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業務用エアコンの導入前に知っておきたい! 東京電力の業務用電力プラン最新情報【2025年版】

業務用エアコンの導入や更新を検討されている企業や店舗にとって、電気代は無視できない重要なコスト要因です。東京電力エナジーパートナー(TEPCO EP)では、2025年4月から業務用電力プランが大きく見直されていることをご存知でしょうか?
この変更は電力コストに数十万円以上の差をもたらす可能性があります。

ここでは、業務用エアコン導入前にぜひ確認しておきたい、東京電力の最新の業務用電力プランの概要と、どのような事業者にどのプランが合っているのかをご紹介します。


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目次[非表示]

  1. 1. なぜ今、電力プランの見直しが重要なのか?
  2. 2. 2025年6月現在、選べる「業務用電力プラン」はこの3つ
    1. 2-1. ベーシックプラン
    2. 2-2. 市場調整ゼロプラン
    3. 2-3. 市場価格連動プラン
  3. 3. 業務用エアコン導入と電力契約の関係とは?
  4. 4. プラン選定で失敗しないために
  5. 5. まとめ:設備導入と電力契約はセットで考えるのが賢い選択


1. なぜ今、電力プランの見直しが重要なのか?

2025年4月1日より、東京電力エナジーパートナーは業務用電力(高圧契約500kW未満)向けの従来プランを廃止し、新しい「標準プラン」への切り替えを進めています。既存の旧標準メニューは2025年3月末をもって新規加入の申込受付を終了し、2026年3月末には完全に廃止されるため、対象となる施設管理者には早急な対応が求められます。

この見直しは、電力市場価格の変動や燃料費の高騰に柔軟に対応するための方針であり、施設管理者にとっては電力コスト管理の戦略を根本から再構築する機会となります。

電力市場の変動によっては、月々の電気代が約15%から35%も上昇する可能性が指摘されており、これは企業の財務健全性や事業の安定性に直結する重要な経営課題です。

新しい料金構造では、基本料金単価が大幅に引き上げられ、電力量料金単価が低く設定されている傾向が見られます。この変更により、電力の使用率(負荷率)が高い施設、つまり常に多くの電力を安定的に使用する施設は電気代が下がる可能性があります。しかし、電力使用量の変動が大きい、またはピーク時以外はあまり電力を使わない負荷率が低い施設は、電気代が大幅に上がる可能性があるため注意が必要です。



2. 2025年6月現在、選べる「業務用電力プラン」はこの3つ

2025年以降、東京電力が提供する主な法人向け電力プランは以下の3つです。 これらのプランは、電力使用状況やリスク許容度に応じて選択できるよう設計されており、それぞれ異なる特性を持っています。


▼主な法人向け電力プラン


ベーシックプラン

市場調整ゼロプラン

市場価格連動プラン

特徴

燃料費調整・市場価格調整を行うプラン

スポット市場価格の変動の影響を受けないプラン

スポット市場価格の変動に連動するプラン

適用する調整

燃料費調整

市場価格調整

燃料費調整

市場価格調整

市場調整の割合

約30%

0%

100%

電力量料金単価

同一の単価

4つの時間帯に区分した単価

その他の条件

期中解約金の設定あり

500kW以上の契約電力の場合、契約電力変更制限の設定あり
期中解約金の設定あり

出典:東京電力エナジーパートナー株式会社 『特別高圧・高圧のお客さま向けの電気料金プランについて


2-1. ベーシックプラン

ベーシックプランは、新しい標準メニューの中心となるプランです。

燃料費調整と市場価格調整の両方が適用される標準的な料金プランであり、市場価格の変動リスクを一部受容する一方で、市場価格が低い時期には比較的割安になる可能性も秘めています。

エアコンの使用パターンが比較的安定しており、電力価格の変動リスクをある程度許容できる企業におすすめです。


2-2. 市場調整ゼロプラン

市場価格の変動リスクを最小限に抑えたい場合に適したプランです。

スポット市場価格の変動の影響を直接受けないため、料金の変動幅を抑制したい顧客に非常に適しており、月々の電気代の予算管理がしやすくなります。

電気使用量が安定しており、計画的に運営している企業や、予算の安定性を最優先する企業に適しています。


2-3. 市場価格連動プラン

電力市場の価格変動を積極的に活用したい場合に検討すべきプランです。

市場価格が低い時期、特に日中の太陽光発電量が多い時間帯などには、大きな節電効果が期待できます。 燃料価格の変動リスクは受けません。

電力使用量が比較的少なめであるか、または自社で需要を柔軟にコントロール(ピークシフト・ピークカットなど)しやすい企業に特に有利です。


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3. 業務用エアコン導入と電力契約の関係とは?

高圧電力の電気料金は、大きく分けて基本料金と電力量料金の合計で算定されます。

このうち基本料金は、「基本料金単価×契約電力×(185-力率)/100」という計算式で決まり、月々の固定費となる基本料金を決定する極めて重要な指標が「契約電力」です。 この契約電力は、「実量制」という方式に基づき、当月を含む過去1年間の各月の最大需要電力(デマンド)のうちで最も大きい値が適用されます。

最大需要電力(デマンド)とは、お客様の30分毎の平均使用電力のうち、その月で最も大きい値を指します。 エアコンや他の負荷設備が同時に多く使用されると、このデマンド値が一時的に跳ね上がる可能性があります。 一度高いデマンド値を記録してしまうと、その後の1年間はその高止まりした値が契約電力として適用され続けるため、結果として基本料金が高止まりするリスクがあります。 この「ラチェット効果」は、たとえ短時間であっても、例えば複数の高容量エアコンが同時に起動する夏の暑い日など、一度の電力ピークがその後の12ヶ月間の固定基本料金の基礎となるため、デマンド管理は非常に重要です。



業務用エアコンは、特に起動時や、設定温度に到達させるためにフル稼働する際に、大きな電力を消費します。 大型業務用マルチエアコンを新規導入する場合や、複数のエアコンを同時に稼働させる時間帯がある場合、一時的に最大需要電力が大幅に跳ね上がる可能性があります。 しかし、古いエアコンを最新の高効率モデルに入れ替えることで、同じ冷暖房能力でも消費電力を大幅に抑えることが可能です。 これにより、結果的に最大需要電力を低減し、契約電力の見直しによる基本料金の削減効果が期待できます。

高効率エアコンへのアップグレードは、全体のkWh消費量を削減し、変動料金を低減させるだけでなく、ピーク時の運転に必要な施設の最大需要電力(kW)にも大きく影響します。 このピーク需要を低下させることで、施設は東京電力との契約電力を低く交渉できることが多く、これが固定の月額基本料金の大幅な削減に直結します。



4. プラン選定で失敗しないために

プランの選定に迷う場合は、以下のポイントを整理してみてください。


「日中と夜間、どちらの稼働が多いか?」
「夏季や冬季に使用量が急増するか?」
「電気代の変動リスクをどれだけ許容できるか?」
「使用電力量に応じた契約電力の見直しが必要か?」


業務用エアコンの能力や設置台数、稼働状況の変化によって最大需要電力(kW)が変動し、これが契約電力に直接影響を与えます。 古いエアコンを高効率モデルに入れ替える場合や、生産ラインの変更、営業時間短縮など、施設の電力使用状況が大きく変化した場合は、契約電力の見直しを行うことで基本料金の削減効果が期待できます。

契約電力は過去1年間のピークデマンドで決まるため 、デマンド監視装置などを活用して現在の最大需要電力が実態に合っているかを確認し、必要に応じて電力会社に契約電力の変更を申し出るタイミングを見極めることが重要です。



5. まとめ:設備導入と電力契約はセットで考えるのが賢い選択

業務用エアコンは、快適な空間づくりや業務効率のために欠かせない存在ですが、その稼働には相応の電力が必要です。 だからこそ、導入や更新のタイミングで、電力プランを見直すことが大切です。 2025年4月からの東京電力の業務用電力プランの大幅な見直しは、電気代高騰が続く現代において、施設管理者にとって電力コストを最適化するための極めて重要な機会となります。

特に、古いエアコンを最新の高効率モデルに更新することは、単に消費電力量(kWh)を削減するだけでなく、最大需要電力(kW)の抑制にも繋がり、結果として基本料金の大幅な削減効果が期待できます。しかし、電力プランの選定や契約電力の見直しは、専門的な知識と詳細な分析を要するため、多くの施設管理者にとって複雑で判断が難しい課題となりがちです。

TAKEUCHIでは、業種・建物条件に合わせたエアコン選びから、電力使用パターンや省エネへのコンサルタント、補助金申請も幅広くサポートし致します。電気代を減らしながら、快適な空間も実現。エアコン導入時は、電力契約も一緒に見直しましょう。


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