行う能力のことです。広さや用途に対して必要な馬力が足りない場合、設定温度になるまで時間を要したり、消費電力が増えて電気代が増加したりする可能性があります。
学校や病院、事務所などに求められる一般的な馬力は、以下のとおりです。
▼面積に対して求められる一般的な馬力
平米数 |
馬力 |
24~35㎡ |
1.5馬力 |
26~39㎡ |
1.8馬力 |
29~43㎡ |
2馬力 |
33 ~ 49㎡ |
2.3馬力 |
37 ~ 55㎡ |
2.5馬力 |
47 ~ 70㎡ |
3馬力 |
66 ~ 97㎡ |
4馬力 |
82 ~ 122㎡ |
5馬力 |
94 ~ 139㎡ |
6馬力 |
132 ~ 195㎡ |
8馬力 |
165 ~ 243㎡ |
10馬力 |
197 ~ 291㎡ |
12馬力 |
以下のような場所では熱による冷暖房の負荷が大きくなりやすいことから、より高い馬力数が必要になる場合があります。
▼より高い馬力数が必要になりやすい場所
- 熱を発するOA機器や製造設備がある場所
- 人の密度が高い場所
- 加熱調理が行われたり、冷蔵ショーケースを設置したりする飲食店
- 床・壁・天井・窓などの断熱性能が低い場所
- 人の出入りが多い、または扉の開放が多い場所 など
③空調方式
業務用エアコンの空調方式には、主に個別空調とセントラル空調があります。各部屋・エリアの使い方に応じて空調方式を選ぶことがポイントです。
▼個別空調とセントラル空調の特徴
空調方式 |
特徴 |
個別空調 |
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セントラル空調 |
|
必要な場所・時間帯だけ冷暖房を行いたい場合や、部屋ごとに温度調節を行いたい場合には個別空調が適しています。一方、施設の利用時間が決まっており、建物全体で均一した温度管理を行いたい場合にはセントラル空調が適していると考えられます。
なお、個別空調とセントラル空調についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
【施設別】業務用エアコンを選ぶ際のポイント
どのような施設で空調を利用するかによって、求められる機能は異なります。業務用エアコンを導入する際に押さえておくポイントを施設別に解説します。
なお、TAKEUCHIの業種別課題における空調リニューアルの提案と事例紹介の資料はこちらからダウンロードしていただけます。併せてご確認ください。
学校
学校では、夏場の熱中症や身体の冷えによる体調不良などを防ぐとともに、学習に集中できる環境をつくることが求められます。教室・特別教室・体育館において温度・湿度を快適に保つための空調設備が必要です。
▼学校に導入する空調設備を選ぶポイント
- 教室内の座席によって快適性が変わらないようにムラのない空調を行う
- 使用しない教室で個別に電源のオン・オフを切り替えられるようにする
- 体育館は十分な断熱性が備わっていない場合があるため、断熱改修も含めて検討する など
▼TAKEUCHIが学校の空調をリニューアルした事例
学校の体育館に空調設備の新規設置を行いました。学校関係者だけでなく、指定避難所として地域住民の安心な暮らしにも貢献しています。
なお、学校における空調の設置状況や必要性については、こちらの記事をご確認ください。
病院や介護施設
病院や介護施設では、体調管理に特に配慮が必要な患者が過ごすことから、きめ細かな温度調整や感染症対策を行える空調設備が必要です。
▼病院や介護施設に導入する空調設備を選ぶポイント
- 部屋やエリアに応じて個別の温度管理を行う
- 熱中症や感染症を予防するために湿度管理を行う
- 換気や空気清浄の機能によって安全な空気環境を維持する
- 入院患者・入所者がいる施設では、就寝時に運転音が気にならないようにする など
▼TAKEUCHIが病院の空調設備をリニューアルした事例
病院の空調設備をリニューアルしたことにより、年間エネルギー消費量を約15%削減することに成功しました。同時に医療環境の改善も実現しています。
なお、病院や介護施設の空調管理についてはこちらの記事をご確認ください。
工場
工場では、従業員の健康管理や製造設備の負荷軽減、製品の品質保持などのために空調によって空気環境を管理することが求められます。
▼ポイント
- 作業場や区域ごとに電源の切り替えや温度調節を行う
- 換気や空気清浄の機能によって安全な空気環境を維持する
- 作業場や設備機器のエネルギー使用量を管理して、制御できるようにする など
▼TAKEUCHIが工場の空調設備をリニューアルした事例
工場施設内にある空調の故障に伴いリニューアルを行いました。従業員の方々の負担を抑えるために1日で作業を完了させ、作業環境の改善に貢献しました。
なお、工場の空調管理についてはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
この記事では、業務用エアコンについて以下の内容を解説しました。
- 業務用エアコンの選び方
- 【施設別】業務用エアコンを選ぶ際のポイント
業務用エアコンには、形状・馬力・空調方式が異なるさまざまな種類があります。建物の構造や広さ、求められる環境によって必要なエアコンの機能・能力は異なるため、施設環境に合わせて選ぶことが重要です。
TAKEUCHIでは、業務用エアコンの導入設計から施工、保守メンテナンスまでトータルサポートしています。三次元シミュレーションによる気流の可視化によって、施設の特徴や使用環境に合わせた空調をプランニングいたします。
詳しくは、こちらをご覧ください。