業務用空調機によくあるトラブルと原因。安定稼働させるための3つの対策
快適な室内環境を維持するための空調設備には、故障や不具合などの発生を未然に防いで安定稼働させることが求められます。
学校や介護施設、工場、オフィスなどに備わった業務用空調機にトラブルが起こると、施設内の温度管理と換気を行えず快適性が損なわれるほか、夏場・冬場に冷暖房が使えなくなると体調不良を招くリスクもあります。
施設管理者のなかには、「業務用空調機のトラブルはどのような原因で起こるのか」「故障や不具合を防ぐにはどのような対策が必要なのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、業務用空調機によくあるトラブルと考えられる原因、安定稼働させるための対策について解説します。
目次[非表示]
業務用空調機によくあるトラブルと考えられる原因
業務用空調機を使用していると、故障や動作不良、異音・異臭などのトラブルが起こることがあります。よくあるトラブルと考えられる原因には、以下が挙げられます。
水漏れが起こる
空調機の室内機から水漏れが起こるトラブルがあります。
▼考えられる原因
- ドレンホースが詰まっている
- ドレンホースの勾配がとれていない
- ドレンパンが破損している
- 排水機能やコンプレッサーが故障している など
空調設備の内部では、空気を冷やしたり温めたりした際に結露が発生しやすくなります。これらの水を屋外へと排出するドレンホースや水の受け皿となるドレンパンに異常があると水漏れが起こります。
異音や異臭がする
空調設備から異音や異臭がするトラブルがあります。
運転時に“ガタガタ”“カラカラ”といった音が出たり、送風の際に嫌なにおいが発生したりする場合には、内部の故障や汚れが溜まっている可能性が考えられます。
▼考えられる原因
- 室内機・室外機の内部に汚れやカビが発生している
- 室内機の部品や室外機のモーターが破損している
- 排水機能に不具合が発生している など
空調設備を長期間使用している施設では、汚れやカビが発生しやすくなるため、掃除・洗浄を行わないと異臭の発生につながります。また、経年劣化によって内部の部品が摩耗・破損して運転時に異音が出ることもあります。
冷暖房の効きが悪い
冷暖房の効きが悪くなることも、よくあるトラブルの一つです。
「なかなか室内が冷えない・暖まらない」「風量を上げても風が弱い」といった場合、内部に汚れが溜まって性能が低下していたり、冷媒機器が故障していたりする可能性があります。
▼考えられる原因
- 吸込口・吹出口やフィルター、ファンにホコリが付着している
- 配管のつなぎ目に隙間がある
- 経年劣化によって熱交換器や配管が腐食・破損している など
冷媒系統に破損や腐食があると、冷暖房が正常に作動しなくなります。また、ホコリが付着していることが原因で、空気をうまく取り込んで風を送り出せなくなっている場合も考えられます。
業務用空調機のトラブルが発生しやすい職場・環境
空調設備は、使用環境や使い方によって負荷がかかることがあります。負荷がかかる状態で稼働させると、劣化のスピードが早くなったり、汚れが付着しやすくなったりして動作不良や破損などのトラブルにつながる可能性があります。
▼空調設備のトラブルが起こりやすい職場・環境
- 工場
- 飲食店や施設の食堂 など
工場では、製造時に排出される油や粉じん、排気ガスなどが空調機内のフィルターに付着することにより、汚れが蓄積しやすくなります。
製造設備の稼働によって室温が上昇したり、製造環境を維持するために外気との温度差が大きい温度管理が必要になったりする場合にも、空調設備に負荷がかかりやすくなります。
また、飲食店や学校・介護施設・オフィスなどの調理場または食堂では、調理時に排出される油と煙がフィルターに付着して、内部の汚れ、異臭につながることがあります。さらに調理中に室温が上昇することで稼働の負荷がかかり、冷暖房の効きが悪くなる可能性も考えられます。
空調機のトラブルが起こりやすい業種の場合、一般的な耐用年数とされる13年または15年よりも早く故障してしまうリスクがあるため、注意が必要です。
なお、空調設備の耐用年数についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
業務用空調機を安定稼働させるための対策
業務用空調機を安定して稼働させるためには、定期的な点検やメンテナンスを行うとともに、必要に応じてリニューアルを実施することが重要です。
①セルフチェックを行う
空調設備のトラブルによる稼働停止を未然に防ぐために、故障や不具合の兆候が現れた際にセルフチェックを行います。
業務用空調機の場合、修理は外部の事業者に依頼することが一般的です。修理を依頼する前に、本当に空調設備の故障や不具合が原因なのかセルフチェックを行っておくと自身でトラブルを解消できるケースもあります。
▼セルフチェックリスト
項目 |
チェック |
室温に対して設定温度が低すぎ・高すぎないか |
|
設定している風量が室内環境に合っているか |
|
フィルターに汚れが溜まっていないか |
|
室外機の近くに障害物を置いていないか |
②定期的に清掃とメンテナンスを行う
空調設備のトラブルは、内部の汚れや経年劣化による部品の摩耗・破損が原因となっているケースがあります。
清掃とメンテナンスを定期的に実施することで、清潔に空調機を使用できるほか、汚れ・ホコリによる故障や動作不良を未然に防げるようになります。
また、部品の交換や修理を実施すると、性能を維持して冷暖房効率を保ったり、経年劣化の進行を遅らせて長寿命化したりすることも可能です。
なお、業務用空調機の設備管理者には、目視による簡易点検が3ヶ月に1回以上義務づけられています。
空調機のメンテナンスや点検義務については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
出典:環境省 フロン排出抑制法ポータルサイト『機器の点検』/資源エネルギー庁『無理のない省エネ節約 空調』
③古くなった空調設備をリニューアルする
空調設備を長期間使用しており古くなっている場合は、新しい空調設備へとリニューアルすることも対策の一つです。
業務用空調機の法定耐用年数は13年または15年と定められていますが、この年数を超えても問題なく使用できる場合があります。ただし、導入してから長期間たった空調設備を使用し続けると、以下の問題を招く可能性があります。
▼空調設備を長期間使用し続けることによる問題
- 部品交換・修理の回数が増えてランニングコストの負担がかかる
- 性能の低下によって冷暖房の効きが悪くなったり、電気代が増加したりする
最新の空調設備にリニューアルすることで、冷暖房のパフォーマンスや省エネ性能が高まりランニングコストを抑えられるほか、施設環境の快適性を維持できるようになります。
なお、空調設備の省エネルギー化やリニューアルの際に活用できる補助金については、こちらの記事で詳しく解説しています。
出典:e-Gov法令検索『減価償却資産の耐用年数等に関する省令』
まとめ
この記事では、業務用空調機のトラブルについて以下の内容を解説しました。
- 業務用空調機によくあるトラブルと考えられる原因
- 業務用空調機のトラブルが発生しやすい業種
- 業務用空調機を安定稼働させるための対策
業務用空調機を使用していると、水漏れや異音・異臭の発生、冷暖房の効きが悪いなどのトラブルが生じることがあります。特に工場や飲食店などでは、空調機の使用環境や使い方によって負荷がかかるため、トラブルが起こりやすくなります。
空調設備の安定稼働を実現するには、セルフチェックを行い外部の事業者への修理を検討するとともに、定期的な清掃とメンテナンスを実施することが重要です。
また、空調機のトラブルが頻発する場合や導入してから長期間たっている場合は、最新の空調設備へとリニューアルを行うことも一つの方法です。
TAKEUCHIでは、業務用空調機の設備改善をトータルサポートしています。学校・介護施設・工場・オフィスなどの施設の課題に合わせた空調機をプランニングすることで、省エネルギー化と快適性の向上を実現します。
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