エアコンの推奨設定温度は? 室内環境を快適に保つためのポイント
学校・介護施設・工場・オフィスなどの施設では、従業員や利用者が快適に過ごすための室内環境づくりが求められます。
なかでも夏場・冬場に使用するエアコンの温度設定は、身体への負担や健康面にも影響する重要な要素の一つです。
施設管理者のなかには「エアコンの推奨設定温度は何度なのか」「室内環境を快適に保つにはどうすればよいか」など気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、エアコンの推奨設定温度や温度管理でよくある問題、室内環境を快適に保つポイントについて解説します。
なお、業務用エアコンの導入・リニューアルに活用できる補助金は、こちらの資料にまとめています。ぜひご活用ください。
目次[非表示]
- 1.エアコンの推奨設定温度
- 2.エアコンの温度管理でよくある問題
- 3.室内環境を快適に保つためのポイント
- 3.1.➀空気の流れをつくる
- 3.2.②夏と冬でエアコンの風向を変える
- 3.3.③湿度管理や遮熱対策を併せて行う
- 3.4.④エアコンの掃除する
- 4.まとめ
エアコンの推奨設定温度
環境省では、快適性を維持しつつ省エネルギー化を図るために、室温を夏季で28℃、冬季で20℃に設定することを推奨しています。ここでいう設定温度とは、エアコン本体で設定する温度ではなく、室内で測定した温度を指します。
学校・介護施設・工場・オフィスなどでは、各エリアで温度測定を行い、推奨される温度になるようにエアコンの設定を調整することが求められます。
エアコンの温度管理で室内を冷やし過ぎない・暖めすぎないことにより、以下の効果が期待できます。
▼推奨設定温度に保つことによる効果
- エアコンによる消費電力量を削減できる
- 外気温との差による身体への負担を抑えられる
なお、高齢者施設においては特に室温に配慮する必要があります。医療・介護施設における室温管理は、こちらの記事をご確認ください。
出典:環境省『エアコンの使い方について』『熱中症を防ぐためには』
エアコンの温度管理でよくある問題
エアコンで温度管理を行うにあたって、さまざまな問題が起こることがあります。
▼よくある問題
- 体感温度が人によって異なる
- 建物の構造や立地などで冷暖房の効きが左右される
- 人の密集や設備・機械が原因で室温が上がる
- エアコンの効きが悪く設定温度に到達しない など
エアコンの設定温度を一律に設定しても、人によって体感温度が異なるほか、建物の構造・立地の影響によって冷暖房の効きが左右されます。
例えば、「窓から西日が差し込むエリアだけ暑い」「エアコンが近くにある場所では寒く感じる」などのように、一人ひとりが快適に感じる温度にすることは難しいといえます。
また、教室・執務室・待合室などの人が集まる場所のほか、熱を発する設備・機械が稼働しているオフィスや工場などでは、室温が上昇しやすくなります。室温を下げようとエアコンの設定温度を低くすると、稼働負荷が大きくなり電気代の増加を招くこともあります。
そのほか、エアコンの効きが悪く設定温度になかなか到達しないこともよくある問題の一つです。特に夏場では、室温が高いと熱中症を引き起こすリスクがあるため、注意が必要です。
室内環境を快適に保つためのポイント
室内環境を快適に保つには、外気温や室内での温度差、冷暖房の能力などを考慮してエアコンの使用方法を見直すことが重要です。
➀空気の流れをつくる
扇風機やサーキュレーターを用いて空気の流れをつくることがポイントです。
部屋の形状やエアコンの設置方向によっては、冷暖房を行う際に室温のムラが生じることがあります。扇風機やサーキュレーターで空気を循環させることで、冷暖房の送風が隅々まで届きやすくなり、室温を均一に保ちやすくなります。
また、エアコンの冷風・温風が直接体に当たらないようにすることで、身体への負担軽減や快適性の向上につながります。
②夏と冬でエアコンの風向を変える
夏と冬でエアコンの風向を変える方法もあります。
暖かい空気は部屋の上のほうへ、冷たい空気は部屋の下のほうへ溜りやすい特性があります。夏と冬でエアコンの風向の設定を変えることで、冷暖房の効きがよくなる効果が期待できます。
▼風向の設定方法
エアコンの設定 |
風向 |
冷房(夏場) |
上向きまたは水平 |
暖房(冬場) |
下向き |
③湿度管理や遮熱対策を併せて行う
温度管理に加えて、湿度管理や遮熱対策を行うことも欠かせません。
夏場に冷房をつける際、同じ設定温度でも湿度が高いと暑く感じるほか、熱中症のリスクがあります。また、冬場に暖房をつけると室内が乾燥しやすくなるため、加湿器によって一定以上の湿度を保つことが必要です。
さらに、窓の遮熱対策を行うことにより、日差しや地面からの照り返しによって室温が上昇するのを防止できます。
▼推奨される相対湿度(※)
40~70%
▼遮熱対策の方法
- 窓にカーテンやブラインドを付ける
- 窓ガラスに遮熱シートを貼る など
なお、湿度を一定以上に保つことは感染症対策においても重要とされています。詳しくはこちらの記事をご確認ください。
※建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管理法)における空気環境の基準
出典:環境省『PART2 エアコン暖房の省エネ・節約術』/厚生労働省『冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気について』
④エアコンの掃除する
エアコンの効きをよくするために、フィルターを掃除する方法があります。
フィルターがホコリやカビなどで目詰まりしている状態では、給気・排気がうまく行われず冷暖房が効きにくくなります。施設で冷暖房を使用する期間中は、定期的に掃除をしておくことがポイントです。
また、定期的に掃除した上で、2~3年に一度は専門事業者に分解洗浄を依頼することも望まれます。これにより、自身では掃除できなかった内部まで綺麗に洗浄することができ、より清潔な空気環境の維持や性能トラブルの防止につながります。
ただし、エアコンの効きが改善しない場合や、施設環境・用途に応じた室温管理を行いたい場合などでは、空調設備のリニューアルを行うことも一つの方法です。
なお、エアコンの詳しい掃除方法はこちらの記事をご確認ください。
まとめ
この記事では、エアコンの推奨設定温度について以下の内容を解説しました。
- 環境省によるエアコンの推奨設定温度
- エアコンの温度管理でよくある問題
- 室内環境を快適に保つためのポイント
エアコンを使用する際は、冷やしすぎ・暖めすぎを防ぐために、推奨温度の室温を維持できるように温度設定を調整することが重要です。
ただし、同じ設定温度にしていても、建物の構造・立地・部屋の使い方によって室温は変動するほか、人によって快適と感じる温度は異なります。
室内環境を快適に保つには、外気温や室内での温度差、冷暖房の能力などを考慮してエアコンの使用方法を見直すことがポイントです。また、エアコンの機能が低下している場合は、リニューアルを行う方法もあります。
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詳しくは、こちらの資料をご確認ください。
また、業務用エアコンの導入・リニューアルに活用できる補助金は、こちらの資料にまとめています。ぜひご活用ください。