GHPとEHPの違い。ヒートポンプ式空調設備の仕組みと第3の選択肢とは
夏場・冬場は冷暖房の使用によってエネルギーの使用料が増えやすくなります。特に学校や医療機関、オフィスでは消費電力の多くを空調機が占めており、空調設備の省エネルギー化と節電対策が求められています。
施設に設置する業務用空調機においては、エネルギー効率の向上や分散を図るために、ヒートポンプ式空調機が導入されているケースがあります。ヒートポンプ式空調機にはGHPとEHPの2つが存在しており、それぞれ仕組みやメリット・デメリットが異なります。
学校や介護施設、工場、オフィスなどの施設管理者のなかには「ヒートポンプ式空調機はどのような仕組みなのか」「GHPとEHPで何が違うのか」などと疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ヒートポンプ式空調機の仕組みやGHPとEHPの違い、メリット・デメリット、両方のよさを取り入れた第3の選択肢について解説します。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁『夏季の省エネ・節電メニュー』
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ヒートポンプ式空調機の仕組み
ヒートポンプ式空調機とは、空気中の熱エネルギーを利用して冷暖房を行う空調設備です。
熱には温度の高い場所から低い場所に移動する性質があります。ヒートポンプ式空調機では、気体の圧縮によって温度が上昇して、膨張する際に温度が低下する性質を利用しています。熱を運ぶ冷媒物質を移動させることで、空気を温めたり冷やしたりできます。
また、凝縮器・蒸発器・圧縮機・膨張弁の4つで冷媒物質が循環する構造になっており、運転中には空気の熱をくみ上げて放熱するヒートポンプサイクルが繰り返されます。冷房時と暖房時には、室外機・室内機で反対のヒートポンプサイクルが行われます。
なお、ヒートポンプ式空調機は一つのシステムで冷房と暖房の両方に対応できるほか、暖房に化石燃料を使用しないためCO2の削減に貢献します。
GHPとEHPの違い
GHPとEHPは、どちらもヒートポンプの仕組みを利用した空調設備です。
冷媒物質が循環するヒートポンプサイクルのうち、気体を圧縮させる圧縮機(コンプレッサ)の駆動源と、駆動源を動かすエネルギー源に違いがあります。
▼GHPとEHPの駆動源
GHP |
EHP |
|
圧縮機の駆動源 |
ガスエンジン |
電気モーター |
エネルギー源 |
都市ガス・プロパンガス など |
電気 |
GHPのほうがヒートポンプサイクルに使用する際の消費電力が少なく、ガスエンジンの排熱を利用して高効率な暖房を行えます。
それぞれメリット・デメリットが異なるため、施設の用途や冷暖房の使用時間などを踏まえて選択することが必要です。
GHPのメリット・デメリット
GHPはエネルギー源に天然ガスを使用しているため、消費電力を抑えられるほか電源設備に依存せず使用できることが特徴です。
▼GHPのメリット・デメリット
メリット |
デメリット |
|
|
電源自立型のGHPは災害に強いことから、病院や介護施設、オフィス、避難場所に指定される公共施設などに向いています。また、EHPよりも消費電力を抑えられるため、冷暖房の稼働時間が長い、あるいは24時間稼働の施設にも適しています。
EHPのメリット・デメリット
EHPは、GHPと比べて導入時の初期費用やメンテナンスの労力を抑えられることが特徴です。
▼EHPのメリット・デメリット
メリット |
デメリット |
|
|
電気をエネルギー源として使用するEHPは、GHPよりも電気料金が高くなりやすいといえます。冷暖房の使用が局地的または時間が限られる施設や、メンテナンスのしやすさを重視する場合などに適しています。
ガス・電気のハイブリッド空調機『スマートマルチ×エネシンフォ』
業務用空調における第3の選択肢となるのが、ガスと電気を組み合わせた“ハイブリッド空調”です。
TAKEUCHIでは、『スマートマルチ×エネシンフォ』を活用したハイブリッド空調機による施設環境の改善をトータルサポートしています。
▼スマートマルチ×エネシンフォ
『スマートマルチ』は、圧縮機の駆動源としてGHPとEHPの両方を備えたヒートポンプ式空調機です。ガスと電気の2つを使用して制御することにより、省エネルギー化を実現します。
また、『エネシンフォ』は、空調機器の遠隔制御や使用エネルギーの可視化などを行えるシステムです。スマートマルチと組み合わせて運用することで、エネルギー料金の変動に対応した最適制御が可能になります。
▼スマートマルチ×エネシンフォの特長
- 駆動源にガスを取り入れて消費電力を抑えられる
- EHPとGHPで効率よく働くタイミングを切り替えて電気料金を削減できる
- 電気・ガス料金の変動を踏まえてエネルギーの比率を遠隔制御できる など
『スマートマルチ×エネシンフォ』を導入すると、年間の空調設備にかかるランニングコストを約37%削減することが可能です。
▼スマートマルチ×エネシンフォを導入した事例
立教大学池袋キャンパスでは、図書館収蔵庫の空調にスマートマルチ×エネシンフォを導入しました。これにより、使用エネルギー量を約8%削減させるとともに、安定した空調管理が実現でき、貯蔵資料破損・劣化などのリスク回避にもつながったとのことです。
まとめ
この記事では、ヒートポンプ式空調機について以下の内容を解説しました。
- ヒートポンプ式空調機の仕組み
- GHPとEHPの違い
- GHPとEHPのメリット・デメリット
- ガス・電気のハイブリッド空調機『スマートマルチ×エネシンフォ』
GHPとEHPは、どちらも空気中の熱エネルギーを利用して冷暖房を行うヒートポンプ式空調機に該当しますが、圧縮機の駆動源に違いがあります。
ガスと電気の違いによってメリット・デメリットが異なるため、施設の用途や冷暖房の使用時間などを踏まえて比較検討することがポイントです。また、第3の選択肢としてガスと電気を組み合わせたハイブリッド空調機を導入する方法もあります。
ハイブリッド空調機の『スマートマルチ×エネシンフォ』は、ガスと電気の2種類を使用して最適制御を行うことが可能です。エネルギー料金の変動リスクを低減するとともに、高効率な運転で省エネルギー化、電気料金の節約に貢献します。
TAKEUCHIの『首都圏ソリューション』では、ハイブリッド空調機による空調設備の改善をトータルサポートしています。学校・介護施設・工場・オフィスなどの施設の課題に合わせた空調設備をプランニングして、快適な環境を実現します。
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