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ヒートショック事故を未然に防ぐ! 施設における対策方法と設備投資戦略

冬場の入浴時などに高齢者施設で発生するヒートショックは、利用者の命に関わる重大事故であり、施設管理者にとってリスクの一つです。

こうした事故を防ぐためには、日々のきめ細かな介護と、根本的な施設改修による環境整備が、安全な施設運営の両輪となります。特に、老朽化した施設や温度管理が難しい構造を持つ施設では、抜本的な設備投資が喫緊の課題です。

この記事では、ヒートショックが発生する構造的なリスクの解説から現場で徹底すべき予防策、さらには施設の価値を高めるための設備投資戦略についてご紹介します。

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目次[非表示]

  1. 1.ヒートショックの発生リスクと施設の課題
    1. 1-1.施設におけるヒートショックの発生リスク
    2. 1-2.施設全体の「温度のバリア」が生む構造的な課題
  2. 2.現場で徹底すべきヒートショック予防と職員指導のポイント
    1. 2-1.利用者の健康状態に応じた入浴前チェック体制
    2. 2-2.入浴環境の整備とオペレーション
  3. 3.施設価値を高めるヒートショック対策
    1. 3-1.浴室暖房乾燥機の導入
    2. 3-2.全館空調・居室外暖房による施設全体の断熱改修
  4. 4.設備導入・改修に活用できる公的な支援制度
  5. 5.まとめ

1.ヒートショックの発生リスクと施設の課題

ヒートショックとは、急激な温度変化にさらされることで血圧が急変動し、失神や心筋梗塞、脳梗塞といった重大な健康被害を引き起こす現象です。

ヒートショックのイメージ図

画像引用元:消費者庁『冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください! -自宅の浴槽内での不慮の溺水事故が増えています-

特に冬場に暖かい居室から寒い脱衣所や浴室へ移動する際や、温かい湯船に浸かった後に立ち上がる際などに起こりやすく、重篤なケースでは浴槽での溺水や心肺停止に至るおそれがあります。

出典:消費者庁『冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください! -自宅の浴槽内での不慮の溺水事故が増えています-

1-1.施設におけるヒートショックの発生リスク

ヒートショックに関連する事故は、冬場の入浴時を中心に、施設内での温度差が原因となって発生します。

厚生労働省の統計データは、家や居住施設での浴槽内での死亡者数が年々増加傾向にあることを示しています。この背景にはヒートショックが関与している可能性が指摘されています。

浴槽内での及び浴槽への転落による溺死及び溺水_グラフe-Stat政府統計の総合窓口『人口動態調査 人口動態統計 確定数 死亡』を基に作成

実際、2023年のe-Stat政府統計の総合窓口『人口動態調査 人口動態統計 確定数 死亡』によると、不慮の事故による死亡のうち、「浴槽内での及び浴槽への転落による溺死及び溺水」の数は約6,900人に上ります。これらの死亡事例は、ヒートショックによる意識障害や血圧急変が一因となっているケースが多いと考えられます。

出典:e-Stat政府統計の総合窓口『人口動態調査 人口動態統計 確定数 死亡

1-2.施設全体の「温度のバリア」が生む構造的な課題

ヒートショックの発生リスクを高める主因は、施設内に存在する「温度のバリア(温度差)」です。特に、暖房が行き届きにくい非居室エリア、浴室、脱衣所、トイレ、廊下などで急激な温度低下が起こりやすく、これらの場所への移動時に事故が集中します。

この温度差が生じる背景には、施設の構造的な課題が関わっています。一時的な暖房器具の設置では根本的な解決にはならず、施設全体の断熱改修や全館空調の導入といった抜本的な対策が不可欠です。

施設内温度のバリア解消に向けた具体的な改修事例は、こちらの記事もご参照ください。

2.現場で徹底すべきヒートショック予防と職員指導のポイント

ヒートショック事故は利用者の命に関わります。そのため、事故を未然に防ぐための体制整備は施設経営における重要課題の一つです。

2-1.利用者の健康状態に応じた入浴前チェック体制

ヒートショックのリスクは、利用者一人ひとりの体調や持病によって異なります。

そのため、職員の経験や判断任せの対応では、対応のバラつきやチェック漏れが生じる可能性があります。事故のリスクをゼロにすることは難しいですが、入浴前チェック体制と運用ルールを確立するなど、可能な限り低減することが重要です。

出典:厚生労働省『介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン

2-2.入浴環境の整備とオペレーション

入浴中の事故を防ぐためには、環境面の整備と介護オペレーションの両面からの対策が重要です。

環境面では、浴室・脱衣所の温度管理を徹底し、非居室エリアでの急激な温度変化を防ぐことが基本となります。具体的には、脱衣所は18℃以上、できれば20℃前後、浴室は暖かめに保つことが推奨されています。

入浴中のオペレーションとしては、急な立ち上がりによる立ちくらみや血圧変動を防ぐための声かけや、入浴時間の管理といった介護補助の重要性を職員に徹底する必要があります。

出典:消費者庁『冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!

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3.施設価値を高めるヒートショック対策

ヒートショック対策としての空調・断熱改修は、単なる「安全対策」にとどまらず、施設の長期的な運営コスト削減と企業価値向上につながる戦略的な経営投資です。

3-1.浴室暖房乾燥機の導入

浴室暖房乾燥機は、ヒートショック対策として効果的な設備投資の一つです。特に冬場の脱衣所と浴室の温度差を解消し、利用者が入浴前後に感じる急な温度変化をなくすことで、血圧の急変リスク低減が期待できます。

近年の高性能な機器には、設定温度の維持や換気を自動で行うタイマー制御機能や自動換気機能が備わっています。

これらの機能を活用することで、常に安定した安全な環境を維持することが期待できます。また、乾燥機能は、カビの発生を防ぎ、浴室の衛生環境を向上させるという副次的なメリットもあります。

出典:国土交通省『住宅の温熱環境と健康の関連』/政府広報オンライン『交通事故死の約3倍?!冬の入浴中の事故に要注意!

3-2.全館空調・居室外暖房による施設全体の断熱改修

より根本的なヒートショック対策として推奨されるのが、全館空調システムの導入と施設全体の断熱改修です。ヒートショックは居室と非居室エリア間の温度差で発生するため、館内全体の温度制御が可能な全館空調システムは有効といえます。

これにより、施設内の温度ムラを解消し、「温度のバリア」を根本から取り除くことができます。

4.設備導入・改修に活用できる公的な支援制度

ヒートショック対策としての設備導入・改修は高額な初期費用が発生するケースが多くあります。この経営負担を軽減する上で重要なのが、国や地方自治体が提供する公的な支援制度を積極的に活用することです。

東京都における支援制度の活用例として、施設の省エネ化を目的とした『東京都既存非住宅省エネ改修促進事業補助金』が挙げられます。高効率な空調設備への入れ替えや、建物の断熱改修などに活用できる可能性があります。

また、『特別養護老人ホーム等施設整備費補助制度』では、高齢者施設の安全性の向上や快適化を目的とした整備・改修に利用できる場合があります。

しかし、補助金や助成金の申請プロセスは、複雑で専門性の高い書類提出が求められることが多く、施設単独で対応するのは困難なケースが少なくありません。そのため、補助金対応に精通した空調設備・断熱工事の施工事業者やコンサルティング事業者と連携することが、採択率を高め、申請をスムーズに完了させるための有効な手段といえます。

介護施設における空調導入・改修に特化した補助金の詳細については、こちらの記事をご参照ください。

5.まとめ

この記事では、ヒートショック事故の予防について、以下の内容を解説しました。

  • ヒートショックの発生リスクと施設の課題

  • 現場で徹底すべきヒートショック予防と職員指導のポイント

  • 施設価値を高めるヒートショック対策

  • 設備導入・改修に活用できる公的な支援制度

ヒートショック事故の予防は、利用者の命を守るという責務であり、施設経営の安定性に直結する最重要課題です。特に全館空調や断熱改修といった大規模な設備投資は、ヒートショックリスクを根本から解消し、長期的な施設の競争力を高める鍵となります。

TAKEUCHIでは、空調設備に関する確かな知識と技術で、建物・業種に合わせた最適な設備ソリューションを提案しております。空間ごとの温度のムラを把握して、高効率な運転ができる空調設備へと最適化を図ります。

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