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GHP(ガスヒートポンプ)とは。冷暖房の仕組みと3つの特徴

学校・介護施設・工場・オフィスなどでは、快適性の向上や利用者の安全管理のために空調設備が導入されています。業務用の空調設備にはさまざまな種類がありますが、代表的な空調方式に“GHP(ガスヒートポンプ)”があります。

空調設備の新設・リニューアルを検討している施設管理者のなかには「GHPによる冷暖房はどのような仕組みになっているのか」「導入するメリット・デメリットには何があるのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、GHPによる冷暖房の仕組みや特徴、導入するメリット・デメリットなどについて解説します。


目次[非表示]

  1. 1.GHPとは
  2. 2.GHPが備える3つの特徴
    1. 2.1.①パワフルな暖房能力
    2. 2.2.②電気空調よりも省電力
    3. 2.3.③電力供給なしの自立運転が可能
  3. 3.GHPを導入するメリット
  4. 4.GHPを導入するデメリット
  5. 5.ガスと電気を組み合わせたハイブリッド空調で最適制御を実現
  6. 6.まとめ


GHPとは

GHPとは、エネルギー源にガスを使用したヒートポンプ式の空調設備です。

ヒートポンプ式の空調設備では、熱が温度の高い場所から低い場所に移動する性質を利用して、空気中から熱エネルギーをくみ上げて放熱するサイクルを回すことによって冷暖房を行います。

熱を運ぶ冷媒物質は、凝縮器・蒸発器・圧縮機・膨張弁の4つを経由して循環する仕組みとなっており、GHPではこの圧縮機の駆動源にガスエンジンを用いています。


▼GHPの駆動源

圧縮機の駆動源
駆動源を動かすエネルギー源
ガスエンジン
都市ガス・プロパンガス など


なお、エネルギー源に電気を使用するヒートポンプ式の空調設備は“EHP”といいます。冷媒物質を循環させる仕組みは同じですが、圧縮機の駆動源にはガスエンジンではなく電気モーターを使用します。

GHPとEHPの違いについてはこちらの記事をご確認ください。

  GHPとEHPの違い。ヒートポンプ式空調設備の仕組みと第3の選択肢とは 業務用空調機はエネルギー効率の向上や分散を図るために、ヒートポンプ式空調機が導入されているケースがあります。ヒートポンプ式空調機はGHPとEHPがあります。今回は、ヒートポンプ式空調機の仕組みやGHPとEHPの違い、メリット・デメリット、両方のよさを取り入れた第3の選択肢について解説します。 TAKEUCHI株式会社



GHPが備える3つの特徴

エネルギー源にガスを使用するGHPには、電気を用いるEHPと比較して以下の特徴があります。


①パワフルな暖房能力

GHPでは、ガスエンジンから出る排熱を熱エネルギーに利用して暖房運転を行うため、低外気温でも室内を快適な温度に暖められます。

また、冬場の除霜運転が起こりにくいことから、立ち上がりが早く快適な暖かさを維持できるようになります。


②電気空調よりも省電力

エネルギー源にガスを使用するGHPは、電気を用いるEHPと比べて少ない電力で空調設備を運転できます。

GHPの総消費電力は、EHPの約10分の1といわれています。冷房による消費電力が高くなりやすい夏場におけるピーク時の消費電力を減らすことが可能です。

※機種によって異なる場合があります。


③電力供給なしの自立運転が可能

GHPのなかには、停電時でも自立運転ができる機種があります。

停電が発生した際に自立運転のモードを起動させると、発電機能によって冷暖房を行えるほか、照明や通信機器などに接続して電力を供給することが可能です。災害時でも継続した運転ができるため、BCP(事業継続計画)に役立ちます。



GHPを導入するメリット

学校・介護施設・工場・オフィスなどの空調設備をGHPにすることで、施設環境の快適性を向上させたり、省エネルギー化を図ったりできます。


▼メリット

  • 冬でも快適な施設環境を維持できる
  • ランニングコストの削減を図れる
  • 環境負荷の低減につながる
  • 災害に強い など


暖房能力に優れたGHPでは、外気温にかかわらず設定した温度までスピーディに空間を暖められるため、寒冷地にある施設でも快適性を維持できます。

また、EHPと比べて消費電力を抑えられることから、夏場における電力のピークカットが可能になり、ランニングコストの削減を図ることが可能です。空調設備の消費電力を減らすことはCO2排出量の削減につながり、環境保護にも貢献します。

電源自立型のGHPを導入すれば、電気を使用できなくなった場合でも発電機能によって冷暖房の運転を行えるようになるため、施設の災害対策にも役立ちます。



GHPを導入するデメリット

GHPの新設・リニューアルを行う際には、コストの面で注意点があります。


▼デメリット

  • 導入時の工事にコストがかさみやすい
  • 定期的なメンテナンスにコストがかかる など


GHPを導入する際には、空調設備の設置工事や配管工事などにコストが発生します。空調設備本体の価格もEHPより高くなりやすいといえます。

また、GHPの導入後は不具合や故障を防ぐために定期的なメンテナンスを実施する必要があることから、保守点検を事業者に依頼するコストもかかります。

導入時のコストを抑えるには、国や地方自治体が運用している補助金・助成金を活用することも一つの方法です。

空調設備の新設・リニューアルに活用できる補助金・助成金についてはこちらの記事をご確認ください。

  空調設備の補助金と助成金。2024年度の制度と申請のポイントを解説 学校・医療機関・オフィスビルなどの建物で省エネルギー化を図るには、高効率な空調設備やエネルギー使用量を管理できるシステムなどの導入が有効と考えられます。国や地方公共団体では、省エネルギー化を促進するために補助金や助成金を運用しており、空調設備を導入・更新する際にも活用できる制度があります。この記事では、空調設備に関連する補助金・助成金と申請する際のポイントについて解説します。 TAKEUCHI株式会社



ガスと電気を組み合わせたハイブリッド空調で最適制御を実現

空調設備の効率的な運転によってランニングコストを抑えるには、“ハイブリッド空調”という選択肢もあります。ハイブリッド空調とは、GHPとEHPを組み合わせたヒートポンプ式の空調設備です。

TAKEUCHIでは、ハイブリッド空調の『スマートマルチ』と使用エネルギーを遠隔制御するクラウドシステム『エネシンフォ』の導入をサポートしています。


▼スマートマルチ×エネシンフォ

スマートマルチ×エネシンフォ


ガスと電気の2つを使用して高効率な運転ができるほか、エネルギー料金に応じた最適比率をリアルタイムで制御することにより、契約電力の削減が期待できます。


▼スマートマルチ×エネシンフォの導入事例

立教大学池袋キャンパスでは、24時間365日の温湿度管理が必要となる図書館収蔵庫に『スマートマルチ×エネシンフォ』を導入しました。


ガスと電気を使い分ける高効率な運転と、エネルギー料金を分析して自動制御する仕組みによって、エネルギー使用量の約8%を削減できました。また、外気温に影響されない安定した空調管理によって、貯蔵資料の破損・劣化といったリスクの回避にもつながったとのことです。

  学校法人 立教学院|導入事例|30年の信頼と実績 品質で選ばれ続けるTAKEUCHIの空調環境ソリューション ガス(GHP)と電気(EHP)のベストミックスであるハイブリット空調の「スマートマルチ」と自動制御システムの「エネシンフォ」の導入で、エネルギー消費を約8%削減。24時間365日の空調管理が必要な図書館収蔵庫に安定した空調環境を提供することができました。 TAKEUCHI株式会社

なお、ハイブリッド空調についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

 



まとめ

この記事では、GHPについて以下の内容を解説しました。


  • GHPの仕組み
  • GHPが備える3つの特徴
  • GHPを導入するメリット・デメリット
  • ガスと電気を組み合わせたハイブリッド空調


GHPは、空調設備のエネルギー源にガスを使用しているため、EHPよりも消費電力を抑えられるほか、暖房能力に優れている、電源設備がなくても運転ができるなどの特徴があります。

ただし、導入時の工事や定期的なメンテナンスにはコストがかかります。ランニングコストを最小限に抑えつつ高効率な運転を実現するには、GHPとEHPを組み合わせたハイブリッド空調を導入することも一つの方法です。

TAKEUCHIでは、空調設備の改善をトータルサポートしています。30年にわたって学校や介護施設、工場、オフィスなどの幅広い施設で空調設備の課題に向き合ってきた経験と専門知識を基に、快適な環境づくりを支援いたします。

詳しくは、こちらの資料をご確認ください。

  資料ダウンロード一覧|30年の信頼と実績 品質で選ばれ続けるTAKEUCHIの空調環境ソリューション TAKEUCHI株式会社に関する詳しい資料は当ページからダウンロードいただけます。空調の新設やリニューアルはTAKEUCHI株式会社にお任せください。 TAKEUCHI株式会社


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