
介護施設の感染症対策は「空調ゾーニング」が鍵
高齢者施設における感染症対策は、いまや年間を通じて最重要テーマです。
インフルエンザ、ノロウイルス、コロナなど、感染症は一部の居室で発生しても、空気の流れによって施設全体に広がるリスクがあります。
しかし、実は多くの施設で、廊下・居室・共用部が1台の空調システムでつながっており、「どこか一部で感染が出ると空気が全体に回ってしまう」という構造的な弱点を抱えています。
こうした背景から、いま注目されているのが、「空調ゾーニング(エリア分け)」による空気感染リスクの低減です。
→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「空調課題における改善提案と弊社事例紹介」
目次[非表示]
1.なぜ介護施設にはゾーニングが必要なのか?
介護施設は、病院と違って常に高齢者が生活しており、食事・入浴・レクリエーションなど、日常生活のほとんどを同じ空間で完結します。そのため、一度ウイルスが持ち込まれると、共有空間を通じて一気に広がる危険性があります。
特に以下はリスクが高い場所です。
- 食堂・リビング:長時間の滞在、会話が多い
- 多床室:空調の気流が隣同士に届きやすい
- 浴室・脱衣所:換気が不足しやすい
- スタッフ動線:巡回・ケア中に交差が多い
これらを踏まえ、感染症の流行期には「誰が、どの空間で、どう過ごすか」を明確に分けることが重要です。しかし動線を区切るだけでは不十分で、空気の流れが正しくコントロールされていなければ、ゾーニングは機能しません。
2.空調ゾーニングとは?感染症対策の核心は“空気の流れ”にある
空調ゾーニングとは、空間を「清潔エリア」「医療・介護エリア」「隔離エリア」などに分け、それぞれのエリアが混ざり合わないように空気の流れを制御する仕組みです。
特に重要なのは 空間の圧力差(陽圧・陰圧) です。
陽圧:室内の圧力を周囲より高くすることで、外からの空気やウイルスの侵入を防ぎます。清潔な空間を守るために使用され、食堂や医務室などに適しています。
陰圧:室内の圧力を周囲より低くすることで、室内の空気が外に漏れないようにします。感染リスクのある空間や隔離室で使われ、ウイルスの拡散を防ぎます。
しかし、圧力差さえ作ればよいわけではありません。扉の隙間、廊下の風、エアコンの風量や向きによって、空気は想像よりも複雑な動きをしています。
そこで重要になるのが 気流シミュレーション による「見える化」です。
→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「空調課題における改善提案と弊社事例紹介」
3.気流シミュレーションによる“感染症対策ゾーニング”の特徴
空気の流れは目に見えないため、気流シミュレーションにより、廊下や居室、医務室、隔離室など各エリアの空気がどのように動くかを確認でき、感染リスクの高い経路や滞留ポイントを事前に特定することが可能です。
また、陽圧・陰圧の設定や換気量の調整も、シミュレーション結果をもとに最適化できるため、実際の運用で効果的なゾーニングを実現できます。
3-1.施設の動線・介助の流れを解析したゾーニング設計
介護施設は、要介護度によって生活エリアが異なったり、夜間帯にはスタッフ人数が減ったりと、医療機関よりも複雑な運用がされています。当社では以下を事前に分析します。
スタッフの巡回動線
入浴・食事・機能訓練の時間帯
夜勤帯の空間利用
多床室のベッドレイアウト
食堂の人数密度と滞在時間
そのうえで、「どこを守るべき清潔エリアにするか」 を明確化し、空調ゾーニングの方向性を決めます。
3-2.陽圧・陰圧を使い分けた空気の流れの制御
当社は、施設ごとの用途に応じて、空気が適切に流れるよう最適な圧力差を設定します。
隔離室:陰圧にし、ウイルスを外に漏らさない
医務室:弱陽圧にし、空気やウイルスの侵入しにくくする
食堂・清潔側:強めの陽圧で外部からの流入を防ぐ
廊下・居室:一方向の気流にし、汚染側 → 清潔側へ空気が流れないようにする
また、圧力差を強く設定しすぎると、ドアの開閉が重くなり、介助時の負担が増えるという課題があります。施設の運用やスタッフの動線に合わせて、快適性と感染症対策のバランスを取った最適な圧力値を設定することが大切です。
3-3.気流シミュレーションによる“空気の見える化”

当社の強みが、気流シミュレーションの解析技術による“気流の可視化” です。解析では以下を再現します。
多床室でどのベッドに空気が流れやすいか
天井高が高い食堂での空気の滞留ポイント
エアコンの風向きが感染拡大に与える影響
換気回数不足による“空気のよどみ”
扉の開閉によって空気が逆流する瞬間
結果は動画や3D画像でお渡しし、「この空気の流れだと感染が広がる」「ここに排気を追加すると安全になる」といった改善点を、一目で理解いただけます。
3-4.空調・換気・排気を一体で最適化
ゾーニングの効果を最大化するためには、空調・換気・排気の3つを一体で設計することも不可欠です。単に、エアコンや換気扇を増設するだけでは、空気の流れを制御できず、感染リスクが残ってしまいます。
1.風向きと風量の調整
- エアコンの吹出口の角度や風速を計算し、居室から共用部への空気の逆流を防止
- 食堂やリビングの滞在人数に応じて、必要最小限で換気回数を確保
2.排気ルートの最適化
陰圧ゾーンや隔離室の排気が他エリアに流れ込まないようダクト配置を調整
屋外への排気が効率的に行われるよう、既存配管を最大限活用
3.運用に即した空調制御
昼間・夜間・滞在人数・季節に応じて換気量や空調運転を自動調整
CO2濃度や室内温湿度の変動に応じて運転モードを切替え、快適性と省エネを両立
4.既存設備の活用と部分更新の工夫
全館入れ替えではなく、必要なゾーンだけに新規設備を導入
既存配管・ダクトの再利用で工事コストと期間を最小化
これにより、感染症に強く、かつ日常運用が負担にならないゾーニングが可能となります。
4.まとめ
介護施設における感染症対策は、人の動線の工夫 × 空気の流れの最適化この2つが揃ってはじめて機能します。
さらに、TAKEUCHI なら施設の空調リニューアルをトータルでサポート可能です。
- 空調設備の設計・施工・運用まで一貫対応設計段階から施工、運用まで社内の専任チームが一貫して担当することで、施設の要望や現場条件を正確に反映します。
- 気流シミュレーションに基づく安全で快適な空間づくり
空気の流れや圧力分布を可視化。ウイルスの拡散リスクを事前に把握し、最適な陽圧・陰圧設計を実現します。
現場の状況に合わせた柔軟な工事スケジュール
稼働中の施設でも運営に支障を与えないよう、工事エリアと利用エリアを分離し、関係者・利用者の負担を抑えたリニューアルを実施します。
これにより、安全で快適、かつ省エネに配慮した介護施設環境を実現できます。
介護施設の感染症対策や空調リニューアルでお困りの方は、ぜひ TAKEUCHI へご相談ください。30年培った空調設計と現場運用ノウハウで、安心・確実な施設運営を支援します。




