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工場の温度管理を行う方法とは。施設に応じた運用のポイント

工場の内部は、熱や蒸気を発する製造機械が稼働していることから、高温・多湿になりやすい環境といえます。こういった環境では、熱中症を始めとした体調不良を引き起こすほか、従業員の作業効率の低下を招きます。過酷な労働環境を脱し、工場における業務を円滑に進めるためには、施設管理者による温度管理が重要です。

工場の施設管理者のなかには、「工場の温度管理はどのように行えばよいのか」「温度管理のコツを知りたい」などと気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、工場の温度管理について必要な理由や方法、運用のコツを解説します。


目次[非表示]

  1. 1.工場での温度管理が必要な理由
    1. 1.1.快適で安全な作業環境の確保
    2. 1.2.製造設備の負荷軽減
    3. 1.3.製品の品質保持
  2. 2.工場の温度管理を行う方法
    1. 2.1.温湿度を自動計測できるシステムを導入する
    2. 2.2.個別空調を導入する
    3. 2.3.スポット空調を組み合わせる
  3. 3.工場の施設に応じた温度・空調管理
  4. 4.まとめ


工場での温度管理が必要な理由

工場での温度管理は、従業員の負担や製造設備の負荷を軽減するほか、製造される製品の品質を保持するためにも必要とされます。


快適で安全な作業環境の確保

工場での温度管理を行うことで、労働者にとって快適で安全な作業環境を確保できます。

労働安全衛生規則』の606条および607条では、工場を含む屋内作業場における温度・湿度について調節や測定が定められており、企業の義務とされています。


▼労働安全衛生規則第606条・607条

(温湿度調節)

第六百六条 事業者は、暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場で、有害のおそれがあるものについては、冷房、暖房、通風等適当な温湿度調節の措置を講じなければならない。

(気温、湿度等の測定)

第六百七条 事業者は、第五百八十七条に規定する暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場について、半月以内ごとに一回、定期に、当該屋内作業場における気温、湿度及びふく射熱(ふく射熱については、同条第一号から第八号までの屋内作業場に限る。)を測定しなければならない。

引用元:e-gov法令検索『労働安全衛生規則


工場の温度管理を行うことで、従業員の健康リスクを軽減できるほか、作業の効率化や体調不良の防止によって生産性の向上にもつながると期待できます。

出典:e-gov法令検索『労働安全衛生規則


製造設備の負荷軽減

工場内の温度を管理することで、製造設備に対する負荷の軽減が期待できます。

工場内においては、従業員だけでなく製造設備も温度や湿度の影響を受けます。温度・湿度が高すぎる場合、製造設備の故障につながる可能性もあります。


▼温度・湿度による製造設備への影響

  • オーバーヒートによる故障
  • 温度差で生じる結露や多湿による腐食・錆 など


温度・湿度から受ける影響は製造設備によって異なるため、工場内の設備に応じた管理を行うことが重要です。


製品の品質保持

工場の温度管理は、製造している製品の品質保持に影響します。温度・湿度が高すぎたり低すぎたりする場合、製品が設計どおりに製造できない可能性もあります。


▼温度・湿度による製品の品質への影響

  • 高温による金属製品の変形・膨張
  • 低湿度で生じる静電気による電磁回路の故障 など


製品に合わせて工場内の温度・湿度をコントロールすることで、品質保持が行いやすくなります。



工場の温度管理を行う方法

工場の温度管理を行うには、温度を計測しやすい仕組みと温度を調節するための空調設備が必要です。


温湿度を自動計測できるシステムを導入する

温度や湿度を自動計測できるシステムを導入すると、施設管理者が温度計・湿度計を目視確認して記録する時間や労力の削減につながり、温度管理を効率化できます。

また、システムを導入すると、工場内の各エリアに設置したセンサーで温度・湿度の自動計測を行ったうえで、監視用のパソコンにデータを転送して集約できます。これにより、施設管理者が広い工場内を巡回して管理する労力が削減できます。


個別空調を導入する

個別空調とは空調の方式の一つです。建物内のフロア・エリアごとに熱源を分散設置して、独立した空調機として個別に制御します。

建物内の一か所に集中して設置するセントラル方式と比較して、空調フロアや各施設の用途に応じた温度管理を行える点が特徴です。

個別空調であれば、曜日・時間帯によって空調を使用するエリアが異なる工場や、24時間体制で稼働が必要な工場でも対応できます。

なお、個別空調とセントラル空調との違いはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

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※セントラル方式とは、建物内の空調を一箇所にまとめて設置し、中央管理室で一元管理する方法


スポット空調を組み合わせる

スポット空調とは、特定の作業場や製造設備など、冷暖房が必要なところに空調設備を設置する方法です。工場全体の空調にスポット空調を組み合わせることで、ほかのエリアとは条件が異なるエリアの温度管理が行いやすくなります。


スポット空調の特徴は以下のとおりです。


▼スポット空調の特徴

  • 導入時に設置工事が必要ない
  • メンテナンスを行いやすい
  • 必要に応じて設置場所を移動できる など


スポット空調は、導入とメンテナンスが容易に行えます。また、室外機と室内機が一体になっていることで設置場所の移動ができるため、柔軟な運用が可能です。

なお、空調設備の導入に活用できる補助金・助成金についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

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工場の施設に応じた温度・空調管理

工場の温度・空調管理では、扱う製品・設備によって運用のポイントが異なります。


▼工場施設における温度・空調管理

場所
運用のポイント
食品工場
  • 食中毒対策のために高温多湿を避ける
  • 換気を十分に行う
  • 食品の種類ごとに細かな温湿度調整を行う
精密機器工場
  • 錆・腐食の対策に多湿を避ける
  • 静電気を防ぐため、湿度が低くなり過ぎないようにする
産業用機器を用いる工場
  • 産業用機器の発熱を踏まえた温度管理を行う
  • 従業員の熱中症に気を配る
工場内のサーバルーム
  • サーバの部品が熱に弱いため、高温を避ける
  • サーバからの発熱を踏まえた温度管理を行う


工場施設に応じた温度管理を行うことで、設備の故障による業務の停滞を防ぎやすくなるほか、労働者の安全衛生も確保しやすくなります。



まとめ

この記事では、工場の温度管理について以下の内容を解説しました。


  • 工場の温度管理が必要な理由
  • 工場の温度管理を行う方法
  • 工場の施設に応じた温度管理のコツ


工場での温度管理は、快適で安全な作業環境の確保や製造設備の負荷軽減、製品の品質保持のために行われます。

温度管理を行う際は、温湿度の計測と空調による温度調節が必要です。空調の方法としては個別空調を導入するほか、必要に応じてスポット空調を組み合わせることが有効です。工場の施設によって必要な温度管理は異なるため、それに応じた手法を選ぶ必要があります。

TAKEUCHIでは、工場における快適で安全な空気環境づくりをサポートしております。最新の分析技術で空気の流れを可視化して、利用環境に合わせた空調をプランニングいたします。

詳しくは、こちらの資料をご確認ください。

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