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工場の寒さ対策。生産性を落とさない対策とエネルギーコスト削減のコツ

冬の工場は構造上冷えやすくなっています。工場が寒い場合、従業員の健康や作業効率に大きく影響します。作業環境が冷えると、集中力の低下やヒューマンエラー、体調不良、さらには事故や離職のリスクにもつながります。

また、鉄骨構造や高天井といった工場特有の環境から、十分な寒さ対策を行うのが難しいという声も少なくありません。本記事では、工場が寒くなる原因や、空調システムによる寒さ対策、省エネのポイントについて解説します。

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目次[非表示]

  1. 1.なぜ工場は寒くなるのか?
    1. 1-1.建物の構造上の問題
    2. 1-2.断熱性能の問題
    3. 1-3.外気温と換気設備の影響
  2. 2.空調システムによる工場の寒さ対策
  3. 3.快適性と省エネを両立する工場設計・運用のポイント
    1. 3-1.温度・湿度を管理する
    2. 3-2.現場でできる省エネ対策
      1. 3-2-1.生産設備や製造工程の見直し
      2. 3-2-2.空調設定温度・運転方法の見直し
    3. 3-3.ZEB Readyの考え方
  4. 4.まとめ

1.なぜ工場は寒くなるのか?

冬場の工場の寒さは、建物の構造や断熱性能の低さ、外気の影響、換気設備など、複数の要因が重なって発生します。効果的な寒さ対策を行うには、自社の工場がなぜ冷えやすいのか、その根本を把握することが重要です。

1-1.建物の構造上の問題

工場は鉄骨構造や高天井、大型の搬入口など、“熱が逃げやすい構造”が特徴です。鉄骨は熱を伝えやすく外気温の影響を受けやすいため、暖房で温めた空気が外に逃げやすく、室温も上がりにくくなります。

また、高天井では暖気が上部に滞留し、作業エリアが冷えやすくなります。設計段階で十分な断熱対策が施されていないケースもあるため、空調システムの導入やエアーカーテンの設置など、外気の影響を減らす工夫が求められます。

1-2.断熱性能の問題

工場の断熱性能の低さも寒さの原因の一つです。断熱性能の低い建材を使用していると、外の冷気が入り込みやすくなります。また、施設が古い場合は、断熱材が十分に使われていなかったり、経年劣化していたりします。その結果、保温性能が低く、外気温の影響を受けやすくなります。

省エネルギーの観点からも、壁面や屋根への断熱材の追加施工や高断熱素材への交換など、断熱性能の改善対策が必要です。

1-3.外気温と換気設備の影響

搬入口の開閉や換気システムによって冷気が入り込み、暖気が逃げることも工場が冷える要因になります。特に、出入りが頻繁な現場では、暖房機器で暖めた空気が外部に逃げやすくなり、室温が下がりやすくなります。また、換気システムが外気を取り込む際、冷気が作業エリアに流れ込むことで室温が低下します。

こうした影響を防ぐには、出入口への間仕切りカーテンの設置や、換気量の制御などの工夫が必要です。また、設備全体の空調管理を最適化することも求められます。

2.空調システムによる工場の寒さ対策

工場の寒さ対策は、間仕切りカーテンやヒーターなどの単一の暖房機器だけに頼る方法では限界があります。生産性を維持しながらエネルギー効率を高めるためには、空調と換気を組み合わせて、工場全体の環境を最適化することが重要です。

工場用のエアコンは、広い空間を効率的に暖めるよう設計されており、1つの空調システムで温度と湿度を広範囲にわたり安定して管理できます。これにより、以下のような効果が期待できます。

▼空調システムの効果

  • 温度ムラの解消

  • 省エネ運転の実現

  • 生産性の向上 など

また、工場は製造工程で埃や塵が発生しやすいため、空気清浄機能付きのエアコンを導入するのも効果的です。これにより、窓を開けにくい環境でも効率的に換気を行えます。清潔で快適な空気環境を保つことで、従業員の健康維持にもつながります。

このように、空調と換気を組み合わせた全体最適化によって、快適性・生産性・省エネを同時に実現できる点が、工場の寒さ対策における空調システムの大きな強みです。

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3.快適性と省エネを両立する工場設計・運用のポイント

工場の寒さ対策では、作業環境の快適性と省エネを両立することが求められます。温度や湿度のバランスを整えることで従業員が働きやすくなり、同時に空調運用の最適化によってエネルギーコストの削減も可能です。

3-1.温度・湿度を管理する

工場の快適性を保つには、温度と湿度のバランスを整えることが欠かせません。従業員が安全かつ快適に働ける環境を維持するためには、季節に応じた環境管理を行うことが大切です。

厚生労働省の『建築物環境衛生管理基準』では、空調設備を設けている建築物において、室温を18℃以上28℃以下に保つこと、また室温を外気より低くする場合は、温度差を著しくしないことが定められています。

なお、製造する製品によって適した温度や湿度は異なりますが、一般的に快適とされる温度・湿度の目安は以下になります。

▼快適な温度・湿度の目安

室温

湿度

夏場

26〜28度

50〜60%

冬場

18〜22度

40〜50%

これらは主にオフィスビルを対象とした基準ですが、工場でも作業内容や環境に応じて同等の水準を目安にすることが推奨されます。適切な温度・湿度管理を行うことで、快適かつ安全な作業環境を確保できるほか、機械や製品の品質安定にもつながります。

また、『労働安全衛生規則』(第606条)では、工場を含む屋内作業場において、温度や湿度を適切に調節・測定することが事業者に義務づけられています。

(温湿度調節)
第六百六条 事業者は、暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場で、有害のおそれがあるものについては、冷房、暖房、通風等適当な温湿度調節の措置を講じなければならない。

引用元:e-Gov 法令検索『労働安全衛生規則

このように、工場の温度・湿度の管理は快適さの確保だけでなく、法令遵守と安全管理の観点からも重要な取り組みといえます。

工場の温度管理については、こちらの記事で詳しく解説しています。

出典:厚生労働省『建築物環境衛生管理基準』/e-Gov 法令検索『労働安全衛生規則

3-2.現場でできる省エネ対策

工場で使用する空調設備は、広い空間を快適に保つ必要があるため、電気代の負担が大きくなりやすい傾向があります。エネルギーコストを抑えつつ快適な環境を維持するためには、省エネ対策の徹底が欠かせません。省エネの取り組みは、大きく分けて次の2つの視点から進めることができます。

3-2-1.生産設備や製造工程の見直し

生産設備や製造工程を見直すことで、不要な熱やエネルギーの発生を抑えることができます。例えば、熱を多く発生する機械を断熱壁で区切る、または熱源となる設備の稼働時間を分散することで、空調の負荷を軽減できます。工程改善によってエネルギーのムダを減らせば、結果的に冷暖房の稼働量も抑えられ、省エネ効果が高まります。

3-2-2.空調設定温度・運転方法の見直し

空調機器の設定温度や運転時間を最適化することで、効率的なエネルギー利用が可能になります。例えば、夜間や休日の不要な運転を自動停止するタイマー設定や、インバーター制御付きエアコンの導入によって、使用状況に応じた出力調整ができます。さらに、定期的なフィルター清掃や設備メンテナンスも、消費電力の削減につながります。

3-3.ZEB Readyの考え方

近年では、環境負荷を抑える取り組みとして“ZEB(Net Zero Energy Building:ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)”が注目されています。

ZEBとは、建物で消費する年間の一次エネルギー量を、省エネと創エネ(再生可能エネルギーの活用)によって実質ゼロにすることを目指した建物のことです。

▼ZEBの定義

ZEBの定義

画像引用元:環境省『ZEBの定義

ZEBへの取り組みには、次のようなメリットがあります。

▼ZEBに取り組むメリット

  • 光熱費の削減

  • 快適性・健康性の向上

  • BCP(事業継続計画)対応

  • 企業イメージの向上 など

ZEB化を進めることで、省エネだけでなく工場内の快適性の向上も期待できます。適切で快適な空調管理を行うことで従業員の作業環境が整い、結果として生産性の向上にもつながります。

なお、ZEBの基礎知識や取り組みのポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

出典:環境省『ZEBの定義

4.まとめ

この記事では、工場の寒さ対策について以下の内容を解説しました。

  • なぜ工場は寒くなるのか?

  • 空調システムによる工場の寒さ対策

  • 快適性と省エネを両立する工場設計・運用のポイント

工場の寒さ対策は単なる暖房強化ではなく、従業員の健康維持や生産性向上、エネルギーコスト削減につながる重要な取り組みです。生産性を維持しながらエネルギー効率を高めるためには、工場全体を最適化する空調システムと、省エネ運用の両立が欠かせません。また、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の考え方を取り入れることで、快適性を保ちながらランニングコストの削減も実現できます。

TAKEUCHIでは、工場やオフィス、学校、介護施設などの施設における空調設備のリニューアルをトータルサポートしております。建物の省エネやZEBの達成を目指した空調設計をご提案いたします。

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