介護施設における環境整備の目的。入居者が安心・安全に過ごすための取り組みについて
高齢者になると、加齢による免疫力や身体能力の低下によって病気やけがなどのリスクが高まるとされます。また、高齢者は室温の影響も受けやすく、2021年の東京都23区における熱中症死亡者の8割は65歳以上となっています。そこで重要となるのが、介護施設における環境整備です
医療福祉施設の管理者のなかには、「介護施設の環境整備では具体的に何を行えばよいのか」「環境整備に取り組む際のポイントを知りたい」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、介護施設における環境整備の概要や具体的な取り組み、ポイントについて解説します。
なお、空調設備のリニューアルを活用した省エネについてはこちらの資料にまとめています。ぜひご活用ください。
空調設備で省エネを実現!空気の流れを可視化する気流シミュレーション
出典:気象庁『熱中症の現状と対策』
目次[非表示]
- 1.介護施設における環境整備とは
- 2.介護施設における環境整備の取り組み
- 2.1.快適と省エネを両立した空調管理
- 2.2.清掃・消毒による衛生管理
- 2.3.転倒防止対策等の安全管理
- 3.介護施設において環境整備に取り組む際のポイント
- 3.1.環境整備の目標を設定する
- 3.2.マニュアルを策定する
- 4.まとめ
介護施設における環境整備とは
介護施設における環境整備とは、利用者の健康・安全を維持して質の高いサービスを提供できる快適な施設環境をつくることです。
▼介護施設における環境整備の目的
- 利用者の安全確保
- 健康の維持・向上
- 快適な生活空間の提供
- スタッフの働きやすさの向上
介護施設の環境整備においては、転倒や事故のリスクを減らすために施設内の安全性を高める必要があります。
また、施設内の温度や衛生状態を適切に保つことで、利用者の健康維持に寄与するだけでなく、清潔で快適な環境が利用者のリラックスを促進します。加えて、スタッフが効率的に働ける環境を整えることで、質の高いケアを提供できるようになります。
このように、施設全体の環境改善は、利用者とスタッフ双方にとって大きな利点となります。
介護施設における環境整備の取り組み
介護施設における環境整備の具体的な取り組みは様々ありますが、省エネや光熱費カットの面からも空調管理は大きな点です。その他にも、清掃・消毒や転倒防止対策、などが挙げられます。
快適と省エネを両立した空調管理
介護施設内の空調管理は、生活空間の快適性や、利用者の健康維持に密接に関わります。
▼介護施設において空調管理が重要視される理由
- 高齢者は熱中症やヒートショックへのリスクが高い
- 24時間356日の空調管理が必要なため、省エネも必須
- 施設内温度がスタッフの労働効率に影響する
高齢者は熱中症リスクが高いとされます。しかし、高齢者は感覚機能が低下していることで暑さを認識しにくくなっていることから、介護施設においてはスタッフによる温度管理が欠かせません。
また、高齢者には急な温度変化で血圧が変動することで健康被害を引き起こすヒートショックも生じやすいとされます。そのため、ヒートショックが起きやすい入浴時における空調管理が重要となります。
さらに、高齢者施設では24時間365日の空調管理が求められることから、省エネルギー対策が不可欠です。そのため、効率的な空調システムを導入し、環境に配慮しながら快適な生活空間を維持することが重要です。これにより、利用者の健康を守りつつ、エネルギーコストを抑えることが可能となります。
加えて、介護施設では利用者一人ひとりの体調に配慮しつつの細かな温度管理が必要です。細かな温度管理と省エネを実現させるためにも、個別空調や温湿度の自動管理機能のあるシステムを利用することが望まれます。
個別空調や自動管理機能のあるシステムは、空調管理におけるスタッフの業務を軽減できます。これにより、利用者に対する直接的な業務に専念できるようになり、より一層質の高いケアの提供が期待できます。
▼空調管理の取り組み例
- 空調設備を活用して夏場は28℃、冬場は20℃程度の適切な室温・湿度を保つ
- 脱衣所や浴室にも空調設備を導入する
- 定期的に換気を行い室内の新鮮な空気の維持を新鮮に保つ
- 空調機器の定期的な点検とメンテナンスによる空調システムの管理を行う など
なお、医療・介護施設における空調管理のポイントについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
清掃・消毒による衛生管理
介護施設の衛生管理は、感染症や食中毒へのリスクと直結しているため、非常に重要です。また衛生的で整った環境は、入居者のみならず、スタッフのモチベーション向上や施設を訪れる関係者の安心感にもつながります。
また、清掃によって見た目に清潔な状態を保つことで利用者やスタッフにとって居心地のよい空間を維持できます。
加えて、介護施設を利用する高齢者は感染症に対する抵抗力が低く、施設内で感染が拡大するリスクもあります。感染症を予防するには、施設内の設備が感染経路とならないように清掃・消毒を行うことが重要です。
▼清掃・消毒の取り組み例
- 特に触れやすい場所(ドアノブ、手すり、テーブルなど)を定期的に消毒する
- 共用スペースやトイレ、食堂などを定期的に清掃する
- キッチンの清掃・消毒を徹底する
- 食材の保存方法に注意を払う
- 適切な手洗い方法を指導する
- 感染症流行時には、スタッフや訪問者にマスク着用を推奨する など
転倒防止対策等の安全管理
転倒防止対策を行い、高齢者の転倒による骨折や頭部外傷などのリスクを抑えます。
高齢者は加齢による身体機能の低下や病気・薬の影響、運動不足などによって転倒しやすくなっています。高齢者が入居する介護施設においては、利用者の転倒を防ぐための取り組みが欠かせません。
▼転倒防止対策の取り組み例
- 敷物による段差や延長コードなど足元の障害物を取り除く
- 浴室・トイレなどに手すりを設置する
- 転倒時の衝撃を吸収するマットを設置する など
介護施設において環境整備に取り組む際のポイント
介護施設において環境整備に取り組む際は、目標の設定やマニュアルの策定が重要です。
環境整備の目標を設定する
環境整備を行う際は、目標を設定することが欠かせません。
漠然と環境整備を進めるのではなく、施設の現状における課題を明確にしたうえで必要な取り組みを策定することが重要です。
▼環境整備における目標設定の例
- 利用者の予期せぬ転倒を防ぐために施設内の障害物を取り除く
- 夏の猛暑における熱中症を予防するために温度管理を〇分に1度行う など
目標を施設全体で共有することで、環境整備に対するスタッフの意識を引き締めやすくなると期待できます。
マニュアルを策定する
環境整備の取り組みにおいては、清掃や温度管理などのマニュアルを作成することもポイントの一つです。
マニュアルによって各取り組みの手順やルールなどを統一することで、従業員の知識・経験にかかわらず一定の品質で環境整備に取り組めます。
▼マニュアルで設定する項目の例
- 消毒・清掃をする際の手指消毒の手順
- 空調の設定温度の目安 など
まとめ
この記事では、介護施設における環境整備について、以下の内容を解説しました。
- 介護施設における環境整備の概要
- 介護施設における環境整備の取り組み
- 介護施設において環境整備に取り組む際のポイント
介護施設においては、利用者の健康・安全の維持や快適な生活環境・サービスの提供を行うための環境整備が欠かせません。
環境整備の取り組みとしては、清掃・消毒や転倒防止対策のほか、空調管理も挙げられます。
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詳しくは、こちらの資料をご確認ください。
また、空調設備のリニューアルを活用した省エネについてはこちらの資料にまとめています。ぜひご活用ください。