
施設の冷房は何度からつける? 健康や快適性に配慮した業務用エアコンの使用方法
介護施設や学校、工場、オフィスなどの施設においては、利用者の健康や快適性を維持するために業務用エアコンによる空調管理が欠かせません。特に、夏場においては熱中症対策のために冷房を適切に使用することが求められます。
施設の管理者のなかには、「冷房は何度からつければよいのか」「健康や快適性に配慮した使用方法が知りたい」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、夏場の冷房について、温度の目安や注意点、使用方法を解説します。
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目次[非表示]
1.夏場の冷房は何度からつけるとよいか
夏場の冷房は、室温を28度に保つことを目安につけるとよいとされています。環境省は、夏場において快適性を損なわない範囲で省エネルギーを実現する室温として28度を推奨しています。
加えて、『事務所衛生基準規則』においても、業務用エアコンによる事業所の温度管理について室温を28度以下にすることが努力義務として規定されています。
▼事務所衛生基準規則第5条第3項
3 事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が十八度以上二十八度以下及び相対湿度が四十パーセント以上七十パーセント以下になるように努めなければならない。
引用元:e-Gov法令検索『事務所衛生基準規則』
これらのことから、室温が28度を超える場合には冷房をつけて温度管理を行うことが望まれます。なお、28度はあくまで目安のため、個人の体感や気候、施設環境などによって適切な温度は変わる可能性があります。
冷房の推奨設定温度についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
出典:e-Gov法令検索『事務所衛生基準規則』/環境省『エアコンの使い方について』
2.冷房の設定温度=室温ではない
室温は冷房以外にもさまざまな要素の影響を受けます。そのため、室温を28度に管理する場合でも冷房の設定温度を28度にすればよいとは限りません。
▼室温に影響する要素
- 外気温
- 業務用エアコンの設置状況
- 空気の流れ
- 室内の熱源 など
同じ部屋のなかでも、これらの要素によって室温のムラが生じます。
▼室温に生じるムラの例
画像引用元:環境省『オフィスの暑さを“見える化”して、温度のムラを少なくしよう!』
室温のムラに加えて、体感温度の差を考慮することも重要です。個人の着衣量・代謝量の違いだけでなく、直射日光や風の当たり方、湿度などによっても体感温度は変化するため、これらを踏まえて室温を管理する必要があります。
出典:環境省『オフィスの暑さを“見える化”して、温度のムラを少なくしよう!』
3.健康や快適性に配慮した冷房の使用方法
職場や施設の空間における冷房の適切な管理・運用は、単に温度を下げるだけでなく、“人の健康”と“快適な環境づくり”のためにも重要です。以下の3つのポイントを押さえることで、より質の高い空調環境を実現できます。
3-1.適切な室温管理とセンサー機能の活用
業務用空調では、設定温度と実際の室温に差が生じやすいため、温度計やセンサー機能を備えた空調設備を活用して、こまめに室温を把握・調整することが重要です。
特に、冷やしすぎは利用者や従業員の血流を悪化させ、頭痛・腰痛・肩こりなどの身体的不調の原因になります。ほかにも、自律神経の乱れによる集中力の低下を引き起こし、業務効率の低下にもつながります。快適性や業務効率向上のためにも、常に適切な室温を維持する工夫が求められます。
また、近年の業務用空調では、人感センサーや床温度センサーなどの先進的なセンサー技術を取り入れることで、効率的な運転と快適な室内環境の両立が可能となっています。これらの技術を活用することで、無駄な運転を抑え、省エネと快適性を同時に実現する空調管理が行えます。
3-2.冷気の循環で空間全体のムラをなくして快適に
サーキュレーターや送風ファンなどを活用して冷気を循環させることで、空間全体を均一に冷却することができます。
広い空間では、冷房を稼働していても、空間の構造や天井高の違いなどにより温度ムラが発生しやすくなります。サーキュレーターや送風ファンなどで空気を循環させると、場所によるムラがなくなるだけでなく、過冷却によるエネルギーの無駄も抑制できます。
また、送風による気流は体感温度を下げる効果もあるため、設定温度を必要以上に下げなくても快適な室内環境を維持することが可能です。これにより、省エネ効果と快適性の両立を図れます。
3-3.日射遮蔽での冷房効率の向上
厚手の遮熱カーテンや断熱フィルム、ブラインドなどを適切に導入することで、冷房効率を向上させることができます。
夏季の空調効率を大きく左右するものが、窓からの直射日光と輻射熱です。これらを放置すると、設定温度を下げても冷えず、空調機器に過剰な負荷がかかり、エネルギー消費が増加します。
厚手の遮熱カーテンや断熱フィルム、ブラインドなどを活用すると、外部からの熱流入を抑えるだけでなく、冷房で冷やした空気の流出を防ぐことも期待できます。
4.施設の用途や環境に合わせた空調選びも重要
健康や快適性に配慮した室内環境をつくるには、施設の用途や環境に合わせた空調選びも重要です。
TAKEUCHIでは、建物の構造や窓の方位・面積に応じた最適な遮熱対策を設計し、冷房効率を最大限に引き出すサポートを行っています。また、気流シミュレーションを活用して、空調の新規導入やリニューアルによる効果を数値とビジュアルで“見える化”し、無駄を省いた最適な空調プランをご提案いたします。
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5.まとめ
この記事では、冷房による温度管理について以下の内容を解説しました。
- 夏場に冷房を使用する際の目安となる温度
- 冷房の設定温度と室温の違い
- 健康や快適性に配慮した冷房の使用方法
- 施設の用途や環境に合わせた空調選び
夏場に冷房を使用する場合、目安として室温が28度になるようにすることが有効です。室温と冷房の設定温度は異なるため、室温のムラや体感温度の差に配慮してこまめに調整する必要があります。
TAKEUCHIでは、施設の条件に合わせた空調機器の選定とリニューアルを通じて、快適でエコな空調環境の実現をサポートします。
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