業務用エアコンが霜取り運転になる原因とは。応急処置と抜本的な対策について
冬季にエアコンの暖房を使用すると、温かい風が出てこなかったり、運転が一時停止したりすることがあります。この現象は、外気温が低い状態で暖房を使用することによって起こりやすくなる“霜取り運転”が考えられます。
霜取り運転になると暖房が効かなくなり室温が下がる場合があるため、学校・介護施設・工場・オフィスなどの室内温度にも影響しやすくなります。
施設管理者のなかには「冬季の霜取り運転を減らす方法はないか」「暖房の効きをよくする抜本的な対策はないか」と調べている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、霜取り運転になる原因や応急処置、専門事業者への依頼による抜本的な対策について解説します。
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業務用エアコンが霜取り運転になる原因
霜取り運転とは、室外機に付着した霜を溶かす機能を指します。
暖房の運転中には、エアコンの室外機から冷たい空気が放出されます。外気温が低い冬季の場合には、放出された空気中の水分が結露して凍り、霜となって室外機に付着することがあります。
この霜が室外機に付着すると、外気の吸込み口が塞がれてしまい、空気中の熱を運んで暖房を運転する能力が低下してしまいます。暖房を効率的に運転するために、熱交換器を暖めて霜を溶かす霜取り運転が自動で行われます。
霜降り運転になると、以下のような現象が起こります。
▼霜取り運転中に起こること
- 暖房の運転が一時的に停止する
- 室内機から温かい風が出ない(冷たい風が出る)
- 室外機から水や湯気が出る など
霜取り運転時には、暖房によって暖められた空気中の熱を利用して、室外機の熱交換器についた霜を溶かします。数分程度で暖房の運転は再開しますが、一時的に温かい空気が出なくなることで室温が下がる場合があります。
なお、空調設備に“霜取運転中”“ホットスタート中”“暖房準備中”などと表示されている場合は、故障ではなく霜取り運転の可能性が高いと考えられます。
霜取り運転を減らすための応急措置
霜取り運転による暖房の停止を減らすために施設管理者が行える応急措置には、フィルターの掃除と設定温度の見直しが挙げられます。
①フィルターをこまめに掃除する
エアコンのフィルターをこまめに掃除する方法があります。
フィルターが目詰まりしている状態では、空気の吸い込みが悪くなり暖房効率が下がってしまいます。その結果、暖房を運転する際により多くの熱が必要になり、室外機に霜が発生しやすくなります。
こまめにフィルターを掃除することで、ホコリや汚れによる目詰まりを防いで暖房効率を高められます。
なお、エアコンのフィルターを掃除する手順についてはこちらの記事をご確認ください。
②暖房の設定温度を下げる
暖房の設定温度を下げることも一つの方法です。
暖房の設定温度を高く設定した場合、外気温との差が大きくなり、室内を暖めようとして空気中の冷たい空気が室外機から放出される風が強くなります。その結果、室外機の熱交換器が冷やされてしまい霜ができやすくなります。
霜取り運転になった場合には、設定温度を1~2℃ほど下げることが有効です。室外機の運転が緩やかになることで霜ができにくくなります。
なお、環境省によって推奨されている快適な室温は、冬季で20℃とされています。過度に室内を暖め過ぎないことにより、省エネルギー効果も期待できます。
エアコンの推奨設定温度についてはこちらの記事をご確認ください。
出典:環境省『エアコンの使い方について』
霜取り運転の抜本的な対策
頻繁に霜取り運転が起き、快適な施設環境を維持するのが難しい場合には、空調設備の専門事業者に依頼して抜本的な対策を行うことが有効です。
霜取り運転の頻度を少なくすることで、室温の低下を防いで快適性を維持できるほか、効率的な運転によって消費電力を抑えられます。
①内部のクリーニングを実施する
専門事業者に依頼して内部クリーニングを実施すると、室内機・室外機の内部部品まで洗浄を行えます。
定期的にフィルターの掃除を行っていたとしても、エアコンの内部の汚れを取り除くことはできません。また、専門知識や技術がないまま内部の掃除をしようとすると、故障や怪我といったリスクを伴います。
専門業者に依頼して行う内部クリーニングでは、エアコンを分解して普段掃除できない部分まで、適切な方法で徹底的に洗浄します。
クリーニングによって汚れ・ホコリの付着や詰まりを解消すると、空気を吸い込み放出する際の空気量を十分に確保できるようになります。暖房時に熱交換器への負荷を軽減できるため、霜取り運転が起こりにくくなります。
なお、エアコンのメンテナンスについてはこちらの記事をご確認ください。
②霜取り運転に強い業務用エアコンにリニューアルする
業務用エアコンのなかには、霜取り運転に強い機能が備わったものがあります。
「頻繁に霜取り運転が発生して消費電力が増加している」「暖房の停止時間が長く室内の温度が下がってしまう」といった場合には、新たに業務用エアコンのリニューアルを行うことが有効です。
▼霜取り運転に強い業務用エアコンの機能
機能 |
概要 |
インバーター |
圧縮機の回転数をコントロールして設定温度に応じたパワーに調整することで、霜の発生を抑える |
同時霜取り機能 |
室外機の熱交換器を2つに分割して冷媒が流れる経路を分割することで、霜取り運転時に暖房の運転を継続する |
高性能温度センサー |
室温のモニタリングにより空調の風量・風向を自動調整することで、圧縮機の過剰な運転を抑えて霜の発生を抑える |
なお、寒冷地の場合には、寒冷地用の業務用エアコンを導入することが望ましいといえます。
業務用エアコンの選び方は、こちらの記事で解説しています。
まとめ
この記事では、業務用エアコンの霜取り運転について以下の内容を解説しました。
- 霜取り運転になる原因
- 霜取り運転を減らすための応急処置
- 専門事業者による抜本的な対策
暖房の使用時に霜取り運転が行われると、一時的に稼働が停止して室温が低下したり、消費電力の増加につながったりします。快適な施設環境を維持しつつ、暖房効率を高めるには、霜取り運転が起こらないように対策する必要があります。
頻繁に霜取り運転が発生している施設では、空調設備の専門事業者に依頼して内部のクリーニングや設備の追加・リニューアルを行うことがポイントです。
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詳しくは、こちらの資料をご確認ください。
また、業務用エアコンの導入・リニューアルに活用できる補助金は、こちらの資料にまとめています。ぜひご活用ください。