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介護施設の感染症対策には換気と湿度管理が重要! 安全な施設環境を維持するには

介護施設では、感染症に対する抵抗力が低下しやすい高齢者や基礎疾患を持つ人などが集団で利用しているほか、職員を介して感染症が広がる可能性があります。

施設内での感染拡大や利用者の重症化を防ぐには、日常的な感染症対策を徹底することが重要です。基本的な感染症対策には、手指の洗浄や共用部分の清掃・消毒などが挙げられますが、“換気”と“湿度管理”も必要です。

この記事では、介護施設の感染症対策における換気と湿度管理の重要性や具体的な対策方法、実施のポイントについて解説します。

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目次[非表示]

  1. 介護施設の感染症対策における換気と湿度管理の重要性
  2. 換気と湿度管理による感染症対策の方法
    1. 自然換気・機械換気の実施
    2. 室内の湿度管理
  3. 介護施設で換気と湿度管理を行う際のポイント
    1. ①室温管理を併せて行う
    2. ②省エネルギー対策を行う
  4. まとめ


介護施設の感染症対策における換気と湿度管理の重要性

換気と湿度管理は、介護施設において病原体の感染経路を遮断するとともに、利用者や職員の抵抗力を高めるうえで重要といえます。感染症対策の基本では、以下の3つの対策を徹底することが必要とされています。


▼感染症対策における3つの柱

感染症対策における3つの柱

画像引用元:厚生労働省『介護現場における感染対策の手引き 第3版


3つの柱のうち、換気については施設内での感染経路を遮断して病原体の持ち込み・持ち出しや拡大を防ぐ目的があります。実際に新型コロナウイルス感染症では、多くの利用者がいる室内で換気が不十分だった場合に、集団感染が発生するリスクが高いことが報告されています。

また、室内の湿度を一定以上に保つことは、喉の粘膜にある防御機能を維持して宿主の抵抗力を高めたり、飛沫感染を防いだりするうえで有効とされています。

病原体の感染経路についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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出典:厚生労働省『介護現場における感染対策の手引き 第3版



換気と湿度管理による感染症対策の方法

介護施設で感染症の拡大を予防するには、こまめな換気を実施して空気の入れ替えを行うとともに、一定以上の湿度を維持することが必要です。


自然換気・機械換気の実施

定期的な自然換気や機械換気によって十分な換気量を確保します。


▼換気方法

換気方法
概要
自然換気
毎時2回以上(30分に1回以上)、窓を数分間ほど開放する
機械換気
24時間換気システムや換気扇を使用する


窓を開放する際は、2方向の窓あるいは室内のドアを同時に開けると空気の流れが生まれやすくなり、効率的に換気を行うことが可能です。

厚生労働省の『感染拡大防止のための効果的な換気について』では、感染症対策の観点から必要な換気量と二酸化炭素濃度が示されています。


▼推奨される換気の目安

換気方法
概要
必要な換気量
1人当たり毎時30m3
二酸化炭素濃度
1,000ppm以下


特に介護施設で人が密集しやすい食堂・休憩室・更衣室・中廊下などは、換気不足になりやすいと考えられます。二酸化炭素濃度測定器(CO2センサー)を設置して、混雑する時間帯に上記の目安を下回っているかを確認することが重要です。

なお、業務用エアコンには換気機能が備わっていません。冷暖房の使用中に換気を行うポイントについてはこちらの記事をご確認ください。

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※1,000ppm以下は目安であり、適切な換気や気流となっている必要がある。

出典:厚生労働省『感染拡大防止のための効果的な換気について』/『介護現場における感染対策の手引き 第3版


室内の湿度管理

厚生労働省の『感染拡大防止のための効果的な換気について』では、室内の湿度についてビル管理法に基づく空気環境の基準を維持することが示されています。


▼ビル管理法における空気環境の基準で定められた相対湿度

40~70%


室内の湿度が基準よりも低い場合には、以下の方法で加湿を行うことが必要です。


▼加湿方法

  • 業務用加湿器を設置する
  • ミストファン(加湿扇風機)を設置する
  • 濡れタオルを室内に干す など


なお、加湿器を使用する際には、加湿器内にある水が汚染されないようにこまめに水の交換とタンクの清掃・乾燥を行うことも欠かせません。


出典:厚生労働省『感染拡大防止のための効果的な換気について』/『冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気について



介護施設で換気と湿度管理を行う際のポイント

感染症対策として換気と湿度管理を行う際には、室温の管理や省エネルギー対策なども考慮することがポイントです。


①室温管理を併せて行う

換気を行う際には、外気の影響で室温が上昇・下降しすぎないように温度を管理することが求められます。


▼ビル管理法に基づく空気環境の基準

温度
17℃以上28℃以下


特に冷暖房を使用している時期に窓の開放による換気を行う場合には、高齢者の熱中症やヒートショックが起きるリスクがあります。介護施設に温湿度計を設置して、一定の温度を維持しながら換気を行うことがポイントです。


▼窓の開放による室温変化を抑える方法

  • 冷暖房の運転を続けながら換気を行う
  • 人がいない部屋の窓を開けて廊下を経由して空気を取り入れる
  • 1方向の窓を少しだけ開けて常時換気を行う など


なお、医療・介護施設の室温管理についてはこちらの記事で解説しています。

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出典:厚生労働省『感染拡大防止のための効果的な換気について』/『冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気について


②省エネルギー対策を行う

介護施設では、空調設備や給湯設備、照明などのさまざまな設備の運転に多くのエネルギーを消費します。

冷暖房の使用時に換気を行う際には、外気と室温との差が大きくなることで運転負荷がかかり、電力消費量が増えやすくなります。効率的に冷暖房の運転や換気を行えるように、以下の対策を行うことがポイントです。


▼省エネルギー対策の例

  • 扇風機やサーキュレーターを使用して換気効率を高める
  • 業務用エアコンや機械換気装置の定期的な洗浄を実施する
  • 全熱交換器を導入する


業務用エアコンや機械換気装置は、定期的に内部の洗浄・メンテナンスを実施して、効率的に運転できる状態を維持する必要があります。

また、全熱交換器を導入すると室温を維持しながら換気を行えるため、冷暖房の運転負荷を抑えて省エネルギー化を図れます。

介護施設の省エネルギー対策についてはこちらの記事をご確認ください。

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まとめ

この記事では、介護施設の感染症対策について以下の内容を解説しました。


  • 換気と湿度管理の重要性
  • 換気と湿度管理による感染症対策の方法
  • 換気と湿度管理を行う際のポイント


高齢者が集まる介護施設では、感染症の拡大や重症化を防ぐための対策が欠かせません。こまめな換気と湿度管理は、感染経路を遮断して感染を予防したり、体の抵抗力を高めたりするうえで重要な対策といえます。

また、換気と湿度管理を行う際には、室温管理によって施設内の環境を快適に維持しつつ、省エネルギー対策も併せて行うことがポイントです。

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