
フロン簡易点検はどう進める?チェックシートと記録の残し方
業務用エアコンでは、「フロン排出抑制法」に基づく点検が必要です。この法律は、フロン類の漏えいを防ぎ、地球温暖化への影響を抑えるとともに、機器の廃棄時にフロン類の回収が確実に行われるよう、2020年4月1日に改正法が施行されました。
これに伴い、業務用エアコンなどの管理者には、すべての対象機器について3か月に1回以上の「簡易点検」が義務付けられています。また、一定規模以上の機器には、専門的な知見を有する者による「定期点検」も必要です。
しかし点検が必要なのはわかっていても、「何を確認すればいい?」「どこまで自分で点検できる?」と迷う方もいるのではないでしょうか。
この記事では、業務用エアコンの簡易点検について、確認項目をチェックシート形式で紹介します。各項目の見方や記録方法、異常を発見した場合の対応まで、わかりやすく解説します。
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目次[非表示]
1.業務用エアコンの簡易点検とは?点検の頻度と実施者
簡易点検は3か月に1回以上実施します。点検では、機器の外観や運転時の状態を確認し、フロン類の漏えいにつながる異常がないかを確認します。
簡易点検の実施者に特定の資格は求められていないため、施設管理者や設備担当者が行うことも可能です。一方、一定規模以上の機器に必要な「定期点検」は、簡易点検とは異なり、専門的な知見を持つ者による点検が必要です。
では、実際の簡易点検ではどこを、どのように確認すればよいのでしょうか。
ここからは、業務用エアコンの簡易点検で確認したい項目をチェックシートにまとめて紹介します。点検時に一つずつ確認しながら、記録にも活用してください。
出典:環境省『フロン排出抑制法に基づく簡易点検について』
簡易点検と定期点検の違いについては、以下の記事もご確認ください。
2.業務用エアコンのフロン簡易点検チェックシート
点検を実施したら、どの機器を、いつ点検したのかが分かるように記録しておきます。
チェックシートには、点検項目ごとの結果や、異常があった場合の内容も記録しておくと、後から機器の状態や対応履歴を確認しやすくなります。
また、複数の業務用エアコンを管理している場合は、管理番号や設置場所を記載しておくと、どの機器の点検記録なのか確認しやすくなります。
2-1.まず記録する基本情報
項目 | 記録する内容 | 記入欄 |
|---|---|---|
点検日 | 点検を実施した日 | |
点検者 | 点検を行った人の氏名 | |
機器名 | エアコンなどの機器名 | |
管理番号 | 機器を識別するための番号 | |
設置場所 | 機器が設置されている場所 | |
メーカー・型式 | メーカー名・型式 | |
前回点検日 | 前回の点検を実施した日 |
2-2.点検項目
チェック項目 | 確認するポイント | 結果 | 備考 |
|---|---|---|---|
異音 | 普段と違う音がしていないか | □異常なし □異常あり | |
異常振動 | 室外機などに通常と異なる振動がないか | □異常なし □異常あり | |
損傷 | 室外機・配管などに破損がないか | □異常なし □異常あり | |
腐食・さび | 腐食やさびが進行していないか | □異常なし □異常あり | |
油のにじみ | 配管接続部などに油のにじみがないか | □異常なし □異常あり | |
霜付き | 熱交換器に通常と異なる霜付きがないか | □異常なし □異常あり | |
その他 | その他、普段と異なる状態がないか | □異常なし □異常あり |
ポイントは、単にチェック欄を埋めるのではなく、普段の状態と比べて変化がないかを見ることです。次章で詳しく解説します。
3.チェック項目ごとの見方|何を「異常」と判断する?
簡易点検では、専門工具を使用するのではなく、施設管理者が目視や運転状況から確認できる範囲で異常の兆候を確認します。
なお、点検できる箇所は、機器の種類や構造、設置状況によって異なります。ここで紹介する項目を目安に、安全に確認できる範囲で点検しましょう。
3-1.異音・異常振動
室内機や室外機を運転したときに、普段とは違う音や振動が発生していないか確認します。
例えば、これまで聞いたことのない「ガタガタ」「カタカタ」といった音や、室外機の振動が以前より大きくなっている場合は注意が必要です。運転開始時や停止時だけに発生する音なのか、運転中に継続しているのかも確認しておきましょう。
ただし、エアコンの運転中には、冷媒が流れる音や室外機の運転音など、通常でも音や振動が発生します。「音がするか」ではなく、普段と比べて変化がないかを見ることがポイントです。
異常が見られた場合は、発生している場所や状況を記録し、必要に応じて専門業者に相談しましょう。
3-2.損傷・腐食
室内機・室外機の外装、冷媒配管、配管の保温材、支持金具などを目視で確認し、破損や腐食、さび、変形などがないかを確認します。
特に室外機は屋外に設置されているため、雨風や紫外線などの影響で、外装や金属部分が劣化することがあります。配管の保温材が破れていたり、配管が露出していたりしないかも確認しておきましょう。
すでに腐食や劣化が見られる場合は、前回の点検時と比べて範囲が広がっていないか、状態が悪化していないかを確認することも大切です。
破損や腐食が見つかった場合は、場所や状態を記録し、必要に応じて専門業者へ相談します。
3-3.油のにじみ
室外機や冷媒配管の接続部などに、油のようなものがにじんだり、付着したりしていないか確認します。
冷媒が漏えいすると、冷凍機油が一緒に漏れ出して油のにじみが見られる場合があります。そのため、これまでになかった油のような付着が見つかった場合は注意が必要です。
一方で、油のにじみだけで冷媒漏えいと判断することはできません。ほかの原因で油分が付着している可能性もあるため、見つけた場合は自分で拭き取ったり、配管を触ったりせず、場所や状態を記録して専門業者に相談しましょう。
3-4.霜付き
室内機や室外機の熱交換器などを確認し、普段と比べて霜が多く付いていないか、特定の部分だけ霜が付いていないかを確認します。
冷媒が不足すると、熱交換器の一部に霜が付きやすくなる場合があります。そのため、これまで見られなかった霜付きが発生した場合や、以前より明らかに増えている場合は注意が必要です。
ただし、冬の暖房運転中に室外機へ霜が付くことはあります。暖房運転では室外機側が冷たくなるため、霜が付着することがあり、通常は自動的に霜取り運転が行われます。
そのため、単に「霜が付いているか」だけで判断せず、霜が長時間残っている、以前より明らかに増えた、運転状態にも変化があるなど、普段と異なる状態がないかを確認しましょう。
異常が気になる場合は、状態を記録したうえで専門業者に相談します。
3-5.その他の異常
上記の項目以外にも、エアコンの運転中に普段とは異なる状態がないかを確認します。
例えば、次のような変化がないか確認しておきましょう。
エラー表示が出ている
運転・停止を繰り返す
以前より冷えにくい、暖まりにくい
設定温度になりにくい
室外機が正常に運転していないように見える
以前にはなかった水漏れなどがある
こうした変化があった場合も、すぐに原因を自己判断するのではなく、いつ、どの機器で、どのような異常があったのかを記録しておくと、その後の確認や業者への相談に役立ちます。
なお、簡易点検はあくまで外観や運転状態から異常の兆候を確認するものです。点検時に異常が見つかった場合は、専門的な判断や修理が必要になることがあります。
→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「設備管理者が知っておきたい法定点検の基本知識」
4.フロン簡易点検は「見るだけ」でいい?確認するときの注意点
簡易点検では、安全に確認できる範囲で機器の状態を確認します。
点検のために機器を分解したり、危険な場所まで無理に確認したりする必要はありません。
確認時は、次の点に注意しましょう。
機器を分解しない
配管などに無理に触れない
高所や危険な場所を無理に確認しない
運転中の機器に不用意に近づかない
異常を発見した場合は専門業者へ相談する
異常を発見した場合は、まず状態を記録します。フロン漏えいや機器の故障が疑われる場合は、自己判断で修理せず、専門業者に点検を依頼しましょう。
点検の結果、冷媒の漏えいや故障が確認された場合は、修理が必要です。
5.フロン簡易点検の記録はどうする?|チェックシートの管理と保管方法
簡易点検を実施したことや点検日などの記録は、点検記録簿の一部として管理します。機器を廃棄した場合も、フロン類の引渡しを完了した日から3年間は保存する必要があります。
5-1.点検記録はまとめて保管する
点検後は、チェックシートなどの記録を機器ごとに整理し、必要なときに過去の点検状況を確認できるよう保管しておくことが大切です。
紙で管理する場合は機器台帳と一緒にファイルにまとめ、電子データの場合は機器の管理番号や設置場所などで検索できるようにしておくと、後から確認しやすくなります。
異常が見つかった場合は、点検記録だけでなく、修理・点検を依頼した日や対応内容などもあわせて残しておくと、機器の状態を継続的に管理しやすくなります。
5-2.複数台ある施設は「機器台帳」とセットで管理
複数の業務用エアコンを管理している施設では、点検チェックシートだけでなく、機器情報を一覧化した「機器台帳」とセットで管理すると、点検状況を把握しやすくなります。
機器台帳には、管理番号、設置場所、メーカー・型式など、機器を特定するための基本情報を整理します。各機器に管理番号を付け、チェックシートにも同じ番号を記載することで、「どの機器をいつ点検したか」を確認しやすくなります。
学校や病院、オフィスビルなど、多数の空調機器がある施設では、
「機器台帳」+「点検チェックシート」+「点検スケジュール」
を組み合わせて管理すると、点検漏れの防止にもつながります。
6.点検時に異常を発見したらどうする?
簡易点検で異常を見つけた場合は、異常の内容を記録し、必要に応じて専門業者へ相談します。 その後の点検や修理を行った場合は、対応内容も記録しておきましょう。
6-1.まず異常の内容を記録する
「異常あり」とだけ記録するのではなく、どこで、どのような異常があったのかが分かるように記録します。
例えば、「室外機の配管接続部に油のにじみを確認」「運転中に普段より大きな音がする」など、確認した状態を具体的に残しておくと、後から状況を確認しやすくなります。
6-2.必要に応じて専門業者へ相談する
油のにじみや異音、異常振動などは、フロン漏えいや機器の不具合が生じている可能性があります。
施設管理者だけで原因を判断せず、詳しい点検や修理が必要な場合は専門業者に相談しましょう。
異常を発見したときにすぐ対応できるよう、あらかじめ相談先を決めておくと安心です。
6-3.点検・修理後も対応内容を記録する
専門業者に点検や修理を依頼した場合は、発見日や対応日、対応内容、依頼した業者、対応後の状態なども記録しておきます。
対応履歴を残しておくことで、同じ機器で異常が繰り返されていないかなど、設備の状態を継続して確認しやすくなります。
7.フロン簡易点検でよくある疑問
7-1.Q. 業務用エアコンならすべて対象?
A. すべての業務用エアコンが対象となるわけではありません。フロン類を冷媒として使用する「第一種特定製品」に該当する業務用エアコンが対象です。
対象かどうかを確認する場合は、まず室外機などの銘板やシールを確認しましょう。機器の種類や冷媒の種類、冷媒量などが記載されている場合があります。
銘板が確認できない、表示が読み取れないなど、判断が難しい場合は、メーカーや専門業者に確認しましょう。
7-2.Q. 異音がなければフロン漏えいの心配はない?
A. 異音がないからといって、フロン漏えいがないとは判断できません。
簡易点検では、異音だけでなく、異常振動や損傷・腐食、油のにじみなど、機器に普段と違う状態がないかを確認することが重要です。
特に、油のにじみはフロン漏えいの兆候である可能性があるため、見つけた場合は記録し、必要に応じて専門業者へ相談しましょう。
「音は問題なさそうだから大丈夫」と一つの項目だけで判断せず、チェックシートの項目を一つずつ確認することが大切です。
7-3.Q. 古い業務用エアコンは点検方法が違う?
A. 古い機器だからといって、基本的な簡易点検の方法が大きく変わるわけではありません。
一方、長期間使用している機器では、外装や配管などの腐食・さび、油のにじみ、異音や異常振動などが生じている可能性があります。
そのため、現在の状態だけでなく、前回の点検時と比べて変化がないかも確認しましょう。以前はなかった異常が見つかった場合は、その内容を記録し、必要に応じて専門業者へ相談します。
8.まとめ
この記事では、フロン簡易点検について以下の内容を解説しました。
フロン簡易点検で確認する項目と記録方法
チェックシートとチェック項目の見方
点検時の注意点
チェックシートの管理と保管方法
異常を発見した場合の対応
フロン簡易点検は、業務用エアコンの異常を早期に把握し、適切な対応につなげるための大切な点検です。特別な知識がなくても、管理者や設備担当者が安全に確認できる範囲で実施できます。
大切なのは、点検して終わりにせず、確認した内容を記録し、機器ごとの状態を継続して把握することです。異常が見つかった場合は、自己判断で済ませず、必要に応じて専門業者へ相談しましょう。
日々の点検から、詳しい点検・修理、設備更新まで、空調設備を適切に管理することが、長く安心して使い続けることにつながります。
TAKEUCHIでは、業務用エアコンの点検・メンテナンス、修理、設備更新まで対応しています。空調設備の管理や、異常への対応についてお困りの際は、お気軽にご相談ください。




