
教室が暑い!生徒・先生の声に応える空調と快適な学習環境づくり
夏休みが明けて新学期を迎える頃、多くの学校で聞かれるのが「教室が暑い」という声です。
特に近年は酷暑と呼ばれるほど夏場の暑さが厳しく、9月・10月でも30℃前後の日が続くことも珍しくありません。生徒はもちろん、先生方にとっても「暑さ」は集中力や体調に影響する大きな課題です。
本記事では、教室の適正温度や暑さ対策の基本、さらに秋以降も役立つ空調の工夫について解説します。
→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「省エネ効果を最大化する空調選びのポイントを紹介」
目次[非表示]
1.「教室が暑い」と感じる理由
学校の教室は住宅やオフィスとは異なる環境条件を持っています。
- 人数の多さ:1教室に30~40人が集まると、それだけで熱や二酸化炭素濃度が高まります。
- 建物の構造:鉄筋コンクリート造の校舎は、熱がこもりやすく、外気温が下がっても室内が蒸し暑く感じられることがあります。
- 窓の位置や日当たり:南向きの教室や最上階の教室は直射日光の影響を受けやすく、室温が上がりやすい傾向があります。
- 空調設備の老朽化:設置から10年以上経過したエアコンは能力が落ちている場合も多く、適正に冷房できないことがあります。
- 換気による外気の流入:感染症防止の観点から教室の窓やドアを開放して換気を行うと、常に熱が教室内に入り込み、冷房効果を損なうことがあります。
こうした要因が重なると、暑さのピークである7~8月だけでなく、まだまだ暑さが残る9月、さらには10月でも「教室が暑い」と感じやすいのです。
2.学習に適した室温とは?
文部科学省や厚生労働省の指針では、学習環境における適正な室温は夏季で25~28℃程度とされています。
- 25℃前後:集中力が最も高まりやすいとされる温度帯
- 28℃以上:集中力や作業効率が低下し、熱中症リスクも上昇
- 30℃超え:学習どころではなく、体調不良を訴える生徒が増える
また湿度も大切な要素です。相対湿度が60~70%を超えると不快感が増し、汗が蒸発しにくいため熱中症の危険性が高まります。
つまり、温度と湿度をバランスよく管理することが、学習環境を守るための第一歩なのです。
出典:文部科学省『学校環境衛生基準の一部改正について(通知) 』
3.教室の暑さ対策 ― すぐにできる工夫
空調に頼るだけでなく、学校現場で取り入れやすい対策もあります。
換気の工夫
- 扇風機やサーキュレーターを併用し、空気の流れをつくる
- 窓を「対角線上」に開けることで効率よく換気できる
- 移動教室など生徒不在時間を活用して換気を行い、授業中は冷房効果を優先する
カーテン・ブラインドの活用
- 遮光カーテンやすだれを利用し、直射日光を防ぐ
- 特に午後の西日対策は有効
水分補給の徹底
- 授業中も水筒を机に置けるようにする
- 「のどが渇く前に飲む」習慣を周知する
これらはすぐに始められる対策ですが、限界があります。やはり空調設備の適正化が欠かせません。
→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「省エネ効果を最大化する空調選びのポイントを紹介」
4.空調設備のチェックポイント
学校に導入されている空調が「きちんと機能しているか」を確認することは、とても大切です。
- フィルター清掃は定期的にできているか
- 冷媒ガスの不足や機器の劣化はないか
- 温度センサーが正しく作動しているか
こうした基本的な点検を怠ると、冷房や暖房の効きが悪くなるだけでなく、電気代がかさむ原因にもなります。コロナウイルス感染症の流行以降、多くの学校では窓を開放する時間が長くなっています。
窓を開けながらの冷房利用は、フィルターだけでなく機械内部の汚れを招き、冷房効果を大きく下げてしまいます。特に古い機器では、省エネ性能が低く、結果的にコストと快適性の両方を損ねてしまう可能性があります。
このように「現状の空調が正しく働いているか」を見直すことが、まず第一歩です。冷房の風が「ぬるい」「勢いが弱い」など感じる場合は、専門の業者に冷媒ガスやセンサーの点検を依頼したり、室内機の分解洗浄を検討したりすることも有効な手段です。
なお、空調機器のトラブルと原因、対処法については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
5.秋以降も注意が必要
「夏が終わればエアコンは必要ない」と思われがちですが、近年は10月でも真夏日が記録されることがあります。さらに秋は昼夜の寒暖差が大きい季節です。
- 昼間は冷房が欲しいほど暑いのに、
- 朝夕は肌寒く、暖房を入れたくなる
という難しい時期でもあります。
このため、秋に向けては「冷暖房の切り替えがスムーズにできる空調システム」や「温湿度を自動調整できる機能」があると安心です。
ここで大切になるのが、空調会社による専門的な点検と最適化の提案です。
6.空調会社が提案できること
私たち空調の専門会社では、単に「冷やす・暖める」だけでなく、教育環境を守るための最適な空調プランをご提供します。
- 教室ごとの使用人数や日当たりを考慮した設備設計
- 電気代を抑えながら快適さを維持する省エネ機器の導入
- 学校全体の空調を一括で管理できる集中コントロールシステム
- フィルター清掃や点検を含む定期メンテナンス
さらにTAKEUCHIでは、気流シミュレーションを用いたご提案が可能になっています。
【TAKEUCHIの気流シミュレーション例 / 学校教室】
気流シミュレーションとは、コンピュータ上で教室内の温度分布や風の流れを可視化する技術です。
これにより、
- どの教室のどの席が「暑い」と感じやすいのか
- エアコンや換気扇をどう配置すれば効率的か
- 換気量を増やすと教室全体のCO2濃度がどう変化するか
を事前に把握できます。
これまで「この辺りは暑い」「後ろの席は風が届かない」といった感覚的な悩みを、科学的に分析し、改善プランとして提示できるのが大きなメリットです。
特に学校のように多人数が長時間過ごす空間では、気流シミュレーションを活用した空調設計が、快適性と省エネ性を両立させるカギになります。
7.まとめ
「教室が暑い」という生徒や先生の声は、学習環境の質に直結する重要なサインです。
- 適正な教室温度は25~28℃
- 適切な換気や日差し対策で暑さを和らげる
- 空調設備の点検・更新で根本的な改善を
- 気流シミュレーションを活用すれば、科学的に最適解を導ける
そして秋は、冷暖房の切り替えや省エネ運転が求められる季節。
同時に、来年の猛暑に備える準備を始めるベストタイミングでもあります。
私たちは教育現場に寄り添いながら、「暑い」を「快適」に変えるお手伝いをしています。
この秋、ぜひ一度教室の空調環境を見直してみませんか?