業務用エアコンの暖房が効かないときに考えられる問題の原因と対応策
冬の寒さが厳しい時期になると、学校・介護施設・工場・オフィスなどの施設では業務用エアコンの暖房を使用します。暖かい施設環境を維持することは、快適性の向上や健康管理においても重要といえます。
しかし、いざ暖房を使用する際に「温風が十分に出ない」「室内がなかなか暖まらない」などのトラブルが発生することがあります。施設管理者は、業務用エアコンが効かないときの問題や対応策について理解を深めておくことが重要です。
この記事では、業務用エアコンの暖房が効かないときに考えられる問題の原因と対応策について解説します。
目次[非表示]
- 1.業務用エアコンの暖房が効かないときに考えられる問題
- 1.1.➀設定に関する問題
- 1.2.②空気の流れに関する問題
- 2.専門事業者でなければ対応できない問題
- 2.1.①熱交換の能力に関する問題
- 2.2.②外部環境に関する問題
- 3.暖房の効きをよくするには断熱対策やメンテナンスも重要
- 3.1.窓の断熱化
- 3.2.定期的な点検・メンテナンスの実施
- 4.まとめ
業務用エアコンの暖房が効かないときに考えられる問題
業務用エアコンの暖房をつけても効きが悪いときには、エアコンの設定や空気の流れに関して何らかの問題がある可能性が考えられます。
➀設定に関する問題
温度設定や運転モードの選択に問題があると、室内が暖まらなかったり、正常に暖房を稼働できていなかったりする可能性があります。
▼原因と対応策
原因 |
温度設定と外気温の差が大きすぎる
室内機のどれか1台で冷房モードが設定されている
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対応策 |
室内の温度や外気温に応じて設定を見直す
暖房モードに設定を切り替える
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外気温が低いときに暖房の温度設定を高くしすぎると、室内外の温度差が大きくなることで熱交換に負荷がかかり、温度調整が十分にできなくなります。暖房の温度設定は過度に高くしないようにすることがポイントです。
1台の室外機に複数台の室内機が接続されている業務用エアコンでは、どれか1台でも冷房モードが設定されていると暖房モードに切り替えられない場合があります。施設内にある室内機が暖房モードに設定されているか確認することが必要です。
なお、暖房モードに正しく設定していても、室外機に霜が発生して霜取り運転が行われると一時的に暖房が停止します。霜取り運転については、こちらの記事をご確認ください。
②空気の流れに関する問題
暖房モードを選択して適切な温度設定を行っていても、暖かい空気が行き渡らないことがあります。
▼原因と対応策
原因 |
室内機のフィルターが目詰まりしている
風向・風量を適切に調整できていない
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対応策 |
フィルターの清掃または交換を行う
風量を自動モード、風向は下向きに設定する
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室内機のフィルターがホコリや汚れで目詰まりしていると、吸排気の妨げとなり暖房の能力が低下します。定期的にフィルターの掃除を行うことで温風が正常に送られるようになり、本来ある暖房の能力を発揮できます。
また、風量を弱モードにしていると設定した温度になるまで時間がかかるほか、消費電力が増えやすくなります。効率的に運転するには“自動モード”が有効です。
さらに、暖かい空気は上部に溜りやすい性質があるため、風向を下向きにするほうが暖房の効きがよくなります。サーキュレーターを活用して空気を循環させると、足元の冷えを防止して部屋全体で均一した暖かさを維持できます。
専門事業者でなければ対応できない問題
業務用エアコンの機能や外部環境などに問題がある場合には、専門事業者のサポートが必要になるケースも考えられます。
①熱交換の能力に関する問題
室内機の吹出口から送風があるものの、暖かい空気になっていない場合には、熱交換の能力に問題がある可能性が考えられます。
▼原因と対応策
原因 |
冷媒が不足している
コンプレッサー(圧縮機)が故障している
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対応策 |
冷媒漏れの点検や補充を行う
内部部品の修理または交換を行う
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暖房の運転時には、“冷媒”と呼ばれる空気中の熱を運ぶガスをコンプレッサーが圧縮して、熱交換を行うことで温風を作り出します。業務用エアコンに充填されている冷媒の漏れや不足がある場合には、修理・補充を行うことで正常に熱交換が行われるようになります。
また、劣化や目詰まりによって内部のコンプレッサーが故障している可能性もあるため、必要に応じて修理・部品交換を行うことが重要です。
②外部環境に関する問題
外部環境の影響で暖房の効きが悪くなることがあります。
▼原因と対応策
原因 |
外部ユニットの周りに障害物がある |
対応策 |
外部ユニットの周囲を掃除して障害物を取り除く |
施設に設置される業務用エアコンは、室外機が連結した外部ユニットと各室内機が冷媒配管で接続されています。この外部ユニットの周りに障害物がある場合には、吸排気の妨げとなり暖房の稼働効率が低下する原因となります。
専門事業者に依頼して、周囲にある障害物を取り除いたり、外部ユニットの設置方法を見直したりして通風を確保することが必要です。
暖房の効きをよくするには断熱対策やメンテナンスも重要
本来ある業務用エアコンの能力を発揮して効率的に暖房の運転を行うには、断熱対策と定期的なメンテナンスも重要といえます。
窓の断熱化
暖房を効率的に運転するには、窓の断熱化が有効です。
断熱が不十分な施設では、室内外で熱の出入りが発生しやすくなり、暖かい空気が外へ逃げたり、外気の冷たい空気が侵入したりして室内が暖まりにくくなります。
なかでも冬の暖房時に室外へ逃げる熱の約6割は“窓”によるものとなり、窓の断熱性能を高めることは暖房の効きをよくするうえで重要なポイントとなります。
▼窓の断熱性能を高める方法
- 複層ガラスの導入
- 樹脂サッシへの交換
- 内窓の設置 など
なお、壁・床・天井の断熱改修を行う方法もありますが、大がかりな工事が必要です。窓の断熱化であれば、ガラス・サッシの改修のみで対応できます。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁『住宅による省エネ』
定期的な点検・メンテナンスの実施
専門の技術者による定期的な点検・メンテナンスを実施すると、故障や不具合が発生する前に修理・部品交換を行えるようになります。
また、クリーニングによってホコリ・汚れを取り除くことで、吸排気を正常に行えるようになり、暖房の運転負荷による消費電力の増加も防止できます。
業務用エアコンの耐用年数やメンテナンスの頻度については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、業務用エアコンの暖房が効かないときの対応について以下の内容を解説しました。
- 施設管理者が確認すること
- 専門事業者に依頼して対応すること
- 断熱対策とメンテナンスの必要性
暖房が効かないときには、運転モードや温度・風向・風量の設定内容、フィルターの目詰まりなどを確認します。これらに問題がない場合には、専門事業者に依頼して、必要に応じて修理や部品交換などを行うことが重要です。
また、暖房の稼働効率を高めて安定した運転を行うには、窓の断熱化と専門事業者による定期的な点検・メンテナンスを行うこともポイントとなります。
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また、業務用エアコンの導入・リニューアルに活用できる補助金は、こちらの資料にまとめています。ぜひご活用ください。