catch-img

フロン排出抑制法の罰則とは?施設管理者が守るべき4つの義務と点検のポイント

業務用エアコンを運用する学校・福祉施設・工場などの施設管理者にとって、遵守が求められるのが「フロン排出抑制法」です。2020年の法改正により、フロン類の回収を伴わない廃棄などへの罰則が強化され、直罰(行政指導を経ない罰則)が導入されるなど、管理責任は重くなっています。

点検忘れや記録紛失といった不注意は、法的な罰則の対象となる可能性があります。

この記事では、フロン排出抑制法における具体的な罰則内容と、管理者が守るべき義務、リスクを回避するための適切な運用方法について解説します。

→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「設備管理者が知っておきたい法定点検の基本知識」

目次[非表示]

  1. 1.フロン排出抑制法における罰則の内容
    1. 1-1.管理者に科せられる主な罰則
    2. 1-2.法改正による「廃棄時」の罰則強化
  2. 2.罰則を回避するために管理者が遵守すべき4つの義務
    1. 2-1.適切な設置環境の維持と漏えい防止
    2. 2-2.簡易点検・定期点検の実施
    3. 2-3.点検・修理履歴の記録と保存
    4. 2-4.フロン類算定漏えい量の報告
  3. 3.罰則リスクを抑える定期点検運用のポイント
  4. 4.老朽化した空調のリニューアルが対策になる理由
    1. 4-1.環境負荷の低い「新冷媒R32」への転換
    2. 4-2.補助金の活用で初期投資を抑制
  5. 5.まとめ

1.フロン排出抑制法における罰則の内容

フロン排出抑制法に違反した場合、最大で1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。かつては行政指導や勧告に従わなかった場合に初めて罰則が適用されるケースが主でしたが、2020年の改正により運用が厳格化されました。

特に廃棄時の「回収未実施」に対する罰則が強化されており、状況によっては行政の改善命令を経ずに罰則が適用される場合もあります。

なお、フロン排出抑制法についてはこちらの記事で解説しています。

1-1.管理者に科せられる主な罰則

施設管理者が注意しておきたい主な罰則は以下のとおりです。

▼主な罰則

違反内容

罰則

根拠条文

みだりにフロン類を放出した場合
(フロン類放出禁止違反)

1年以下の懲役
または50万円以下の罰金

第103条第13号

点検の未実施、点検記録の未保存
(行政命令に違反した場合)

50万円以下の罰金

第104条第1号

算定漏えい量の未報告・虚偽報告
(一定以上の漏えいがあるにもかかわらず報告しなかった場合等)

10万円以下の過料

第109条第1号

フロン類を引き渡さずに機器を廃棄した場合
(フロン類の引渡し違反)

50万円以下の罰金

第104条第2号

回収依頼書・委託確認書を交付しない、または写しを保存しなかった場合
(工程管理票(回収依頼書等)の交付義務違反)

30万円以下の罰金

第105条第2号、
3号

廃棄完了後に交付される引取証明書を3年間保存しなかった場合
(引取証明書の保存義務違反)

30万円以下の罰金

第105条第4号

※e-Gov法令検索『フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律』を基に作成

出典:e-Gov法令検索フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律/環境省『フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)

1-2.法改正による「廃棄時」の罰則強化

廃棄機器からのフロン回収率が長らく低迷していた背景を受け、2020年4月の法改正では廃棄時の規制が強化されました。

機器を廃棄する際は、フロン類の回収を専門業者へ依頼することが必要です。回収を行わず廃棄物処理業者へ直接引き渡した場合は、罰則の対象となることがあります。

また、建物の解体工事に伴って機器を廃棄する場合、解体工事を請け負う業者が事前にフロン機器の有無を確認し、工事を依頼した施設管理者へ説明することが義務づけられました。

こうした手続きを踏まずに機器が廃棄された場合には、状況によって依頼主が責任を問われることもあります。円滑な対応のためにも、解体業者と事前に確認しておくことが大切です。

出典:環境省『解体工事の際にはフロン類の回収をしなくてはなりません!

2.罰則を回避するために管理者が遵守すべき4つの義務

法律で定められた「第一種特定製品(業務用エアコン・冷凍冷蔵機器)」の管理者には、使用中から廃棄時に至るまで適正な管理を行う責務があります。適正な管理を行うことで、フロン漏えいによる環境負荷の低減につながり、組織としてのコンプライアンス強化にも役立ちます。

管理者の主な義務は以下の4点です。

2-1.適切な設置環境の維持と漏えい防止

機器の損傷や劣化を早める要因を排除するため、適切な設置環境を整えることが大切です。たとえば、振動の激しい場所や腐食しやすい環境を避け、機器の周囲に点検や修理作業に必要なスペースを確保することなどが挙げられます。

また、日常的に機器の状態を確認し、油のにじみや異常音などの変化に気づくことが、フロン漏えいの早期発見につながります。フロン漏えいを発見した際は、専門業者へ修理を依頼してください。なお、修理を行わずに冷媒を繰り返し充填する行為は、原則として禁止されています。

出典:環境省『フロン排出抑制法の概要

2-2.簡易点検・定期点検の実施

すべての第一種特定製品に対して、定期的な点検が義務づけられています。点検には「簡易点検」と「定期点検」の2種類があります。

簡易点検

3か月に1回以上、管理者自身または委託を受けた者が、異音や振動、外観の損傷、腐食、油にじみなどの外観検査を行います。

定期点検

定格出力が7.5kW以上の機器(圧縮機の出力による)に対して義務づけられています。十分な知見と測定機器を持つ専門家(冷媒フロン類取扱技術者・冷凍空調技士・高圧ガス製造保安責任者など)による点検が必要です。点検頻度は、機器の大きさや種類によって1〜3年に1回と定められています。

出典:e-Gov法令検索『フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律

→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「設備管理者が知っておきたい法定点検の基本知識」

2-3.点検・修理履歴の記録と保存

機器ごとに「点検整備記録簿」を作成し、適切に管理・保存することが法律で定められています。記録簿には、機器の設置情報、点検実施日、点検結果、フロン類の充填・回収量、修理の内容などを詳細に記載します。

この記録簿は、機器を設置してから廃棄するまで、さらに廃棄後も3年間保存します。保存方法は紙媒体のほか、データによる保存も可能です。いずれの場合も、行政による立入検査の際に速やかに提示できるよう、整理された状態で保管しておく必要があります。

出典:環境省『フロン排出抑制法の概要

2-4.フロン類算定漏えい量の報告

管理する機器から漏えいしたフロン類の量を算定し、その合計が年間で「1,000t-CO2(二酸化炭素換算)」以上となった場合、国(所管大臣)への報告義務が生じます。

主に大規模な工場やチェーン店舗などを運営する法人が対象となるケースが多いです。

漏えい量は、機器の修理・整備時に記録されたフロン類の「充填量」と「回収量」の差分(=追加充填された量)として算出されます。使用中に補充したフロン類の量を漏えい量とみなして集計します。

▼漏えい量の算定イメージ

漏えい量の算定イメージ

画像引用元:環境省『漏えい量の算定・報告

出典:環境省『フロン排出抑制法の概要』『漏えい量の算定・報告

3.罰則リスクを抑える定期点検運用のポイント

管理者の義務において、特に負担がかかり専門性が求められるのが「定期点検」です。罰則リスクを回避するためには、自社だけで対応しようとせず、外部リソースを適切に活用することが大切です。

定期点検には高度な専門知識と専用の測定機器が必要です。法律上も、十分な知見を有する者が実施することとされています。

▼第一種特定製品の管理者の役割

全ての第一種特定製品を対象とした簡易点検を実施することが必要です。また、一定規模以上の第一種特定製品について、専門知識を有する者による定期点検を実施することが必要です。(法第16条)

引用元:環境省『フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)

自社に有資格者がいない場合は、専門のメンテナンス業者と保守契約を結び、点検のスケジュール管理を委託することをおすすめします。

専門業者への委託により、点検漏れを防ぎ、法律に準拠した正確な「点検整備記録簿」の作成・管理が可能となるため、コンプライアンス違反のリスクを低減できます。

出典:e-Gov法令検索『フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律』/環境省『フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)

4.老朽化した空調のリニューアルが対策になる理由

設置から15年以上経過した空調機は、経年劣化による配管の腐食や接続部の緩みが生じやすく、冷媒漏えいのリスクが高まります。

漏えいが頻発すれば、修理費用が増えるだけでなく、法人全体での漏えい量によっては「算定漏えい量報告」の対象となる場合があります。

こうした点を踏まえると、長期的な安定運用やコスト管理の観点から、最新機種へのリニューアルを検討することも一つの選択肢です。

4-1.環境負荷の低い「新冷媒R32」への転換

近年、店舗やオフィス、学校などの中小規模施設向け業務用エアコンを中心に、環境負荷の低い「新冷媒R32」を採用した機種への転換が進んでいます。

R32は、従来の主流であったR410Aに比べてGWP(地球温暖化係数)が約3分の1と低く、万が一漏えいした際の環境影響を抑えることができます。

また、最新機種は省エネ性能も飛躍的に向上しています。長時間運転が前提となる医療福祉施設や工場などでは、リニューアルによってコンプライアンス強化とランニングコストの削減の両立も可能です。

なお、新冷媒R32の概要についてはこちらの記事でも解説しています。

4-2.補助金の活用で初期投資を抑制

フロン排出抑制法への対応や、省エネ化(脱炭素化)を目的とした空調設備のリニューアルには、国や自治体の補助金を適用できるケースがあります。

特に、エネルギー効率の高い機器への更新は「省エネ補助金」の対象となりやすく、初期投資の負担軽減が可能です。学校法人や社会福祉法人、中小企業向けの支援制度もあるため、リニューアルを検討する際は、対象となる補助金を確認してください。

なお、TAKEUCHIでは、お客さまの施設状況に合わせた最適な補助金の提案から申請サポートまで対応しています。

→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「空調設備導入に活用できる補助金と申請ステップを紹介」

5.まとめ

フロン排出抑制法の罰則や管理者の義務について解説しました。

  • フロン排出抑制法における罰則の内容

  • 罰則を回避するために管理者が遵守すべき4つの義務

  • 罰則リスクを抑える定期点検運用のポイント

  • 老朽化した空調のリニューアルが対策になる理由

法令遵守は、施設の安全確保や法人の社会的信用を支える大切な取り組みです。日々の点検業務や管理に不安がある場合は、専門業者への相談や委託を検討してみるのも一つの方法です。

修理対応が増えている古い設備は、管理負担と冷媒漏えいのリスクにつながる原因となります。補助金の活用を含め、計画的なリニューアルも視野に入れることで、将来的な負担軽減につながります。

TAKEUCHIでは、空調設備の点検・メンテナンスから、補助金を活用したリニューアル提案までトータルでサポートしております。フロン排出抑制法に関するお悩みも、お気軽にご相談ください。

→【おすすめ!】記事の最後に読みたい「設備管理者が知っておきたい法定点検の基本知識」

CONTACT

まずはお気軽にお問合せください

お電話でのお問い合わせはこちら

平日 8:30~17:20

ご不明な点はお気軽に
お問い合わせください

お役立ち資料は
こちらから


人気記事ランキング

タグ一覧