病院の空調設備に求められる4つの要素。リニューアルを行う際の注意事項とは
病院やクリニックなどの医療施設では、体調管理に配慮が必要な患者が往来または入院しているため、快適で安全に過ごせる室内環境を保つことが求められます。
なかでも空調設備は、温度・湿度の管理や換気によって過ごしやすい空気環境を維持したり、感染症対策を行ったりするために重要です。
医療施設の管理者のなかには「病院内の空調設備に何が求められるのか」「リニューアルを行う際に注意しておくことはあるか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、病院の空調設備に求められる要素や注意事項、空調のリニューアルを行う際のポイントについて解説します。
なお、介護施設の空調管理についてはこちらの記事で解説しています。
目次[非表示]
- 1.病院の空調設備に求められる4つの要素
- 2.病院の空調設備をリニューアルする際の注意事項
- 2.1.人による体感温度の違い
- 2.2.省エネルギー化の推進
- 2.3.清掃やメンテナンスによるコスト
- 3.病院に適した空調設備を導入するポイント
- 4.まとめ
病院の空調設備に求められる4つの要素
病院の空調設備には、快適な温度・湿度を維持するとともに、各施設の規模や用途に応じて快適かつ安全に過ごせる環境づくりが求められます。
空調設備に求められる要素には、次の4つが挙げられます。
①温度調整
患者が暑い・寒いといったストレスを感じないように、季節に応じた温度調整を行うことが求められます。
高温・低温または外気との温度差がある室内環境では、さまざまな健康リスクを招いたり、睡眠の質が低下したりするおそれがあります。
病院では、病室や共用スペース、治療室など、エリアの使用用途に応じて快適な温度を保てるように空調設備で温度管理を行うことが重要です。なお、基礎看護学において、病室の望ましい室温は夏場で25~27℃、冬場で20〜22℃と定義されています。
②湿度調整
肌の乾燥や熱中症の予防、院内での感染症対策のために、空調設備で湿度調整を行うことが求められます。
湿度が低くなると肌が乾燥しやすくなるほか、感染症の原因となるウイルスや細菌が飛沫しやすくなります。また、夏場に湿度が高くなると熱中症にかかりやすくなるリスクがあります。
患者と職員の体調不良や院内における感染症の感染拡大を防ぐには、湿度40%以上を目安に保湿することが重要です。
出典:厚生労働省『接客業務における新型コロナウイルス感染予防・対策マニュアル』/厚生労働省 山梨労働局『熱中症って?』
③静音・消音
病院の空調設備には、稼働音や送風音が静かで聞こえにくいことが求められます。
病院で生活する入院患者にとって、常に空調設備の稼働音や送風音が聞こえる状態は、ストレスにつながる可能性があります。特に就寝時は、日中と比べて音が気になりやすいと考えられます。
入院患者が快適に過ごせる施設環境をつくるには、稼働音や送風音が静かな空調設備が必要となります。
④換気
病院での感染症対策やにおいの防止のために、換気を行える空調設備が求められます。
室内の換気が悪い場合、感染症の原因となる微細なウイルスや細菌が空気中を漂い、飛沫感染につながるリスクがあります。特に咳・くしゃみをしている患者がいる場所や、多数の人が集まる受付または待合室などでは、換気をして空気の入れ替えを行うことが重要です。
また、食事の際や共同部屋での生活では、においが気になるケースもあります。これらへの対策として、施設の広さや用途に適した換気性能を持つ空調設備を利用することが必要です。
出典:厚生労働省『接客業務における新型コロナウイルス感染予防・対策マニュアル』
病院の空調設備をリニューアルする際の注意事項
病院の空調設備をリニューアルする際は、患者にとって快適な環境をつくるとともに、環境面やコスト面にも考慮が必要です。押さえておきたい注意事項には、以下が挙げられます。
人による体感温度の違い
「暑い」「寒い」と感じる体感温度は人によって異なります。患者の病状や体調、年齢、体格などによって体感温度が変わることを考慮して、空調設備の温度調整を行う必要があります。
また、同じ空調設備の設定温度でも、窓からの採光や室内の形状などによって室内温度が変わることがあります。病院においては、患者の体感温度や院内の環境に合わせて個別に温度調節を行える空調設備を導入することが重要です。
省エネルギー化の推進
空調設備を運転する際の消費電力を抑制するために、省エネルギー化を図ることが重要です。
入院患者がいる病院では、空調設備を24時間稼働し続ける必要があるため、エネルギー効率の悪い空調設備では電気代が増加しやすくなります。
また近年では、国内の電気料金が上昇していることに加えて、地球温暖化の問題に対応するための脱炭素化への取り組みが重要視されています。電気料金の上昇や環境問題に対応するためにも、空調設備の省エネルギー対策が必要です。
▼省エネルギー化を図る空調設備の例
- 全熱交換器
- 空調の遠隔制御システム
- ガス空調 など
なお、空調の省エネルギー化についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁『第1節 脱炭素を巡る世界の動向』『電気料金の改定について(2023年6月実施)』
清掃やメンテナンスによるコスト
空調設備を安定稼働させて長寿命化につなげるには、定期的な清掃とメンテナンスが必要になり、維持コストがかかります。
清掃は、ホコリやカビなどによる健康被害を防いで、常に清潔な状態で空調設備を使用するために必要です。また、経年劣化による性能の低下、故障・不具合による停止を防ぐ方法として、メンテナンスによって点検や部品交換などを行うことも重要といえます。
清掃やメンテナンスを専門事業者に依頼する際には費用がかかることから、導入後のランニングコストについても考慮しておく必要があります。
なお、空調のメンテナンスを行う重要性やタイミングについては、こちらの記事で解説しています。
病院に適した空調設備を導入するポイント
病院の空調設備には、室内環境を快適に保つためのさまざまな要素や注意事項を考慮する必要があります。病院の規模や建物の設計などに応じた空調設備を導入するには、事業者選びが重要なポイントとなります。
▼事業者を選ぶ際に確認しておくこと
- 病院・クリニックや介護施設への導入実績がある
- 各施設・スペースの用途や空気環境に合わせた空調設備を提案してくれる
- 保守管理やメンテナンスなどの長期的なサポートに対応している
病院・クリニックや介護施設への導入実績がある事業者を選ぶと、患者の体調管理や感染症対策を踏まえたうえで、各施設の用途と空気環境に合わせた空調設備を提案してもらうことが期待できます。
また、導入後の保守管理やメンテナンスまで手厚くサポートしてくれる事業者を選ぶと、安定的な稼働と施設環境の維持につながります
TAKEUCHIでは、病院における快適かつ安心な空気環境を創造する『気流シミュレーション』を提供しております。空気の流れを可視化する最新の分析技術により、施設のスペースや稼働状況に応じた空調管理を実現します。
なお、空調設備の導入時に活用できる補助金と助成金についてはこちらで解説しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、病院の空調設備について以下の内容を解説しました。
- 病院の空調設備に求められる4つの要素
- 病院の空調設備をリニューアルする際の注意事項
- 病院に適した空調設備を導入するポイント
体調管理に配慮が必要な患者が過ごす病院では、温度・湿度の調整や静音・消音、換気などの要素を備えた空調設備が求められます。
リニューアルを実施する際は、人による体感温度の違いを踏まえて個別の温度調節を行えるようにするとともに、省エネルギー化を図れる設備を選ぶこと、導入後のランニングコストを考慮することが重要です。
TAKEUCHIでは、病院や介護施設における安心で快適な空気環境を創造する『気流ソリューション』を提供しております。最新の分析技術で空気の流れを可視化して、空調設備のトータル改善をご提案します。アフターフォローも充実しているため、導入後の長期的なサポートもお任せください。
詳しくは、こちらの資料をご確認ください。