業務用エアコンの台風対策とは? 通過後の設備チェックも重要
日本では、初夏から秋にかけて台風が発生しやすくなります。特に近年では、台風や前線の影響によって大雨・洪水・暴風・高潮などの気象災害が毎年のように発生しており、私たちの生活や企業活動にも大きな影響を及ぼしています。
なかでも学校や医療・介護施設、工場、オフィスなどの施設において注意が必要な台風による被害に、業務用エアコンのトラブルが挙げられます。
施設管理部門の管理者は、台風が発生した際に起こりやすいエアコンのトラブルと対応を把握しておくとともに、事前に対策を行うことが重要です。
この記事では、台風後にエアコンが動かないときの対応やチェックするポイント、台風接近時の対策について解説します。
なお、エアコンの落雷対応についてはこちらの記事をご確認ください。
→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「空調課題における業種別解決方法&事例紹介集」
目次[非表示]
- 1.台風後にエアコンが正常に動かないときは
- 2.台風通過後にチェックするポイント
- 2.1.➀室外機の設置位置
- 2.2.②室外機の吹出口・吸入口
- 2.3.③室外機の水没
- 3.台風接近時におけるエアコンの対策
- 3.1.①可能な範囲でエアコンの使用を控える
- 3.2.②室外機にカバーを装着する
- 3.3.③防振マットや転倒防止金具を使用する
- 3.4.④高脚置台を使用する
- 4.台風でエアコンが故障した場合の保証
- 5.まとめ
台風後にエアコンが正常に動かないときは
台風の影響によってエアコンに不具合が生じるトラブルはよくあります。正常に動かないときには、専門の修理・メンテナンス事業者に依頼することが重要です。
▼台風の影響で起こりやすいエアコンのトラブル
トラブル |
考えられる原因 |
電源を入れても作動しない |
|
異音がする |
強風で飛ばされたゴミ・木くずによるドレンホースの詰まりや室外機への混入 |
室外機が転倒・破損する |
強風や飛来物の衝突 |
室内機から水漏れがする |
大雨や浸水によるドレンホース内での水の逆流 |
エアコンの室外機は、建物の外に設置されています。台風が接近すると、大雨・暴風・道路の浸水などが発生して室外機が破損したり、水没したりする可能性があり、故障や動作不良につながることがあります。
台風通過後にチェックするポイント
台風の通過後は、エアコンの室内機・室外機の状態を確認する必要があります。
➀室外機の設置位置
室外機が本来の位置に固定されているかを確認します。
▼チェックするポイント
- 設置位置がずれていないか
- 横倒しになっていないか
- 落下していないか
- 配管や接続部に破損がないか
強風によって室外機が転倒していたり、位置がずれていたりする場合、自分たちで動かすことは危険です。
自分たちで室外機を元の位置に戻そうと動かすと、配管・配線が外れて破損が悪化する可能性があるほか、冷媒ガスに触れてしまい思わぬケガにつながることも考えられます。そのため、自己判断で戻さずに専門の修理・メンテナンス事業者に連絡して点検・修理を実施してもらうことが重要です。
②室外機の吹出口・吸入口
室外機の吹出口・吸入口に異常がないかを確認します。
▼チェックするポイント
- 吹出口・吸入口がゴミ・木くずなどで塞がれていないか
- カバー内にあるファンに飛来物が刺さっていないか
- 室外機の背面や底面にゴミ・木くずなどが溜っていないか
吹出口・吸入口にゴミ・木くずなどが付着していたり、内部に入り込んだりしている場合には、異音や動作不良の原因となります。これらの飛来物を取り除くことで、トラブルが解消するケースがあります。
③室外機の水没
室外機が大雨や道路の浸水などによって水没していないかを確認します。
▼チェックするポイント
- 室外機に雨水が入り込んでいないか
- 室外機の内部が濡れている形跡がないか
- ドレンホースの排水口が雨水に浸水していないか
室外機が水没すると、漏電やモーターの不具合につながる可能性があります。そのため、水没している場合は使用を中止して、専門の修理・メンテナンス事業者に相談することが重要です。
台風接近時におけるエアコンの対策
台風によるエアコンの故障を防ぐには、事前に対策をしておく必要があります。
①可能な範囲でエアコンの使用を控える
台風の接近時には、可能な範囲でエアコンの使用を控えることが望ましいといえます。室外機が強風にさらされると、内部のモーターに負荷がかかり、故障やファンの破損につながります。
ただし、無理にエアコンの使用を控えると室温の上昇によって熱中症を招くおそれがあります。台風の状況をこまめに確認して必要な範囲でエアコンを使用したり、代わりに置き型の送風機を活用したりすることがポイントです。
②室外機にカバーを装着する
室外機にカバーを装着すると、台風の強風によるゴミ・木くずなどの飛来物を避けることが可能です。飛来物が室外機の内部に入り込んだり、衝突によって破損したりするトラブルを防止できます。
③防振マットや転倒防止金具を使用する
台風による室外機の転倒を防ぐために、防振マットや転倒防止金具を使用する対策があります。
▼防振マットや転倒防止金具の役割
器具 |
役割 |
防振マット |
室外機と架台の間に敷いて風による揺れや振動を抑える |
転倒防止金具 |
室外機の架台や壁に取り付けて転倒・落下・移動を防ぐ |
また、エアコンの新規導入またはリニューアルを実施する際は、風の影響を受けにくい場所や転倒・落下によるリスクを考慮して、室外機の設置方法を検討することが重要です。
④高脚置台を使用する
大雨や道路の浸水による室外機の水没を防ぐ対策として、高脚置台を使用する方法があります。高脚置台は、室外機の設置位置を高くできる据付部材です。
エアコンの室外機を直置きしている施設では、高脚置台の取り付け工事を実施することで水没による故障を防止できます。
台風でエアコンが故障した場合の保証
台風でエアコンが故障してしまった際に、メーカーや修理・メンテナンス事業者による保証の対象となるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
自然災害による故障は、メンテナンス契約による保証の対象外となることが一般的です。ただし、火災保険に加入している場合には、家財に対する損害として補償の対象となることがあります。
火災保険の加入プランによって補償内容や対象が異なるため、契約内容を確認することが必要です。
まとめ
この記事では、エアコンの台風対策について以下の内容を解説しました。
- 台風によるエアコンのトラブルと動かないときの対応
- 台風通過後にチェックするポイント
- 台風接近時におけるエアコンの対策
- メンテナンスの保証や火災保険の適用について
大雨や暴風などの被害をもたらす台風が接近すると、室外機の転倒、エアコンの動作不良、水漏れなどのトラブルを引き起こす可能性があります。
室外機の転倒や破損、水没が見られる場合には、専門の修理・メンテナンス事業者に相談することが必要です。台風の接近時には、可能な範囲でエアコンの使用を控えるとともに、据付部材や金具などを使用して強風・浸水の対策を行うことも重要です。
また、自然災害によるエアコンの故障は、メンテナンス契約で保証の対象外となることが一般的です。火災保険については家財補償の対象となるケースもあるため、詳しくは契約内容をご確認ください。
TAKEUCHIでは、業務用エアコンの設備改善をトータルサポートしています。業務用エアコンのリース契約では“動産保険”を適用できるため、火災保険が未加入の方や保証の適用外と言われた場合でも、損害に対応できるケースがあります。
サービスの概要については、こちらの資料をご確認ください。