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学校の体育館にも空調設備が必要! 代表的な4つの種類と導入時のポイント

近年、公立の小中高校における空調設備の導入数は増加傾向にあります。文部科学省の『公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況について』によると、普通教室では約95%の学校で空調設備が導入されています。

一方で、体育館においては十分に設置が進んでおらず、小中学校で15.3%、高等学校で8.1%と設置率が低くなっています。生徒・教員が快適かつ安全に過ごせる施設環境を確保するには、体育館にも空調設備の設置が求められます。

この記事では、体育館で空調設備の設置が必要とされる理由や代表的な種類、導入する際のポイントについて解説します。

なお、学校での空調設備の設置状況については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

  学校における空調の設置状況と必要性。新設やリニューアルを行う際の課題とは 日本の平均気温は長期的に見て上昇傾向にあり、1990年以降は平均気温との気温偏差が大きく、高温な年が続いています。学校においては、夏場の熱中症を予防するとともに、生徒や教員が快適に過ごせる施設環境を維持するために、空調設備を用いた温度管理が求められます。この記事では、学校における空調の設置状況と必要性、導入課題について解説します。 TAKEUCHI株式会社

出典:文部科学省『公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況について


目次[非表示]

  1. 1.体育館に空調設備が必要とされる理由
  2. 2.体育館に設置される空調設備の種類
    1. 2.1.➀設備用パッケージエアコン
    2. 2.2.②輻射式冷暖房
    3. 2.3.③冷風機
    4. 2.4.④エアハンドリングユニット
  3. 3.体育館に空調設備を導入する際のポイント
  4. 4.まとめ


体育館に空調設備が必要とされる理由

体育館に空調設備が必要とされる理由には、近年における気候変動や熱中症のリスク、防災拠点としての環境改善などが挙げられます。


▼体育館に空調設備が必要とされる理由

  • 平均気温が上昇している
  • 熱中症のリスクは運動時に高まる
  • 防災拠点の環境改善が求められている


日本の年平均気温は、変動を繰り返しながら長期的に見て上昇傾向にあります。地球温暖化や都市のヒートアイランド現象などによって夏場には気温が高くなる日が多く、最高気温が35℃を超える猛暑日も記録されています。

気温の上昇によって熱中症の被害が多発しており、熱中症による死亡者は近年増加傾向にあります。


▼日本国内における熱中症による死亡者の推移

日本国内における熱中症による死亡者の推移

画像引用元:環境省『令和4年夏の記録的な暑さ


体育館では、体育授業や部活動などのスポーツ活動が主に行われますが、運動時には体が熱を発して熱中症が起こりやすくなります。

文部科学省の『学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き(概要)』によると、学校で起こる熱中症による死亡事故のほとんどは、体育授業またはスポーツ活動によって発生していることが報告されています。

生徒・教員の熱中症を防いで安全を守るには、空調設備による温度管理を行い、夏場でも快適な環境で授業や部活動を行えるようにすることが重要です。

さらに、体育館は災害時の避難場所として地域に指定されていることがあります。防災機能を強化して地域住民が安全に過ごせる環境を整備するためにも、空調設備の設置が求められます。


出典:環境省『令和4年夏の記録的な暑さ』/文部科学省『学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き(概要)



体育館に設置される空調設備の種類

体育館に設置される空調設備の種類には、主に4つが挙げられます。体育館の規模や構造、予算などに応じて選定することが重要です。


➀設備用パッケージエアコン

設備用パッケージエアコンは、1台の室外機に対して複数台の室内機を稼働させる空調設備を指します。主に工場や倉庫、ホールなどの広い空間において設置されており、体育館の空調設備としても利用されています。


▼設備用パッケージエアコンのメリット・デメリット

メリット
  • 既製品を設置するため施工費を抑えやすい
  • 室内機の形状を複数の種類から選べる
  • 1つのパネルで複数の室内機を操作できる など
デメリット
  • 面積が広い体育館では複数台の室内機が必要になる
  • 既製品のなかから選択する必要がある など


設備用パッケージエアコンでは、供給されるエネルギー源の違いによってGHP(ガス式)とEHP(電気式)の2種類に分けられます。

GHPとEHPの違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

  GHPとEHPの違い。ヒートポンプ式空調設備の仕組みと第3の選択肢とは 業務用空調機はエネルギー効率の向上や分散を図るために、ヒートポンプ式空調機が導入されているケースがあります。ヒートポンプ式空調機はGHPとEHPがあります。今回は、ヒートポンプ式空調機の仕組みやGHPとEHPの違い、メリット・デメリット、両方のよさを取り入れた第3の選択肢について解説します。 TAKEUCHI株式会社


②輻射式冷暖房

輻射式冷暖房は、施設内の天井や壁に設置したパネルの内部に配管を通して、冷温水を流すことによって冷暖房を行う空調設備です。冷風・温風による対流式の冷暖房ではなく、熱を持つ物体が赤外線を発する輻射の仕組みを用いています。


▼輻射式冷暖房のメリット・デメリット

メリット
  • 無風運転でスポーツへの影響を防げる
  • 温度のムラを抑えやすい
  • ゆっくりとした温度調節で体への負担を抑えられる など
デメリット
  • 立ち上がりに時間がかかりやすい
  • 大がかりな改修工事で施工費がかかりやすい など


③冷風機

冷風機は、床面に置いて局所的に冷風を送る空調設備です。体育館全体の冷房は難しいですが、ほかの空調設備と組み合わせて冷たい空気を循環させたり、人がいる場所だけを冷やしたりする際に活用できます。


▼冷風機のメリット・デメリット

メリット
  • 工事が必要なく低コストで導入できる
  • 人がいる場所だけピンポイントで空気を冷やせる
  • 設置場所や吹出口を柔軟に変えられる など
デメリット
  • 体育館全体の冷房が難しい
  • 冷風によって空気が乾燥しやすい など


④エアハンドリングユニット

エアハンドリングユニットは、施設の規模や構造に応じて空調の構造をオーダーメイドでつくる空調設備です。体育館や工場、病院、商業施設などの大規模な施設における空調設備として導入されています。


▼エアハンドリングユニットのメリット・デメリット

メリット
  • 室外機・室内機を一箇所にまとめて設置できる
  • 外気を取り込んで送風するため、送風機の数を減らせる
  • 風当たりを調整できる など
デメリット
  • 工事や空調設備本体の費用が高額になりやすい
  • ユニットが故障すると空調設備の稼働が停止する など



体育館に空調設備を導入する際のポイント

体育館に空調設備を導入する際は、冷暖房効率を高めるための改修工事を検討するとともに、導入後のランニングコストを考慮することがポイントです。


▼体育館に空調設備を導入する際のポイント

  • 建物の状況に応じて断熱改修工事を実施する
  • 窓や屋根の遮熱対策を組み合わせる
  • イニシャルコストとランニングコストの両方を考慮する


体育館には、断熱性能が確保されていないことも少なくありません。冷暖房効率を高めてランニングコストの削減を実現するには、空調設備の設置と併せて断熱改修工事を実施することが求められます。

窓や屋根については、外部の日射熱を通して施設内の温度を上昇させる要因となるため、遮熱塗装や複層ガラスの設置などによって遮熱対策を行うことも必要です。


▼体育館で実施する断熱・遮熱の改修例

体育館で実施する断熱・遮熱の改修例

画像引用元:文部科学省『体育館空調設置に伴う断熱性確保工事について


また、空調設備を設置する際には、イニシャルコストとランニングコストの両方を考慮する必要があります。光熱費や保守点検費用がどれくらいかかるかを想定して、高効率な運転ができる空調設備や断熱性を確保する方法などを検討することが重要です。

なお、空調設備の導入に活用できる補助金・助成金については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。

  空調設備の補助金と助成金。2024年度の制度と申請のポイントを解説 学校・医療機関・オフィスビルなどの建物で省エネルギー化を図るには、高効率な空調設備やエネルギー使用量を管理できるシステムなどの導入が有効と考えられます。国や地方公共団体では、省エネルギー化を促進するために補助金や助成金を運用しており、空調設備を導入・更新する際にも活用できる制度があります。この記事では、空調設備に関連する補助金・助成金と申請する際のポイントについて解説します。 TAKEUCHI株式会社

出典:文部科学省『体育館空調設置に伴う断熱性確保工事について



まとめ

この記事では、体育館の空調設備について以下の内容を解説しました。


  • 体育館に空調設備が必要とされる理由
  • 体育館に設置される空調設備の種類
  • 体育館に空調設備を導入する際のポイント


体育館は、学校の体育授業や部活動、災害時の避難所などに使用されます。夏場の熱中症を防ぐとともに、防災機能を強化して安全かつ快適に過ごせる環境を整備するには、空調設備を設置して温度管理を行うことが求められます。

また、空調設備を導入する際は、冷暖房効率を高めるための断熱改修工事と遮熱対策を実施すること、導入後のランニングコストを考慮することがポイントです。

TAKEUCHIでは、学校での快適かつ安心な空気環境を創造する『気流シミュレーション』を提供しております。空気の流れを最新の分析技術で可視化して、施設環境に合った空調設備のトータル改善を支援いたします。

詳しくは、こちらの資料をご確認ください。

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