
ホテルに適した空調方式とは。リニューアルする際のポイント
ホテルでは、宿泊客が快適に過ごせるように空調設備によって温湿度や空気環境を管理することが求められます。また、シーズン中には1日を通して冷暖房が稼働するため、経営視点においては省エネ化によってランニングコストを抑えることも必要です。
「ホテルにはどのような空調方式が適しているのか」「リニューアルするときに機種や設置場所をどう選べばよいのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ホテルの経営や設備管理を行う方に向けて、ホテルに適した空調方式やリニューアルする際のポイントについて解説します。
なお、空調設備を選ぶポイントについてはこちらの資料にまとめています。
→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「省エネ効果を最大化する空調選びのポイントを紹介」
目次[非表示]
1.ホテルに導入される空調方式の種類
ホテルはこれまで全館空調(セントラル空調)が主流とされていましたが、快適性を向上させるために個別空調を導入する施設が見られています。
全館空調は、建物内の一箇所に熱源を集約して、中央管理室で一括した空調制御を行う方式です。部屋ごとに空調をコントロールする必要がなく、建物内の温度を均一に保つことが可能です。
一方の個別空調は、各部屋で空調制御を行う方式です。室外機と室内機がペアになった“パッケージエアコン”と、1台の室外機に対して複数台の室内機を設置する“マルチエアコン”があります。
▼全館空調と個別空調の主な違い
全館空調 |
個別空調 |
|
熱源の設置場所 |
一箇所にまとめて設置 |
建物内に分散して設置 |
空調の制御方法 |
中央管理室で一元的に制御 |
各部屋で個別に制御 |
なお、個別空調と全館空調の違いはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
2.ホテルには全館空調よりも個別空調がおすすめ
宿泊客が滞在するホテルでは、全館空調よりも個別空調の導入がおすすめです。
全館空調の場合、客室ごとの冷房・暖房設定や温度調整ができません。快適に感じられる室温は人によって異なるため、客室ごとに設定を行える個別空調のほうが適していると考えられます。
▼ホテルに個別空調を導入するメリット
- 1年を通して快適な宿泊環境を提供できる
- 故障時は客室ごとに修理・交換を行える
- 空調設備の追加がしやすい など
個別空調を導入すると、宿泊者自身で客室の操作パネルから自由に冷暖房の切り替えや温度調整を行えるようになり、暑がり・寒がりな人でも居心地のよい空間づくりが可能となります。
ただし、宿泊客が自由に設定できる個別空調を建物全体で導入すると、負荷の大きい運転が発生してしまいランニングコストが高くなる可能性があります。ホテルのロビー・廊下・レストラン・宴会場などの共用部分については、施設管理者が一括制御できる全館空調と併用することも一つの方法です。
3.ホテルの空調設備をリニューアルする際のポイント
ホテルの空調設備をリニューアルする際は、高効率な運転を実現しつつ健康で快適に過ごせる空気をつくる機能が備わった機種を選ぶことが重要です。
3-1.エネルギー効率の高い機種を選ぶ
1日を通して空調設備が稼働するホテルでは、電力消費量が増えてランニングコストが負担になりやすい問題があります。
エネルギー効率の高い機種を選ぶことで、電力消費量を削減してランニングコストを抑えることが可能です。空調設備の省エネ性能を示す指標には、“APF”や“APFp”が用いられています。
▼APF・APFpの概要
指標 |
概要 |
APF
(通年エネルギー消費効率)
|
特定の条件下で1年間運転させた場合の消費電力1kw当たりの冷暖房能力 |
APFp
(期間成績係数)
|
電気の発電ロスを考慮した通年エネルギー効率 |
APFとAPFpの数値が高くなるほどエネルギー効率が高い機種となります。なお、APFpは新しいJIS規格となり、より実際の使用に近い省エネ性能を把握できます。
→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「省エネ効果を最大化する空調選びのポイントを紹介」
3-2.清潔で高品質な空気環境をつくる
プライベートな空間となる客室では、温度だけでなく“空気の質”にも注目する必要があります。空調設備を利用して清潔できれいな空気環境を維持することで、安心かつ快適な滞在体験を提供できます。
▼空気環境づくりに役立つ空調設備の機能
機能 |
概要 |
空気清浄 |
空気中のウイルスや花粉、カビ、アレルギー物質などを浄化・抑制してクリーンな空気をつくる |
脱臭 |
空気中のにおいを吸引して取り除く |
人感センサー |
人が居る場所を自動で検知して、風量・風向・温度を調整する |
換気・湿度調整 |
加湿機能付きの全熱交換器を設置して、室内の湿度を調整しながら換気を行う |
なお、業務用エアコンに設置できる加湿機器についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
3-3.運転音や風当たりを考慮する
客室の空調設備に関して宿泊客のよくある悩みに「空調の音がうるさくて眠れない」「風が体に当たり不快に感じる」「温度のムラがある」ことが挙げられます。
運転音と風当たりを考慮して不快さを感じにくい空調設備を導入することで、睡眠の質や居心地のよさを高められます。
▼居心地のよい空間づくりの例
- 静音性に優れた機種を選ぶ
- 気流の流れをシミュレーションして室内機の位置を選定する
- 室内機の送風口に風よけカバーを設置する
- 壁・天・床を伝って緩やかに室温を調整する輻射式冷暖房を導入する など
なお、気流のシミュレーションで分かることや実施のメリットはこちらの記事で解説しています。
3-4.点検・清掃がしやすい機種を選定する
空調設備の不具合や性能低下などを防ぐには、日頃から点検やフィルターの清掃を実施する必要があります。
フィルターの自動掃除やIoT(※)による空調管理を行える機種を選ぶことで、施設管理者による日常点検・清掃作業を効率化できます。
▼点検・清掃作業を効率化する機能の例
機能 |
概要 |
フィルターの自動掃除 |
フィルターに付着したホコリや汚れを自動で洗浄する |
スマート管理 |
ホテル内にある空調設備の稼働状況や電力消費量をリアルタイムで監視して一元管理する |
なお、業務用エアコンの突発的な故障を防ぐには、定期的に専門事業者によるメンテナンスや内部洗浄(クリーニング)を実施することも必要です。メンテナンスの実施タイミングについては、こちらの記事をご確認ください。
空調設備の法定点検についてはこちらの記事で解説しています。
※IoT(Internet of Things:モノのインターネット)は、センサーやカメラを通じて製品・機器などをインターネットに接続する技術。
4.まとめ
この記事では、ホテルの空調設備について以下の内容を解説しました。
- ホテルに導入される空調方式の種類
- ホテルに個別空調を導入するメリット
- ホテルの空調設備をリニューアルする際のポイント
ホテルの空調設備は、宿泊客の満足度に直結する重要な要素の一つです。心地よく感じる温度は人によって異なるため、客室では全館空調よりも個別空調のほうが適しているといえます。
また、清潔な空気環境をつくったり、運転音や風当たりが不快にならないように配慮したりすることもポイントです。機種を選ぶ際には、省エネ性能や設備管理のしやすさなども確認しておくことが欠かせません。
TAKEUCHIでは、丁寧なヒアリングと気流シミュレーションを実施して、施設に合わせた快適な空気環境をつくる空調設備のトータル改善をサポートしています。ホテルに適した機種の選定や部屋ごとに適した設置場所の提案など、課題に応じた解決策をご提案いたします。
無料でのシミュレーション相談も実施しているため、ぜひお問い合わせください。
省エネ性や気流を踏まえた空調選びについては、こちらの資料で紹介しています。