
業務用エアコンの「2027年問題」とは?施設管理者が知るべき更新リスクとLCC最適化
学校、医療・福祉施設、工場、オフィスビルなどでは、業務用空調の安定稼働が施設運営を支える重要な要素となっています。
現在、空調業界では「2027年問題」と呼ばれる変化が注目されており、機器の老朽化に加え、冷媒規制や設備更新需要の集中による影響が懸念されています。特に、冷媒規制を背景に設備更新が2027年前後に集中すると、機器の納期や工事日程、更新コストなどに影響が及ぶ可能性があります。
本記事では、業務用エアコンにおける2027年問題の概要と、EHP(Electric Heat Pump:電気式ヒートポンプエアコン)とGHP(Gas Heat Pump:ガスヒートポンプエアコン)で異なる更新判断の考え方、「壊れてから直す」運用に伴うリスクについて解説します。
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目次[非表示]
1.業務用エアコンにおける「2027年問題」で想定されるリスク
業務用エアコンの「2027年問題」とは、次の3つが重なることで起こる市場環境の変化を指します。
冷媒規制により、旧冷媒機から新冷媒機への更新が進む
2010年代前半に導入された設備が更新時期を迎える
更新需要が集中し、機器の納期や工事日程、更新コストに影響が及ぶ可能性がある
なお、2027年以降に現在使用している業務用エアコンが使えなくなるわけではありません。古い業務用エアコンを使い続けること自体は法律違反ではなく、直ちに使用禁止になったり、修理できなくなったりするわけでもありません。
しかし、更新需要が一時期に集中すると、希望する時期に設備更新を行えない可能性があります。そのため、設備の状態を早めに把握し、計画的に更新を進めることが重要です。
1-1.冷媒規制を背景に更新需要が集中する可能性がある
地球温暖化対策の一環として、温室効果の高い旧型冷媒から、環境負荷の低い低GWP(Global Warming Potential:地球温暖化係数)冷媒への転換が進められています。
業務用エアコンでも、R410Aなどを使用する旧型機から、R32などの低GWP冷媒を採用した機器への移行が進んでいます。こうした冷媒転換の動きに加え、2010年代前半に導入された設備が更新時期を迎えることで、2027年前後には更新需要が大きく重なる可能性があります。
さらに、将来的な冷媒や部品の供給を見据え、計画的に設備更新を進める施設が増えれば、市場全体の需要はさらに高まることも考えられます。そのため、2027年問題は「冷媒規制」そのものではなく、規制を契機として更新需要が集中し、市場環境が変化することに注意すべき課題といえます。
低GWP冷媒への移行背景や、R32とR410Aの違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
1-2.機器の納期や工事費用に影響が及ぶ可能性がある
空調設備の更新需要が一時期に集中すると、メーカーの生産能力や施工会社の対応限界を上回り、希望する機器の納期が長期化する可能性があります。
業務用エアコンの更新では、施設の規模や用途に応じた機種選定に加え、配管や電源設備の確認、専門業者による施工が必要です。そのため、家庭用エアコンのように短期間で交換できるとは限らず、施工会社の人員やスケジュールが不足すると、希望する時期に工事を実施できないケースも考えられます。
また、需要の高まりによって機器価格や施工費用が変動し、当初の予算や更新計画に影響を及ぼす可能性もあります。こうしたリスクを避けるためには、自社施設に適した機器を早めに選定し、余裕を持って更新計画を立てることが重要です。
業務用エアコンの選定方法や、施設に適した機種の考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
2.EHPとGHPで異なる設備更新の判断基準
業務用空調には、EHPとGHPがあります。どちらも設備更新を計画的に進めることが重要ですが、動力や構造が異なるため、更新時に重視すべきポイントも異なります。
▼EHPとGHPの違い
項目 | EHP | GHP |
熱源 | 電気 | ガス |
2027年問題との関係 | 低GWP冷媒への対応が進む | 2027年度から新設機器の低GWP冷媒への対応が求められる |
更新判断 | 冷媒・部品供給 | エンジン寿命・冷媒対応 |
注意点 | 修理リスク | 保守コスト・更新時期 |
2-1.EHPは旧冷媒機の修理リスクを踏まえて判断する
EHPでは、R32などの低GWP冷媒を採用した機器への移行が進んでいます。一方で、R410Aなどの旧冷媒を使用する機器では、機種や製造時期によって部品や冷媒の調達に影響が生じる可能性があります。
万が一故障した際に必要な部品の調達に時間がかかったり、修理費用が高額になったりすると、設備の復旧が長期化するおそれがあります。そのため、故障してから更新を検討するのではなく、設置年数や修理履歴、部品供給状況を踏まえ、計画的に更新を進めることが重要です。
2-2.GHPはエンジンの劣化や保守費用を踏まえて判断する
GHPは、2027年度から新設機器の低GWP冷媒への対応が求められます。そのため、更新時には冷媒への対応に加え、ガスエンジンの状態や保守費用も重要な判断材料となります。
GHPはガスエンジンを動力としているため、稼働時間が長くなるにつれて、エンジンオイルやプラグ、ベルトの交換に加え、オーバーホールなどの大規模な整備が必要になる場合があります。
保守や修理の回数が増えると維持費が高くなるだけでなく、経年劣化によって運転効率が低下すると、ガス使用量が増え、ランニングコストにも影響します。そのため、設備の使用年数や稼働時間、保守費用、燃料費を総合的に確認し、更新時期を判断することが重要です。
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3.壊れるまで使用するリスクとLCCの視点
LCCとは、Life Cycle Cost(ライフサイクルコスト)の略で、設備を導入してから廃棄するまでにかかる総費用のことです。
業務用エアコンでは、初期費用だけでなく、運用中のエネルギーコストや保守費用、修理費用なども含めて設備を評価することが重要です。
▼LCCに含まれる主な費用
項目 | 内容 |
初期費用 | 機器代、設置工事費 |
エネルギーコスト | 電気代・ガス代 |
保守費用 | 定期点検、メンテナンス |
修理・部品交換費 | 故障対応、部品交換、オーバーホール |
更新・撤去費用 | 設備の更新や廃棄にかかる費用 |
例えば、導入費用が安いエアコンでも、消費電力が大きく修理費がかさむ場合、10~15年という長期で見るとLCCは高くなることがあります。一方、高効率な最新機種は初期費用が高くても、省エネ性能や保守性の向上によって、長期的な総費用を抑えられるケースもあります。
3-1.業務用エアコンでLCCが重要な理由
施設管理者が更新を検討する際、「まだ動いているから使い続ける」という判断だけでは、将来的なコスト増加を見落とす可能性があります。
例えば、次のような視点で設備を評価することが大切です。
電気代・ガス代はどの程度変化するか
修理・保守費用は今後どのくらい増える可能性があるか
故障した場合、施設運営や事業活動へどのような影響があるか
更新した場合、何年程度で投資を回収できるか
このように、初期費用だけでなく、設備を使い続けることで発生する費用まで含めて比較することで、更新の妥当性を判断しやすくなります。
3-2.長期使用により運転効率や維持コストは変化する
業務用エアコンを長期間使用すると、熱交換器の汚れや腐食、圧縮機の摩耗などにより、冷暖房能力やエネルギー効率が徐々に低下することがあります。
性能が低下すると、設定温度に到達するまでの時間が長くなり、運転時間が増えることで、電力やガスの使用量が増加する可能性があります。また、経年劣化が進むにつれて故障や部品交換の頻度が高くなり、修理費や保守費も増える傾向があります。
一方、高効率機器へ更新すると、運転効率や保守性の向上が期待できます。ただし、その効果は施設の利用状況や既存設備の状態によって異なるため、更新によるメリットを事前に試算することが重要です。
3-3.稼働可否ではなくLCCを踏まえて総合的に評価する
空調設備の更新を初期費用だけで判断すると、運用期間中に発生するエネルギーコストや保守費用、突発的な修理費を見落とす可能性があります。
さらに、空調設備の停止が施設運営や生産活動へ影響する場合は、修理費だけでなく、空調停止によって生じる業務停止や施設運営への影響まで考慮する必要があります。
そのため、「まだ動いているかどうか」だけを更新の判断基準にするのではなく、導入費用と運用コストを合わせたLCCの視点で総合的に評価することが重要です。既存設備を継続使用した場合と更新した場合の費用を比較することで、自社にとって適切な更新時期を判断しやすくなります。
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4.2027年問題を見据えた計画的な空調更新とTAKEUCHIの支援
2027年問題への対応では、市場環境の変化を踏まえながら、自社の設備状況に応じた更新計画を早めに検討することが重要です。
4-1.現状診断を基に計画更新を進める
病院や介護施設、工場など、空調停止の影響が大きい施設では、故障後に対応する事後保全だけでは、施設運営に大きな支障が生じる可能性があります。
設備停止のリスクを抑えるためには、設置年数や運転状況、修理履歴などを確認し、必要に応じて専門業者による現状診断を受けることが有効です。
設備の状態を早めに把握しておくことで、予算化や工事時期を計画しやすくなるほか、機器の選定や施工会社の手配にも余裕を持って対応できます。また、高効率空調機への更新では、時期や設備の条件によって国や自治体の補助金制度を活用できる場合があります。
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4-2.LCCを踏まえた空調機器の選定とリニューアル提案を支援
業務用エアコンの更新では、既存設備の劣化状況だけでなく、EHPとGHPのどちらが適しているか、更新後のエネルギーコストや保守費用がどの程度になるかなど、複数の要素を総合的に検討する必要があります。また、補助金制度を活用する場合は、制度の内容や適用条件を事前に確認することも重要です。
TAKEUCHIでは、30年にわたる豊富な実績を基に、特定のメーカーや熱源に偏らない立場から、施設の用途や電力・ガスの供給環境、設備の使用状況などを踏まえた更新計画をご提案しています。
既存設備の調査やLCCの比較、熱源の選定から施工まで対応するとともに、補助金制度に関する相談や、申請時に必要な情報提供・手続き支援も行っています。施設ごとの条件に応じた計画づくりを通じて、空調設備の安定稼働と運用コストの適正化を支援します。
5.まとめ
この記事では、業務用エアコンの「2027年問題」について以下の内容を解説しました。
業務用エアコンにおける「2027年問題」で想定されるリスク
EHPとGHPで異なる設備更新の判断基準
壊れるまで使用するリスクとLCCの視点
2027年問題を見据えた計画的な空調更新とTAKEUCHIの支援
業務用エアコンの「2027年問題」は、冷媒規制そのものではなく、それを契機とした設備更新需要の集中によって、納期や工事、更新コストなどに影響が及ぶ可能性がある点に注意が必要です。そのため、「まだ動いているから使い続ける」という判断ではなく、設備の状態や部品供給状況、LCCを踏まえながら、計画的に更新を進めることが重要です。
TAKEUCHIでは、現地調査やLCCを踏まえた更新計画のご提案、EHP・GHPの選定、補助金制度に関する相談まで対応しています。2027年問題を見据えて空調設備の見直しをご検討の際は、お気軽にご相談ください。






