
フロン排出抑制法で義務づけられる「簡易点検」とは? 定期点検との違いやチェック項目、注意点
業務用エアコンなどの空調設備を管理する上で、フロン排出抑制法に基づく「簡易点検」は欠かせない義務です。
しかし、「定期点検と何が違うのか」「具体的にどこをチェックすればいいのか」と悩む施設管理者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、すべての対象機器に義務づけられている簡易点検の基本から、点検時のチェック項目、運用時のよくある見落としまで解説します。
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目次[非表示]
1.フロン排出抑制法に基づく「簡易点検」とは
業務用エアコンなどの冷媒として使われるフロン類は、大気中に放出されると地球温暖化やオゾン層破壊に深刻な悪影響を及ぼします。以前は廃棄時のフロン回収が中心でしたが、使用中の機器からの漏えいが想定以上に多いことが判明したため、対策が強化されました。
フロン排出抑制法の目的は、異常をいち早く察知して適切に修理し、フロンガスの大気中への排出を未然に防ぐことです。
そのため法律では、第一種特定製品(業務用エアコンや冷凍冷蔵機器など)の管理者に対し、機器の故障やフロンガスの漏えいを早期発見するための定期的な点検を義務づけています。
なお、フロン排出抑制法の概要や管理者の定義・義務についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
1-1.簡易点検は誰ができる?
簡易点検は、実施者について具体的な定めはありません。専門的な資格がなくても、安全が確保できる環境であれば施設管理者自身で実施することが認められています。
そのため、日常的な点検業務の一環として、施設のスタッフや設備担当者が自ら行うことが可能です。
1-2.定期点検との違い
業務用空調・冷凍冷蔵機器(第一種特定製品)の管理者に義務づけられている点検には、簡易点検と定期点検の2種類があります。
簡易点検は、すべての業務用冷凍空調機器を対象に3ヶ月に1回以上、目視による外観点検を行います。
一方、定期点検は圧縮機の定格出力が7.5kW以上の機器が対象となり、1年または3年に1回、専門的な資格を持った「十分な知見を有する者」が専用の機器を用いて詳細な検査を実施します。
▼簡易点検と定期点検の違い
項目 | 簡易点検 | 定期点検 |
対象機器 | すべての業務用空調・冷凍冷蔵機器 | 圧縮機の定格出力が7.5kW以上の機器 |
点検頻度 | 3ヶ月に1回以上 | 7.5kW以上50kW未満の空調機器:3年に1回以上 |
点検実施者 | 規定なし(機器管理者・施設管理者など) | 機器等に関する十分な知見を有する者(有資格者など) |
主な点検内容 | 目視による外観検査(冷蔵機器・冷凍機器の庫内温度、機器の異音、製品外観(配管含む)の損傷・腐食・錆び・油にじみ、熱交換器の霜付き等の冷媒漏えいの徴候の有無) | 簡易点検の内容+直接法・間接法による専門的な漏えい検査 |
記録の保存 | 実施日・結果などを記録し保存 | 実施日、実施者名、内容、結果などを詳細に記録し保存 |
なお、空調設備の管理と法定点検についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
2.簡易点検のチェック項目
簡易点検は、主に室内機と室外機の外観から、目視や聴覚で異常がないかを確認します。点検した結果は記録簿に記載し、履歴として保存することが義務づけられています。
なお、簡易点検は原則「目視」による点検であり、「安全で容易に目視ができる場合」に限定されます。高所や危険な場所など、安全に確認できない場合は無理をせず、専門業者に依頼して点検を実施してください。
2-1.室内機のチェック項目
室内機は、主にパネルやフィルター周辺から確認できる範囲で、異常な振動や異音がないか、油にじみや霜の付着の有無などをチェックします。
高所にある場合など、脚立を使わないと確認できないような箇所は、無理をせず安全で容易に目視ができる範囲で行います。
▼室内機の主なチェック項目
室内機から異音や異常な振動は発生していないか
熱交換器や配管から油のにじみはないか
熱交換器に霜は付着していないか
外観にキズや損傷、摩耗などはないか
2-2.室外機のチェック項目
室外機は屋外に設置されているため、雨風による経年劣化や損傷が起こりやすくなります。機器の周辺も含めて、異常がないかを入念に確認することが重要です。
▼室外機の主なチェック項目
室外機から異音や異常な振動は発生していないか
外観にキズや損傷、摩耗、へこみなどはないか
熱交換器や配管から油のにじみはないか
熱交換器に腐食や錆びなどが発生していないか
周囲に障害物(ゴミや落ち葉、荷物など)が置かれ通気性が悪くなっていないか
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3.簡易点検における「よくある見落とし」と注意点
自社で点検を行う際、設置環境や認識の甘さから見落としが発生しやすいため注意が必要です。法令を守るためにも、点検の質と記録の管理を徹底することが求められます。
3-1.室外機の油にじみや微小な異音の見落とし
室外機は屋外にあるため、雨風による単なる汚れと、フロン漏れによる「油にじみ」の区別がつきにくいことがあります。また、周囲の騒音が大きい場所(工場内や交通量の多い道路沿いなど)では、機器からの微小な異音に気づけないケースもあります。
こうした見落としを防ぐためには、日頃から周囲の清掃や整理整頓を行い、通風を確保しつつ異常に気づきやすい環境を整えておくことが大切です。点検時に不自然な「油汚れ・油のにじみ」や異音などの異常を発見した場合は、速やかに有資格者のいる専門業者へ点検・修理を依頼してください。
3-2.点検記録の付け忘れ・保存期間の超過
点検を実施しても記録を残していなかったり、担当者の変更などで記録簿を紛失してしまったりするケースがあります。点検記録は機器を廃棄したあとも3年間保存する義務があります。
適切な機器管理を行うため、第一種特定製品ごとに点検・修理、冷媒の充塡・回収等の履歴を記録し、その第一種特定製品の廃棄等を行い、冷媒の引渡しを完了した日から 3 年を経過するまで保存することが必要です。(法第16条)
第一種特定製品の整備の際、整備業者等の求めに応じて当該記録を提示することが必要です。(法第16条)
引用元:環境省『フロン排出抑制法 第一種特定製品 管理者等向け パンフレット』
なお、点検や記録の義務を怠り、行政(都道府県知事)からの改善命令に従わなかった場合、50万円以下の罰金が科せられる可能性があるため注意が必要です。
なお、フロン排出抑制法における具体的な罰則内容についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
出典:環境省『フロン排出抑制法 第一種特定製品 管理者等向け パンフレット』/e-Gov法令検索『フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律』
4.確実な簡易・定期点検と空調管理なら専門業者への依頼もおすすめ
フロン排出抑制法で義務づけられている簡易点検は自社で実施可能ですが、機器が高所にある場合や台数が多い場合、見落としが不安な場合はプロに任せることで負担とリスクを軽減できます。
TAKEUCHIでは、施設の規模や用途に合わせた空調設備の改善から、導入後のアフターフォローまでトータルサポートを行っています。
定期点検への対応や定期的な清掃・メンテナンスもお任せいただけるため、コンプライアンスを遵守しつつ、快適な施設環境を維持することが可能です。
5.まとめ
この記事では、フロン排出抑制法で義務づけられる簡易点検について以下の内容を解説しました。
フロン排出抑制法に基づく「簡易点検」とは
簡易点検のチェック項目
簡易点検における「よくある見落とし」と注意点
確実な簡易・定期点検と空調管理なら専門業者への依頼もおすすめ
業務用エアコンや冷凍冷蔵機器を所有する施設管理者にとって、簡易点検は3ヶ月に1回以上必ず実施しなければならない重要な業務です。室内機・室外機の目視や聴覚による確認を適切に行い、記録をしっかりと保存することで、法令遵守はもちろん、機器の故障やフロン漏えいの早期発見につながります。
もし、「対象機器が多すぎて手が回らない」「高所にあって安全に点検できない」「異音や油にじみの判断が難しい」といった不安がある場合は、専門業者に点検や保守を委託することも有効な選択肢です。
TAKEUCHIでは、空調設備の点検・メンテナンスから、補助金を活用したリニューアル提案までトータルでサポートしております。フロン排出抑制法に関するお悩みも、お気軽にご相談ください。




